こんにちは。確定拠出年金相談ねっと 認定FPの加藤博です。
40歳の企業経営者 いとう たけしさんの相談の続きです。
確定拠出年金の受取時の税メリットについてです。
いとうさん、確定拠出年金を一括受取する場合は、退職金と同じような税メリットがあるのはご理解いただけましたか?
『はい。退職所得の3つのメリットですね!』
①退職所得控除
②1/2
③分離課税
『退職金ってメリット大きいですね。』
いとうさんの会社は「退職金制度」ありますか?
『退職金制度はありません。
創業してから、5年たちましたので、そろそろ制度も規程も整備しなければと思っているんですが、、、、』
そうですか。確定拠出年金は企業型もありますから、退職金制度としても活用できますよ。
従業員数10名未満の会社でも企業型確定拠出年金を導入することができます。
役員1名の企業でも導入している場合があります。
『企業型って 1名の会社でも導入できるんですか? 企業型は大企業しか導入できないと思ってました!』
はい、最近は企業型確定拠出年金を導入する会社が増えてきています。
企業型の特徴や個人型との違いは、別の機会にご説明しますね。
さて、確定拠出年金を分割受取した場合の税メリットをご説明します。
確定拠出年金を分割受取した場合の「税優遇」
いとうさん、分割受取は20年、15年、10年、5年など受取期間を選ぶことできます。
選ぶ期間は、加入する金融機関によって異なることもありますから、確定拠出年金をスタートするときに確認してくださいね。
分割受取する場合、「公的年金控除」が適用され、下の表で計算した金額が雑所得として課税対象となります。
公的年金に係わる雑所得の金額=(a)×(b)-(c)
例えば
65歳時になり、分割受取を選択します。
分割受取を選択し、年間に100万円受け取った場合
基礎年金+厚生年金+確定拠出年金などの公的年金の合計収入額が年間360万円だった場合の雑所得の計算は
3,600,000×75%-375,000円=2,325,000円
となります。
この計算した金額に対してすぐに所得税・住民税がかかるわけでではありません。
年金以外に所得がある方は、その所得金額をプラスしなければなりません。
そして、その結果に出てきた総所得金額から各種所得控除を引き、そこで出てきた金額に
対して税金がかかります。
所得控除は 基礎控除、配偶者控除や社会保険料控除などの控除のことです。
公的年金控後の年金額+その他の所得-各種所得控除=課税対象
確定拠出年金の分割受取金は公的年金の一部として計算されます。
『基礎年金や厚生年金と合計して課税されるんですか。
そもそも公的年金にも税金がかかるんですね~。
なんか、かからないのかな~って淡い期待もありました(笑)』
残念ながら(笑)、公的年金の老齢年金には税金はかかりますよ。
遺族年金や障害年金は非課税になるので、間違えている方もけっこう、いらっしゃいます。
老齢年金は「雑所得」という扱いになり、これに対して、所得税・住民税がかかる仕組みになっているのです。
『それにしても、所得税って ややこしいですね~
所得控除もいっぱいあって、わかりににくいですし、、、』
そうですね。なれないとややこしく感じるかもしれませんね。
源泉徴収されて、年末調整だけで納税が完了する給与所得者の場合は、
よくわからないっていう方多いですよ。
『そうですか~ やっぱりそうですよね~
次回の確定申告のときにしっかりみてみなきゃいけないですね』
『ところで、確定拠出年金を一時金と分割受取を併用した場合は、税金はどうなるんでしょうか?
それぞれ計算するんですか?』
それぞれ、課税所得を計算しますよ。
『そうなんですね。なんか一括受取の税金メリットのほうが大きい気がします。
わたしは一括受取がいいな』
退職所得の税メリットは大きいですからね。
ただし、他の退職所得を受け取った場合などは退職所得控除の計算に注意が必要ですから、
受取時にシミュレーションして有利な方法を計算してみることが必要ですよ。
分割受取の場合は、もうひとつ 公的年金控除以外の税金メリットがあるんですよ。
『そうなんですか。分割受取の場合の公的年金控除以外の税金メリットってなんですか?』
次回は、この公的年金控除以外の税金メリットをお伝えしますね。
個人型確定拠出年金(iDeCo イデコ)の控除証明書についてのコラムはこちらです