前島 香苗

【心×お金】子ども時代は金銭感覚を育てる大事な時期

皆さん、こんにちは。心とお金を一緒に考えるファイナンシャルプランナーの前島です。

お金との付き合い方を良好にするためには正しい『金銭感覚』を持つことが大切です。

お金の問題行動を起こす人はその要因となったきっかけが必ずありますが、大人になってから

そのことに気が付き軌道修正しようとしても時間がかかりますし、非常に大変なことです。

正しい金銭感覚はやはり子供の頃に身に付けさせてあげることが何よりも大事であると考え、

子どものマネー教育について伝える活動をしています。

さて、今回のコラムでは『金銭感覚』についてお話します。

『金銭感覚が違う』。皆さんもこんな表現をしたことや聞いたことがあると思います。

まずは金銭感覚が違うとはどういったことなのかをお話しさせていただきます。

誰かと一緒に買い物に行ったとき、自分と相手との金銭感覚の違いを感じたことはありませんか?

迷いもなく高額なものをどんどん買う人もいれば、気に入ったものが見つかってもじっくり

考えて考えて、結局買わない決断をする人もいます。

前者は浪費家、後者は倹約家のイメージです。

その原因が収入の違いによるものだと思う人が多いのかもしれません。

しかしたくさんの世帯を見てきて感じるのは収入の高い低いは一つの要素にしか過ぎず、

実はここに心理が関係していると考えます。

◆人はそれぞれお金に対する思い込み(マネースクリプト)を持っている

心理専門分野の言葉でいうとお金に対する思い込み(マネースクリプト)という考え方があります。

言い換えると『お金の潜在意識』でしょうか。

具体的にはこのような心の状態があります。

お金を回避する考え方

『お金の話をするのは品がない』という考え。

日本には特にこの文化が根付いていると考えます。親、兄弟間でもお金の話をするのは

避けられがちであるため、友人、同僚とは尚更ではないでしょうか。

お金を崇拝する考え方

お金への執着度が高く、『お金がたくさんあれば幸せになる』という考え、

反対に『お金がたくさんなければ幸せになれない』という考え

お金=ステイタスとする考え方

『自分の地位はお金によってもたらされる』という考え

この考えの人は他人にステイタス=お金を見せることで満足感を得るため、

良い家、高級車、高価な持ち物を得ることで地位が確立できると思っている

お金を警戒する考え方

お金に対して極端に警戒してしまう状態。

例えば『資産運用』という単語を聞いた途端、耳を塞ぎ、心を閉ざしてしまう状態。

増えないとはわかっていても銀行預金(タンス預金)以上に良い方法はないという考えなど。

金銭感覚はその人の生まれ育った家庭環境、触れた文化によって決まってくると言われています。

時には世代から世代へ受け継がれていくこともあります。

先ほどもお伝えしたように子供のころに身につけたお金に対する考えや金銭感覚はのちに

大きな影響を及ぼしますので、マネー教育は子供の頃から始めることが大切です。

子どもの金銭感覚の育てる上で大切な場面は色々ありますが、いま私が心配に思っていることは

キャッシュレス決済です。

◆子どもの金銭感覚が育つ時期に注意が必要なキャッシュレス決済

電車やバス、コンビニエンスストアなどでは電子マネーで支払いをして、ネットショッピングでは

クレジットカードを使う。このような現金を使わないキャッシュレス決済が、近年かなり一般的に

なってきました。

日本では現金志向が強く、2016年の段階でキャッシュレス決済比率は19.8%

とどまっていたものの、2019年10月の消費税増税のタイミングに各社のポイント付与キャンペーン

があったことから急速に拡がりをみせました。

経済産業省は2025年までに40%程度に引き上げることを目指すという「支払い方改革宣言」を発表

していることから国策として今後益々推進されることでしょう。

確かに利用する側も企業、店舗側にとってもメリットが多いキャッシュレス決済ですが

子供の金銭感覚を育てる時期においては使い方に特に注意を払わなければなりません。

キャッシュレス決済(電子マネー、クレジットカード)のメリット

〇現金を持ち歩かなくてもよい

〇後払いで購入できる

〇ポイントが貯まるなど

〇現金関連作業が減る(企業、店舗側)

一方でデメリットもあります。

〇お金を払ったという実感が湧きづらい

〇利用し過ぎると自分の支払能力を超えた支払いが発生することがある

〇ネット上で簡単に金銭のやり取りができてしまう

このように、便利で簡単なシステムだからこそ注意が必要です。

子どもに通学のための交通費として交通系電子カードにチャージをしていたところ、

実際にはコンビニエンスストア等でお菓子などを買っていたという話は今までに相談者から

何度も聞いたことがあります。

また、オンラインゲームの有料課金システムのトラブルは今では保護者会に度々登場する議題と

なっています。ネット上で簡単に品物の売り買いもできるようになりました。

電子マネーカードを子供に渡す前、またはオンラインゲームを始める前に

親から子へお金について話す時間をしっかり設けることが必要です。

そして、親子間でルールを決め定期的に親子で一緒に確認をしていくことが何よりも

大切なことです。

金銭感覚の具体的な育て方についてはあらためて動画等でご紹介していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。