渡辺 和子

専業主婦はiDeCoのメリットがないって本当?

専業主婦やパート主婦がiDeCoを始める際に気をつけること

こんにちは。宮城県で活動中の確定拠出年金ねっと認定ファイナンシャルプランナー 渡辺 和子です。

最近、子育て中のママさんのiDeCo相談が増えてきました。多数メディアで取上げられてますから、関心度が高まっているようです。専業主婦やパートの収入(103万円以下の所得税非課税範囲)はiDeCoの税制優遇のひとつである「掛金全額所得控除」が受けられないので、加入時や毎月かかってくる「コスト」を他の加入者さんよりも考慮する必要があります。

確定拠出年金の税制メリットのおさらい

個人型確定拠出年金の税制メリットは、①掛金は全額所得控除、仮に毎月2万円(年間24万円)積立てたとして、所得税住民税がともに10%とすると年間約48000円の節税効果となります。②運用益は非課税で再投資、金融商品の運用益に対して、通常は約20%の源泉分離課税がかかるところかかりません。③受取るときは、退職所得控除または公的年金控除、iDeCoは60歳以降の受取時に一時金か老齢給付金として年金のように受取ることが出来ます。その際それぞれ有利な控除が適用されます。もともと所得税・住民税がかかっていない専業主婦やパート主婦は①の節税メリットがないことになります。

そもそも「103万円の壁」ってなに?

パートで働く際に気にするのが「103万円の壁」ですね。年収が103万円以下であれば、給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円となり、所得税を支払う必要はありません。所得に対して課税される主な税金には所得税の他に住民税がありますが、住民税を支払わなくてよい年収は、自治体によって異なります。私の住む大河原町はパートやアルバイトの収入が1月1日から12月31日までで103万円以内であれば税金上の扶養に入ることができます。ただ住民税の場合には、非課税限度額を少し超えたからといっても物凄く税額が変わるわけではないので、それほど気にする必要はないかもしれません。ちなみに、旦那さんの勤務先から「配偶者手当」をもらっている人も少なくないと思いますが、支給要件に妻の年収が103万以下としているところが多いようです。意外とこっちの方を重視されているかたも多いように感じます。また妻の収入が103万円以下だと夫の税金も優遇されています。税金を納めている夫に、収入が少ない妻がいる場合、夫の所得から所得税38万円、住民税33万円の控除することができます。「配偶者控除」を受けることによって夫の所得税と住民税が安くなるというメリットがあります。そして今後は、2018年1月から配偶者控除の上限が103万円以下から150万円以下に引き上げられることになりました。これが103万円の壁といわれる所以です。

「130万円の壁」もあるの?

103万円の先には130万円のボーダーラインがあります。130万円未満の年収であれば、健康保険と厚生年金保険保険料の払込が免除になり、自己負担せずに保障が受けられます。従業員数501人以上の企業に勤務される方はこの限りではありませんので、別途確認が必要です。どのラインで働くのがイチバン得なの?という声が聞こえてきそうですが、必ずしも金銭的な損得では図るの難しいなって思います。価値観は人それぞれ違うので、税金の控除が受けられないからといって働くことを制限するのは、もしかしたら「機会の損失」になるかもしれない、でも子育てしてたら働きたくても働けないこともあるだろうし、状況によって違うのでマイベストは一律計れない。その為には制度を知って取捨選択していきたいです。例えば、今なら月2万円多く働いて、iDeCoで積立すれば、所得税・住民税は非課税で130万円の社会保険料負担もなく有利に老後資金が作れるという選択肢もあるかもしれません。

考えるべき金融機関手数料って?

iDeCoを始めようと思ったら、まずは金融機関選びをする必要があります。個人型確定拠出年金で「どこの金融機関で口座をつくるか」は大きなポイントになります。口座開設の加入時と毎月手数料としてかかってくるコストが金融機関によって違いますので、長い年月で考えたら慎重に選びたいです。iDeCoは老後の資産形成をする上で、かなりメリットを享受できると思っています。しかし、「節税」のメリット感がない非課税収入所得者(※専業主婦や103万円以下年収のパートさん)はコストを考慮して検討しましょう。

iDeCoの税制優遇は他にもあります。運用益非課税、受取るときの優遇制度など。自分がどうiDeCoで資産形成していきたいかで、メリットの見出し方は違うはずです。本を読んだりセミナーに参加すれば、知識は付きます。でも実際始めてみなければ後には何も残りません。私も大いにあります。あのときこの資産に預けとけばばよかった~とか(笑)といっても時間は戻せないので、次のチャンスに備え、知識を付けてアンテナはっていきたいと思います。