さくら総合法律事務所の代表弁護士竹内裕詞が、数回にわたり新型コロナウイルス感染症に関するコラムを掲載しております。事業者・経営者の方の、新型コロナウイルスに関するお悩みのご相談に対応させていただくとともに、認定経営革新等支援機関を務めておりますので、経営改善等に関するご相談もうけたまわります。
ご相談内容
製造業の会社役員の方から「新型コロナウイルス感染が怖いので欠勤したいと言う従業員がいるのですが、有給休暇を取得させれば良いのでしょうか」というご質問がありました。
弁護士の回答
有給休暇を取得するかどうかは労働者が決めるもので、使用者が決定したり、取得するよう命令したりすることはできません。会社が従業員の意志によらずに有給休暇を取得させることはできません。
欠勤を申し出た従業員が、就業規則等の定めにより有給休暇を取得して休むことができる場合には、有給休暇を取得するかどうか、従業員の意向を確認してください。従業員が有給休暇の取得を選択しなかったときは、欠勤日は無給となります。
以上は、従業員が欠勤を自ら申し出た場合の対処という観点からの回答ですが、現在は、令和2年4月7日に7都府県を、同月16日には全国を適用地域として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出され、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止、早期収束が社会全体の課題となっています。
政府は、企業に対して時差出勤・テレワークの推進等を強く呼びかけており、都道府県知事は、住民に対しては外出自粛を、一部事業者に対しては休業協力を要請しています。
会社としても、このような社会情勢を踏まえた対応に努める必要があると考えます。
例えば、従業員に対して新型コロナウイルス感染症についての情報を提供し、発熱など従業員の体調を確認し、手洗い・咳エチケットの励行を求めるなど、事業所で感染予防、拡大防止対策を行い、従業員が安心して働ける職場作りを心がけてください。
さらに、従業員の中には混雑した公共交通機関を利用して通勤せざるを得ない方、持病を持っている方、自宅で子どもや高齢者、病人の方と同居している方などもいるでしょうから、従業員・労働組合へ説明し、制度導入によって負担が増える従業員の理解も求めたうえで、時差出勤、在宅勤務制度の導入を検討してください。
欠勤を申し出た従業員が、どのようなことを心配しているかを尋ねてみて、事業所で新型コロナウイルス感染症の予防対策をしていることを説明し、あるいは時差出勤・在宅勤務を提案すれば、その従業員も欠勤せずに前向きに会社のために働いてくれるのではないでしょうか。
さくら総合法律事務所では新型コロナウイルス感染症に関するご相談にも対応しております。
ご心配事がある方は、さくら総合法律事務所までご相談ください。
この記事は令和2年5月2日現在の情報で作成しています。