こんにちは。
確定拠出年金相談ねっと認定FPの前田です。
株式投資の経験がある方なら、損切りの重要性を理解している方は多いのではないでしょうか。損切りができるかどうかが株式投資を制するといっても過言ではないほど損切りは重要な行為です。
ところが、持っている株の値が下がっても、「そのうち上がるだろう。今売るのはもったいない」という思いから、損切りができない人は意外と多いものです。
この「もったいない」思考、実は、損をする思考かもしれないことをご存知でしょうか？
これは、株式投資に限ったことではありません。
「今やめるのは、もったいない」という思考が登場すると、正しい判断ができなくなるのです。
どういうことでしょうか。
行動経済学から考える正しい判断を導く方法
恋愛編
例えば、ある男性が女性のことを好きになりました。
振り向いて欲しい一心で、彼女にプレゼントを渡してアプローチを続けます。1年たっても彼女は一向に振り向いてくれません。貢いだお金は数百万円です。
ここで、あなたならアプローチを諦めますか？それとも続けますか？
1年間アプローチしても振り向いてもらえないのであれば、今後、いくらプレゼントをしたとしても振り向いてもらえる可能性は低いと思われます。しかし、今まで数百万円を貢いできて後にはひけません。
「今さらアプローチをやめるなんて、もったいない。今までの努力が水の泡だ。もう少し頑張れば振り向いてくれるかもしれない。」
そんな感情が湧き出てきます。
しかし、この「今さらもったいない」思考は、間違った判断を導きかねません。
「今さらもったいない」思考を捨てることで正しい判断ができる。
これは、行動経済学の考え方です。
行動経済学では、この貢いだ金額のように、どのような意思決定をしても戻ってこない費用のことを、「サンクコスト」(埋没費用）といい、サンクコストは無かったものとすることが正しい判断を導くと考えます。
今まで数百万円貢いできて、今さらやめられないという思いがあると、合理的な判断ができなくなりがちです。しかし、サンクコストは無かったものとして考えることが正しいため、今回の男性の場合、貢いだ数百万円のことは考えず、諦めて別の女性にアプローチする方が合理的な判断といえます。
株式投資編
株式投資についても同じことが言えます。
30万円で買った株が33万円まで値上がりしました。しかし、もっと上がるはずだと持ち続けていたところ、今度は27万円まで下がってしまいました。損失を拡大させないためにも、ここで一旦損失を確定し27万円で売るのが株式投資においては合理的な判断です。
ところが、33万円まで値上がりしたのを見ているので、
「また値上がりするだろう。ここでマイナスを確定させるなんてもったいない」
このような思考が登場します。そして、その後、株価はどんどん下がり続け20万円まで下がってしまう。このようなケースは決して珍しいことではありません。
ここでも「今さらもったいない」思考が出てきて、合理的な判断ができなくなっているのです。
正しい判断をするためには、サンクコストは無視し、次のステップを考えること。これが明るい未来につながり、結局サンクコストは無駄ではなかったことになるのです。
しかし、合理的な判断は頭ではわかっていても行動に移すのはなかなか難しいものです。
実は、私も損切りをできるようになったのは、ここ数年です。損切りが重要であることに気づいたのは、実際に損切りができるようになってからです。
それまでは、この例のようにどんどん持っている銘柄が値下がり、含み損をかかえてしまうことがありました。
ですから、サンクコストを無視して次のステップに移る難しさは、よく分かります。
では、「今さらもったいない」思考をやめられない人には、どのような資産運用方法があるでしょうか。
感情が入らない資産運用方法とは
それは、積立です。
積立であれば、毎月定期的に一定額を自動で積み立てていくので、そこに感情は入りません。相場が下がった時は、投資するチャンスですが、相場が下がっている時は暗い経済ニュースばかり流れています。
そんな時に投資する気には、なりません。しかし、積立であれば、どんな相場状況でも一定額を買い続けるため、いずれ市況が回復した時に、大きな利益を生んでくれます。
そして積立をするなら節税メリットが大きいiDeCoかつみたてNISAです。同じ積立をするなら、節税メリットがある方がいいに決まっています。
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