こんにちは。ファイナンシャルプランナーの細田です。
「ふるさと納税やったほうがいいよって言われるけど、何なのかよくわからない」
そんな声を最近よく耳にします。今回はいおりちゃんと一緒に、ふるさと納税の概要と納税の方法をお伝えしようと思います。
おかよさん、友だちに「節税になるからふるさと納税やってみな」って言われたんだけど、やったほうがいいの?
あら、いおりちゃん。ふるさと納税は「お得」だけど、節税になるわけじゃないのよ。
え?どういうこと??
それじゃぁ、ふるさと納税について、詳しく説明するわね。
ふるさと納税の始まり
ふるさと納税は2008年に始まった制度。都会の人口が増える一方で、地方の過疎化が進んでいて、税収格差の問題が注目されていました。そこで、都会に住んで働いているけれども、自分の出身地や、お世話になった地方に納税できる仕組みが作られました。
それが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税とは、自分で選んだ特定の自治体に寄付をすることです。ふるさと納税で寄付をすると、寄付した金額の2,000円を超える分が、翌年の自分の所得税や住民税から控除され、更に返礼品をもらえるのです。
たとえば寄付金額20,000円の北海道のカニ1.5kgを返礼品に選んだとするでしょ。それを申告すると、翌年支払う所得税と住民税が合計で18,000円減るということなの。
つまり、来年払うはずの税金を前払いした上に追加で2,000円払っているので、特に節税にはならないのよ。
なーんだ、そういうことか!
でも2,000円でカニ1.5kg(返礼品)を購入すると考えれば、カニが欲しい人にとってはお得かもしれないわね。
確かに!
おかよさん、ちょっとやってみたいから、やり方を教えて!
OK!
やり方はネットショッピングに似ているけど、「納税」なので、少し手続きが必要なの。簡単に説明するわね。
税控除額の上限を確認する
ふるさと納税は寄付した金額の2,000円を超えた部分が、翌年の所得税・住民税から控除されますが、その年の所得によって控除できる上限額が決められています。控除額の範囲内で寄付をしたい場合は、ふるさと納税ができる各サイトに試算ツールが用意されているので、確認してみてください。
注意①
住宅ローン控除や医療費控除を併用する場合などは、所得だけの計算では間違った金額になります。昨年の源泉徴収票を用意して、詳細試算することをお勧めします。
注意②
実際は今年の所得から控除上限額を計算します。昨年と所得が大きく違う場合はご注意ください。
返礼品を選ぶ
ふるさと納税ができるサイトを探しましょう。テレビCMでやっているサイトでも良いですし、Yahoo!や楽天などでも良いです。貯めているポイントを利用できるサイトがあれば、それを優先して考えるのも良いと思います。
利用するサイトが決まったら、そこから返礼品を選んでください。欲しい物から選ぶこともできますし、寄付したい自治体から選ぶこともできます。
返礼品をもらわない選択もできるのよ。
せっかくなら、欲しいかも・・・
返礼品が決まったら、カートに入れて、通常のネットショッピングのように支払い方法や送付先などの登録を行ってください。支払いはクレカ払いやコンビニ払いなど、複数の方法があります。
税の申告方法を選ぶ
寄付による税金の控除を申し出るときは、通常確定申告を行いますが、条件によっては確定申告をせずに「ワンストップ特例制度」を利用することができます。
ワンストップ特例制度
税金控除の申告を、寄付した自治体が代行してくれる制度です。利用できる条件は
- 他に確定申告をする予定がないこと
- 1年間の寄付先が5自治体以内であること
- 毎回申請書を寄付した自治体に送ること
の3つです。
ワンストップ制度を利用する場合は、ネットショッピングの注文手続きのような、寄付の手続き(返礼品送付依頼手続き)の後に、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を自治体に忘れずに送付してください。書類の入手方法は、各サイトに案内があります。
また、マイナンバーカードと手続きに対応できるスマホがある場合は、申請書の郵送も不要で、スマホで申請手続きを完了させることもできます。
ワンストップ特例制度を利用した場合に控除されるのは住民税だけで、所得税からは控除されません。
確定申告
個人事業主の方や医療費控除の申請などで確定申告をする場合など、上記の制度対象外の方の場合は、ワンストップ特例制度は利用できません。自治体から「寄付金受領証明書」が届くので、ふるさと納税も一緒に確定申告します。
最後に
寄付の仕方や、税金控除の申告の方法は分かったかしら?
だいたいわかったわ。
サイトを見ていると、素敵な返礼品がたくさんあって、どれも欲しくなっちゃう。でも自分の故郷ではなく、全く知らない地域に寄付をするって、どうなのかなぁ。
そうね。ふるさと納税の始まり、主旨からすると考えてしまうかもしれないわね。
でも、ふるさと納税は、税金の使い道を指定することもできるのよ。
使い道は自治体によっていろいろだけど、たとえば「子育て支援」という使い道を選択したとしたら、寄付したお金がどこかの子どもの役に立つ。そう思えるなら、それはそれで良いことなんじゃないかしら。
そうね!やってみるわ。ありがとう!
ふるさと納税は、人口減少で税収の少なくなった故郷を応援する素敵な制度です。その一方で、現在自分が生活している自治体の税収は減ります。自分が現在受ける行政サービスに支払うお金が減るということです。
ふるさと納税で寄付をし、税の控除を受けることの是非を問うことはナンセンスかもしれません。でも、これをきっかけに、自分が住む自治体で、税金がどんなことに使われているのか、興味を持ってみると良いのではないでしょうか。