確定拠出年金相談ねっと認定FP 粟原 良明

2019年 03月 13日

お金のことについて“読んでおきたい本”は?

「お金のことで学んでおくべきことは?」

先日、このテーマで話していた筑波大学准教授の落合陽一氏と、マネーフォワードの代表取締役 辻庸介氏との対談を視聴していました。その対談の中で、辻庸介氏は本多静六著「私の財産告白」を紹介していました。私も読んでいましたが、この本には、貯蓄と資産形成の基本がすべて詰まっているように思えます。

本多静六さんは、1866年(慶応2年)、埼玉県菖蒲町生まれ。幕末に近い時代に生まれ、東京山林学校(現在の東京大学農学部)に入学。その後、農学博士として研究、林学博士としても日比谷公園など多くの公園設計にも携わり、独自の蓄財投資法と生活哲学を実践して大きな財産を築きました。そして、60代で全財産を社会事業への寄付にあてた方です。

本多式「4分の1天引き貯蓄法」があります。生活がまだまだ苦しかった25歳の時から始めた貯蓄法で、収入が入ってきた時には天引きで4分の1を貯金してしまい、臨時収入があった時には全部貯金して今までの貯金に組み込んでいく方法です。

 

方程式にすると、このようになります。

貯金 = 通常収入×1/4+臨時収入×10/10

 

今の給与所得者(会社員)に例えると、月給など決まった収入は4分の1を貯金し、ボーナス、いわゆる賞与やその他収入があった場合の臨時収入はそのまま全部を貯金に組み込んでいく。会社員であればわかると思いますが、給料の25%を貯金してボーナスは支払いに充てずすべて貯金…となったら、自分のおこづかいはどこに?となってしまいますよね!ですが、本多静六は苦しいに苦しいを重ねたような生活をし、月末になると手持ちの現金が底をついてきて、毎日、本当にゴマや塩だけで済ませたこともあるそうです。なんと大変な生活か!と思ってしまいますが、「給料40円(当時)もらったら、30円しかもらわなかったと思って10円天引きすればよろしい」「辛抱さえすればだんだん天引き残余が増してくるのである」と言い、生活を1段下げたところから始めるという考えで生活をしていたのです。ここに現代で言う“先取り貯蓄”のエッセンスがすべて詰まっていますね。給料があったとしても、最初からないものとして考える。これが1番楽で、1番効果的な方法だとおっしゃっています。

貯金を貯金のままにしておいてはたかが知れたものであり、貯金をすることで雪だるまの芯を作ることが大切だとも言っています。「とにかく、金は雪だるまのようなもので、始めはホンの小さな玉でも、その中心になる玉ができると、あとは面白いように大きくなってくる」と、資産形成について雪だるまを作っていく過程になぞらえています。私も雪国青森に住んでいるので、子供のために雪だるまを作ることがありますが、ゆっくり転がし転がしていくことで少しずつ大きくなり、大きな玉を作る。大きな雪だるまが完成して、さらに子供にも喜んでもらえた時には私も嬉しいですし、心からの達成感があります。

はじめは倹約をすることで貯金という名の雪だるまの芯を作り、それを有利なもので運用して少しずつ大きくしていく考え方は、現在を生きる私たちにも通じる知恵です。貯金として貯めておいて大きくなってから運用を始めるのではなく、投資信託などを少額からでも時間をかけてコツコツと積み立てながら運用していく方法もあります。その方が早くから運用を体感しながら学ぶ時間を確保することができるように思います。

つみたてNISAiDeCoなど、“知っていなければ”、そして、“使っていなければもったいない”各種制度ができ、資産形成をしやすい環境がこれまでになく整ってきています。税金面など、私たちに有利な制度を上手に利用し、自分と家族のためにコツコツと資産形成をしていく必要があるでしょう。「将来のために、まだはじめていない」とう方には、ぜひ一歩踏み出してみていただきたいですね!

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