こんにちは。
確定拠出年金相談ねっと 認定ファイナンシャル・プランナーの加藤博です。
個人型確定拠出年金の愛称が厚生労働省から発表されたのは今年の9月16日でした。
ちょうど1ヶ月ぐらい経過しました。
最初はしっくりこなかった iDeCo(イデコ)。
最近はWEBや新聞・雑誌などで見る機会が増えてきましたね。
少しずつ慣れてきました。
少額投資非課税制度のNISAのように定着するといいですね。
さて、9月16日にはチラシも発表されていました。
こちらです。
このチラシにも iDeCoの3つの税制優遇が記載されています。
掛金が全額所得控除されます
運用益も非課税で再投資されます
受け取る時も税制優遇措置があります
チラシの下段拡大
真ん中の「運用益も非課税で再投資されます」のところに 以下のような記載があります。
運用益も非課税で再投資されます
通常、金融商品の運用益には税金(源泉分離課税20.315%)がかかりますが、iDeCoの運用益が非課税です※。
※積立金には別途1.173%の特別法人税がかかりますが、現在まで課税が凍結されています。
積立金に別途1.173%の特別法人税がかかる とは どういうことでしょうか?
なぜ、個人型なのに「法人税」なのでしょうか?
現在まで課税が凍結されている とは 将来課税されるのでしょうか?
確定拠出年金には、特別法人税というものがあります。
企業型確定拠出年金の積立金も個人型確定拠出年金(iDeCo イデコ)の積立金にも課税されます。
ただし、今は、平成28年度末(平成29年3月)まで凍結されています。
実は、確定拠出年金が制度スタートした2001年10月から一度も課税されたことはありません。
そもそも「特別法人税」とは何でしょうか?
特別法人税は、企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して、年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するものです。
企業型および個人型の積立金に課税されるというルールになっています。
日本経済のバブル崩壊により、企業年金の運用環境が悪化したため、1999年から課税凍結されました。
繰り返し課税凍結が延長されて、平成29年3月末までの凍結が決定されています。
これに対して、
日本証券業協会、銀行協会や生保協会・損保協会などの金融機関の団体からは
課税復活の可能性がある凍結ではなく、完全廃止が都度要望されてきました。
今年もすべての要望書にも盛り込まれています。
本年5月に成立した確定拠出年金法改正において、参議院の附帯決議に特別法人税の廃止が盛り込まれています。
確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
平成二十八年四月十四日 参議院厚生労働委員会
(抜粋)
平成二十八年度末までの間、停止措置がなされている運用時における企業年金積立金に対する特別法人税の課税について、給付時との二重課税防止の観点から、廃止について検討を行うこと
特別法人税が課税されたら・・・
個人型確定拠出年金(iDeCo イデコ)に特別法人税が課税されたら、どうなるのでしょうか?
生保協会の「平成29年度税制改正に関する要望」の中に特別法人税が課税された場合の
シミュレーションが掲載されています。
P14 特別法人税が復活した場合の年金給付額試算 から
特別法人税シミュレーション
【前提】(確定拠出年金の場合)
・毎月1万円を25年間積み立てて、10年間年金を受け取ると仮定
・運用利回りを2.5%とし、次の2ケースを試算
①のケース・・・積立金に対する課税がない場合
②のケース・・・積立金に対し1.2%の課税が行われる場合
①積立金に対する課税がない場合年金月額3.9万円
②積立金に対し、1.2%の課税が行われる場合年金月額3.13万円
特別法人税が復活すると、25年間の積立では年金給付額に換算して
年金月額3.9万円→年金月額3.13万円に削減
→ 20%もの削減
上記の試算によれば、年金月額が20%も削減されることになります。
とても大きな影響です。
特別法人税の今後
この「特別法人税」の廃止を前提として、個人型確定拠出年金(iDeCo イデコ)の
推進が国を挙げてすすめられていると考えています。
国際的にみても、年金積立金に課税するルールは日本だけです。
生保協会資料 先進国 年金制度課税比較より
先進国 年金課税
平成29年度税制改正において、この「特別法人税」は厚生労働省と財務省による適切な対処がなされると思われます。
正式廃止となれば、確定拠出年金制度は日本の金融制度として大きく発展していくと思います。
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