5年前に別れた夫の遺族年金はどうなるの?内縁関係にある元愛人がもらうの?

2020/3/9更新

相談者 DATE ユミさん 

 

【年齢】51歳

【職業】実家のパン屋で手伝い

【性別】独身(5年前に離婚)

【家族】両親・娘23歳・義理の弟家族と二世帯住宅

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

元夫が亡くなりました。夫は大手不動産業者に勤める役職者でした。離婚原因は夫の浮気です。今でも許せない感情があります。夫は当時の浮気相手だった女性と一緒に暮らしていたようですが、入籍はしていないようですし、子どももないようです。今更と思われるかも知れませんが、私は元夫の遺族年金について知りたいのです。決して欲しいとかではないのですが、絶対に浮気相手だった女性に渡したくないので。夫婦問題カウンセラーしているFPの寺門さんなら詳しいかと思い、相談しました。

 

ご相談したい内容

8年前に浮気が発覚、その後調停離婚しました。3年経ちます。浮気発覚当時は、子供もまだ中学生で多感な時期でもあり、また教育費もかかるので離婚は避けたいと思いました。しかし、元夫の意思は固く、相手の女性との事も認めたので、金銭的な問題をクリアにして離婚に応じました。元夫は優しく、年上女房の私より、若い女性を選んだのだと思います。とても悔しいです。

私は娘を連れて実家に帰りました。商売をしているのですが、両親も高齢となり、今後介護も必要になるだろうからと、弟も義妹も歓迎してくれました。今は、家事と忙しい時は、実家のパン屋を手伝っています。娘の養育費は出してもらいましたが、元夫から十分に慰謝料をもらえてはいません。元夫が亡くなり、国から遺族年金が出るのだろうとの話を聞きました。元妻の私は何ももらえないのだろうとは思いますが、、現在内縁関係にある元浮気相手が元夫の遺族年金を受け取るかと思うと、腹立たしくなります。内縁関係でも遺族年金はもらえるのですか?それとも20年間夫婦であった私や娘にも多少の権利はあるのでしょうか?こんな気持ちは恥ずかしく、誰にも相談できなかったのですが、以前ネットで離婚FPの寺門さんのことを知っていたので、私の気持ちもわかってもらえるかと想い、相談しました。

 

コンサルティングでお話しした内容

ユミさんに限らず、別れた夫への未練はなくても、浮気相手のことは一生許せないという気持ちの方は多いと思います。さぞや苦しい想いをしての離婚だったのでしょう。20年間の月日は長い時間です。ご主人が出世したのも、ユミさんの内助の功があってのこと。今回元ご主人様は若くしてお亡くなりになり残念でしたが、ここは年金制度のお話をしっかりとさせて頂きました。なぜなら「遺族年金」には、受給要件や順位など、特異なことがあるからです。どんなに悔しくても、とことん調べ納得すれば気持ちは変わります。私は何よりも、ユミさんがしっかり立ち直り元気になって頂きたいと思いました。

 

 

1:遺族年金とは?支給要件・対象者

 

「遺族年金」とは、被保険者が死亡した際に、残された遺族に対して支給される「公的年金」のことです。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。昨今では、離婚の増加により「残された遺族」の定義や、被保険者に対しての生前の貢献度が問われて、間違った情報が多いようですが、ここで整理をして頂きたいと思います。

 

<遺族基礎年金>

国民年金に加入していた人が死亡した場合に、その死亡した人によって生計を維持されていた以下の人に支給されます。但し、支給要件とし亡くなった方の受給資格期間(年金加入期間)が25年以上ある、また保険期間のうち3分の2以上の期間の支払いが済んでいる場合。(但し平成38年(2026年)4月1日前は死亡時に65歳未満であれば、死亡日が属する月の前々月までの1年間滞納が なければ受けられます)

 

  • 子のある配偶者

 

※この場合の「子」の定義

・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子

・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

・婚姻していないこと

 

特例はありますが、基本は高校卒業までということです。

 

 

