ファイナンシャルプランナー木田 美智子

2019年 07月 11日

令和元年7月からの相続税の改正、何が変わったの?

こんにちは

公務員女性の資産形成を応援しています。

確定拠出年金相談ねっとわーく認定FPの木田美智子です。

 

確定拠出年金の相談をいただく方の中には、相続でお困りの方にも出会います。

どなたにも起きてくる相続の問題。改正点を確認しておきたいものですね。

相続法は1985年(昭和55年)からずっと変更されてきませんでした。

その間、家族の関係に変化があったり、今の時代に合わなくなって

改正が行われています。今年2019念1月に自筆証書遺言の変更がありました。

(ブログでお知らせしています。ご興味ある方はご確認くださいね。)

一度に全部が変更になるのではなく、段階的になっています。

 

今回は令和元年7月1日改正をご案内いたします。

 

令和元年7月1日改正内容は次のとおりです。

①配偶者への居住用財産の贈与

②預貯金の払い戻し制度の創設

③遺留分制度の創設

④特別の寄与の制度の創設

 

①配偶者への居住用財産の贈与

 20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の遺贈(遺言で残す)や贈与があった場合は特別受益とは考えずに、遺産分割の対象から外すことができるようになりました。

 

特別受益はご存知ですか?

配偶者でもお子様でも、相続前に大きなお金の贈与を受けていた人がいたら、相続財産は少なくなってしまいますよね。その金額を法定相続分で計算すると生前贈与を受けた人と受けなかった人では不公平になってしまいます。そこで、相続の際に特別受益にあたるものは相続財産にプラスして取り分が減らされる計算になっていました。

 

 20年間も連れ添った配偶者に居住用の不動産を贈与した場合には、相続のときにその分は持ち戻ししなくてよいことになったのです。配偶者はその分多くを受け取れることになります。人生100年時代って言われるくらい寿命も長くなっていますから、相続で不動産以外の金銭も今までより多く必要です。そういう配偶者の生活資金が確保できるようになってきました。この改正を活用するために、ご遺言で想いをしっかり書きとめておくことが大切ですね。

 ※令和元年7月1日以降の相続が対象です。それ以前の遺贈や贈与では適用されないのでご注意ください。

 

②預貯金の払い戻し制度の創設

銀行の口座は死亡の届けにより凍結されます。ご遺言で預貯金を引き継ぐ相続人が明確な場合や、遺残分割協議が整ったあとで、全員の署名捺印がないと一切預貯金を払い出してもらうことはできませんでした。葬儀費用や借りていたお金の返済など、多額なお金が必要になることもあります。相続の手続きは時間がかかるため、預金の払い戻しができずに困っている方を多くお見掛けしていました。それが、金額は限られますが、払い出しができるようになりました。

 

この改正により助かる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

例えば下記の例ですと

預金額 600万円 法定相続人が2人の場合

  600万円×1/3×1/2=100万円 (1行の上限額150万円)

100万円を先に払い出して使うことができます。

 

銀行により、手続きが異なります。
この改正を使う場合は、取引銀行または、相続手続きコールセンター等へご照会ください。

《法務省 民法(相続法)改正資料より》

 

③遺留分制度の創設

遺留分はご存知ですか?例えば磯野家の波平さんが愛人ができて、その愛人に相続財産を全部相続させるという遺言を書いていたらどうですか?フネさんやサザエさん家族は家や、財残を受け取ることができなくなり、困ってしまいますよね。そこで民法は、遺言によって、財産を最低割合受け取れるように遺留分が決められているのです。

 

 遺留分の割合はどうなっているの?

今まで遺留分を侵害された場合、遺留分はどう計算されるかというと

 

法定相続人はフネさん、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの4人で

相続財産の1/2です。

磯野家の家は世田谷区の桜新町にあります。相続税評価が高いところに300㎡もの土地を持っているのです。

評価額をざっくり計算してみると(小規模宅地の評価減など考慮していません)

 

土地は45万円×300㎡=1億3500万円

 

土地だけでもすごい金額になります。

今回は改正の説明なので複雑なところをカットして説明します。

 

このほかに預貯金2,000万円あったとします。(わかりやすくするため他の財産省略)

 

愛人がすべて相続したら、相続税が払えないという問題点もあるかもしれませんが、

磯野家は全員で1億5500万円の1/2の遺留分減殺請求を行うことができました。(改正前)

 

①相続の開始があったときおよび遺留分が侵害されたことを知った時から1年以内

②相続開始から10年以内であれば

 

改正前の問題点

お金は2000万円しかないので、土地の分をお金で半分支払うことは難しいですよね。そのため、その土地の名義を分けて共有にしていたのです。愛人と共有にしたくないですよね。そのあとの所有関係もどんどん複雑になっていきます。

磯野家だけでなく、不動産を相続するケースが多いのでこの問題が多く発生していました。

 

改正で何が変わったの?

遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権に変更になりました。

今まで認められていた物件から金銭支払いを請求できることになったのです。

注意点として、例えば愛人が不動産を売却して支払う場合所得税が発生します。その負担は愛人が負担します。不動産がなかなか売却できないなど時間がかかることもあります。金銭債券の時効が5年になっていますので、期限もしっかりチェックしておきましょう。

 

遺留分算定に含める贈与の範囲の見直しについて

 

遺留分の見直しでもう1つ変更点があります。こちらも知っておきたい内容です。

もし、波平さんが愛人にマンションを買ってあげたり、生前から贈与していたらどうですか?相続時の財産は減ってしまいます。そんなことをイメージしながら改正点を考えてみてください。判例では、贈与した時に遺留分を侵害しているかなどで判断されそうです。

相続人への贈与なら、10年間に改正になっいることもポイントと言えそうです。

 

④特別の寄与の制度の創設

 

相続人以外の人の貢献を考慮した改正です。サザエさんがたとえば、マスオさんのお父さんの介護を頑張ってしていたとします。でもどんなに頑張っても相続人ではありませんから、マスオさんのお父さんの相続分をもらうことはできませんでした。

 

今回の改正で特別の寄与に対して、相続人に請求できるようになりました。

 

相続人以外の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行い、財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続開始後、相続人に金銭(特別寄与料)を請求できる。

 

請求できる人~親族(6親等内血族、3親等内姻族)事実婚

権利行使期間~相続開始および相続人を知った時から6か月

請求方法~相続人と協議、家裁へ処分を請求

相続税~遺贈とみなして相続税課税

 

寄与分の改正点にはこんな注意が必要かも知れません。

 

請求できる期間が、6か月と短いこと。また、親族は互いに扶養義務があるため、寄与度を伝えられるよう介護日記をつけたり、領収書を保管しておくなど記録を残しておくことが大切です。改正で請求できるようになりましたが、自分から悲しんでいる遺族に対して、自分の寄与分をくださいとは言いにくいものです。面倒を見てもらっているマスオさんのお父さんがが生前に遺言で書くことがお勧めです。「サザエさんにはいつも世話になって感謝している。サザエさんにも相続財産を残します。」など付言というメッセージをつけて金額を入れてあげれば、相続人も納得しやすいですよね。介護は本当に大変です。面倒を見てもらう人の生前の対応が大切ですね。認知症などで判断能力が失われることもあります。そんな時は、この改正が役に立ちそうです。

 

まとめ

長寿化になり、相続の在り方も残された配偶者の生活の事も考慮したり、長寿化に伴っておきる介護問題などがあります。長年配偶者の両親のお世話をしても相続財産は一切もらえないとうケースもよくありました。夫のお母様のお世話をするために、仕事をやめ、出産もあきらめた方もいました。その方の夫は相続のときに妻の分も認めて欲しいと訴えました。でも、願いは叶わず法定相続分どおりになったケースもありました。今回の改正は介護等で頑張った人の見方になってくれそうです。

 

相続をきっかけにトラブルが起きて、兄弟姉妹間の付き合いがいっさいなくなってしまうこともよくあります。相続の事はしっかり残す人が自分の想いを遺言で残しておきたいものですね。そのためにも、コミュニケーションを取って何が欲しいか確認しておくのもよいでしょう。特別受益についても、兄弟姉妹間で不満になっていないかなど聞いておいても良いかもしれません。あなたの事もちゃんと考えていますよってわかれば、争いは起きにくいものです。亡くなったあとでは伝えられなくなってしまうということです。ご自分の残したもので家族がバラバラになってしまったら悲しいですね。

 

相続の知識は知っておいた方がよいですね。

私はそう思いますが、あなたはどのように感じられましたか?


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