<質問>資産運用を行う際、運用成績に最も影響を与える要因は以下の中でどれでしょうか?
A:商品選択
B:タイミング((例)株価の安い時に買って、高い時に売る)
C:アセットアロケーション
D:その他
セミナーでこの話をすると、多くの方が「A:商品選択」、もしくは「B:タイミング」を最も運用成績に影響を与える要因として選びます。然しながら実は、「C:アセットアロケーション」が最も運用成績に影響すると言われております。
影響を与える比率でいうと、C:アセットアロケーションが約85%、A:商品選択が約10%、Bのタイミングに至っては約3%しか影響がないと言われています。
「アセットアロケーションなんて言葉聞いたことない」という方も多いかと思います。アセットアロケーションは日本語で「最適資産配分」となります。すなわち、目標利回りに対する効果的な株式や債券などの資産配分を意味します。運用成績への影響度が高いと言われているのにも関わらず、このようにアセットアロケーションを意識して投資を行っている人は少ないのが現状です。
実はこのアセットアロケーションの考え方は皆さんの身近なところでも取り入れられております。それがGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)です。GPIFは私たちが毎月支払う年金保険料を管理運用している機関です。GPIFは、国民から預かった大事なお金を目減りさせず増やしていく使命があり、バランスよい運用を行っています。そのために今後の物価や賃金上昇、景気動向など幅広い視点から判断をし、目標利回りを設定した上でのアセットアロケーションを組んでいます。下記が現在のアセットアロケーションになります。
<GPIF資料を参考に作成>
現在はこのような資産配分になっておりますが、平成18年度当初の資産配分は下記の通りでした。
<GPIF資料を参考に作成>
この10年間で国内株式、海外株式合わせた株式の比率が20%から50%まで増加していることがお分かり頂けるかと思います。「年金を株で運用するなんて大丈夫なの?」と思う方もいらっしゃるかと思います。GPIFではそのような質問に対して以下のように回答されております。
Q6:なぜ株式に投資するのですか。もっと安全に運用すべきではないですか?
年金積立金の運用については、法律上、長期的な観点から、安全かつ効率的に運用を行うことが要請されています。
国内債券、国内株式、外国債券、外国株式を組み合わせることによる分散投資効果によって、必要なリターン(期待収益率)を最低限のリスクで確保することが期待できます。
このため、国内外の債券、株式等により構成する基本ポートフォリオを定め、これに基づき運用を行っています。
<GPIFのHPから抜粋>
「国内債券、国内株式、外国債券、外国株式を組み合わせることによる分散投資効果によって、必要なリターンを最低限のリスクで確保することが期待できる」という一文からも、安定的かつ効率的な運用には最適な資産配分(アセットアロケーション)が欠かせないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
私たち個人の運用においても同様のことが言えます。資産運用を既に始められている方は”現在の資産配分が自分の期待するリターンとリスクに見合った配分になっているか”一度確認してみましょう。もしそうなっていなければ、それは見直しが必要ということになります。