<遺族厚生年金>

厚生年金に加入していた人が死亡したとき、また被保険者期間中の傷病がもとで初診日から5年以内に死亡した時。但し、支給要件として年金加入期間が25年以上ある人。また保険期間のうち3分の2以上の期間の支払いが済んでいる人。(但し平成38年(2026年)4月1日前は死亡時に65歳未満であれば、死亡日が属する月の前々月までの1年間滞納が なければ受けられます)また、1級2級の障害厚生(共済)年金の受給者が死亡した時。上記要件を満たしている場合、死亡した者によって生計を維持されていた以下の人。

 

  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者、20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者、婚姻していないこと)
  • 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。但し、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる)

 

・30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。

・子のある配偶者、子(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者、婚姻していないこと)は「遺族基礎年金」も併せて受けられます。

 

上記となっております。「遺族基礎年金」に比べると「遺族厚生年金」の方が受け取れる遺族の幅が広がるのがわかると思います。

 

 

 

2:離婚した妻は遺族年金を受け取れるのか?

 

それでは質問のひとつ目、離婚したユミさんは前のご主人の「遺族年金」を受け取れるのでしょうか? 

 

答えはNO。受け取ることはできません。なぜユミさんは受け取れると思われたかというと「離婚による年金分割」と勘違いをされていたようです。しかし既に離婚時に「年金分割」の手続きは済んでおり、ユミさんが受け取れる、元ご主人の「年金記録分割」は完了しています。残念ながら、これ以上は受け取ることはできません。

 

 

 

3:元夫の遺族年金を子供が受け取れるの?

 

それでは、ご主人との間に生まれた娘さんはどうでしょうか?

 

現在娘さんは23歳です。年金の定義で「遺族基礎年金」も「遺族厚生年金」も子の要件では「高校卒業まで」(18歳到達年度の末日)となっていますから、やはりユミさんの娘さんも受け取ることはできません。

 

それでは一般的なケースにおいてはどうなのでしょうか?

 

<子供が高校卒業以前>

「18歳到達年度の末日」まででしたら、受け取れることはできますが、仮に元ご主人が再婚をして、再婚相手との間に子供がいたらもらえなくなります。

「遺族年金」には受け取る順位というものがありますので、下記で説明させて頂きます。

 

<元妻が再婚をした場合>

死亡した元夫と前妻の子との間に「生計維持関係」があれば、「遺族基礎年金」は支給されます。「遺族厚生年金」は「遺族基礎年金」が支給される人に支給される仕組みなので、子は2つの「遺族年金」を受給できることになります。但し、もし前妻が再婚をし、生計を同じくする新しい父や母が生計を維持している場合には、その間、子は「遺族基礎年金」の支給は停止されます。少し複雑ですが「受給資格」はあるので、「遺族厚生年金」は受け取ることができます。

 

<生計維持関係とは>

生活費や養育費の経済的援助等が行われていたかどうかということになります。これらの養育費や生活費の支払いが定期的に行われていることが確認できることが必要です。その為に「銀行の通帳の記載」や「領収証」の確認が必要となります。例えばお子さんと定期的に会い「手渡し」をしている等では証明がしづらいので注意が必要です。

 

 

4:「遺族年金」を受け取れる順位等

 

上記したように、「遺族年金」には受けといる順位というものがあります。ですから同じような立場(例:“元妻の元で暮らす子”や“再婚した妻”)でも、その方の状況によって、遺族年金を受け取れる人と受け取れない人がでてきます。

 

<未支給年金>

被保険者が亡くなった月分までの年金については下記の人が受け取ることができます。

 

1位:配偶者

2位:子(上記、この定義内)

3位:父母

4位:孫(上記、孫の定義内)

5位:祖父母

6位:兄弟姉妹

7位:その他三等親内の親族

 

 

<遺族厚生年金を受け取れる順位>

上記の1位~5位と同様となります。

 

 

<お腹の中にいた子供>

被保険者が亡くなった時、お腹の中に子供がいた場合、妻は「子のある妻」の認定がされます。ですから「遺族基礎年金」も「遺族厚生年金」も受け取ることができます。(受給権の発生)また、その子が生まれた月からは金額が改訂されます。

 

 

<再婚した場合>

再婚をした場合、配偶者・子供・元妻の子の順位はどうなるのでしょうか?

 

~再婚相手に子供がいない場合~

上記の子の定義内であれば、元妻との間にできた子が優先されます。

 

~再婚相手に子供がいた場合~

後妻が「子のある妻」の立場になるので優先で支給されます。

 

 

 

5:内縁の妻は「遺族年金」は受け取れるの?

「遺族基礎年金」の定義は“子のある配偶者”なのでユミさんの元夫が一緒に暮らしている女性は受け取ることができません。では「遺族厚生年金」はどうでしょうか?

 

~内縁関係の「遺族厚生年金」の受給~

認められます!ただし、単なる同棲生活や愛人関係にあっただけでは認めてもらえません。

この内縁関係を日本年金機構が審査します。

 

~内縁関係の審査基準~

  • 事実婚であった証明

当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認める事実関係を成立させようとする合意があること。

  • 生計を維持していた証明

当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

 

戸籍関係が例えなかったとしても「婚姻する意思を持ち、夫婦として共同生活をしていた」状況が必要です。なので、住民表が同じであったり、連名の郵便物があったりする必要があります。また、なんらかの形で亡くなった被保険者から生計を維持されていた証明が必要です。やはり、定期的な生活費の銀行振り込みの記帳等が証明となります。また、内縁関係でも会社に「扶養している人」として申請をしていれば、「生計を維持していた」証明になるので受け取れるでしょう。個々の事情はそれぞれなので、お近くの年金事務所に相談して下さい。

 

 

年金事務所一覧

https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html

 

 

6:内縁の妻は「遺族年金」は受け取れるの?

「遺族基礎年金」の定義は“子のある妻”なのでユミさんの元夫が一緒に暮らしている女性との間に子どもがいた場合、あるいは女性の連れ子がいて元夫により生計を維持されていたような場合、「遺族年金」においても元夫との間にできた子が受け取れないケースもでてくるかと思います。その為か、子が高校を卒業してから離婚するケースも多いそうです。しかし、離婚した相手の環境が変わることで経済的保証が得られなくなるリスクもあります。そのため近年の傾向として「取り決めをしている」ケースが多くなり、母子家庭歴0~2年目の人は43.9%の人が取り決めをしているそうです。離婚は様々なケースがありますから、一概には言えませんが、子を守る為にも離婚時の「養育費」はきちんと取り決めた方が得策です。

万が一の場合「養育費」の振込記録があれば、子供は高校を卒業するまでは、金銭的には守られます。夫婦問題カウンセラーとして、離婚時の「お金の問題」は、一番悩ましいところなのはよくわかります。その時は痛みを伴いますが、将来をしっかりとみて、頂けるものはしっかりと頂くのが良いと思います。娘さんは年金を受け取ることはできませんでしたが、相続の資格はありますので、相続について今後お話をさせて頂く予定です。

 

7:ご相談者の声

たまたま友人達と会った時に、元夫が亡くなった話となり「遺族年金」が話題になりました。お酒の席だったので、皆勝手なことを言っていましたが「遺族年金」に2種類あることも初めて知り勉強になりました。その後、娘が義父母に聞いたところ、元夫の遺族年金はどうやら義父母が受け取るようです。遺された老親が多少守られるようなので少し安心しました。私の友人でも現在離婚話になっている人がいます。まだ子供が小さいので、今回の養育費等に関する情報はしっかりと教えてあげたいと思います。寺門さんとお話して、私は離婚後も恵まれていることがわかり、今までとは違う気持ちが芽生えました。複雑な気持ちで過ごした時期もありましたが、元夫のご冥福を祈り将来を明るく考えて行こうと思います。

この記事を書いた人
寺門美和子

世界一身近なファイナンシャルプランナー。あなたの悩み・迷い・不安に寄添う<夢先案内人>

相談事例をフリーワード検索で探す