青山 創星

Saxoバンク証券で外国株式オプション取引をする時に注意すること

ご相談
Saxoバンク証券で外国株式オプション取引をする時に注意しなければならないのはどのようなことでしょうか?

こんにちは、青山創星です❢

外国株式オプション取引は、比較的低いリスク負担で株式投資のリターンをアップさせるための手法に使うことができます。

個別外国株式取引に絡めて、その投資リターンを上げるためのオプション戦略としては主に二つのものがあります。

個別株取引のリターンを高めるためのオプション戦略は2つある

現金保有プット売り(CSP=Cash Secured Put)カバードコール(CCW=Covered Call Writing)の二つです。

CSPは、投資したい(買いたい)株式の銘柄、数量が決まっているが、買いたい価格がもう少し下にあるという時に使います。

CSPは、プットオプションを売ることにより、オプション・プレミアムを手に入れながら、買いたい価格にまで下がったらその価格で株式を手に入れることができるという戦略です。
ただし、買いたい価格(権利行使価格)まで株価が下がらないかった場合は、オプションプレミアムは手に入れることができますが、欲しい株を手に入れることができません。

CCWは、既に投資をしている株式のコールオプションを売ることにより株式投資をしながらオプションプレミアムを手に入れるという戦略です。
ただし、株価が設定した権利行使価格(売却価格)を上回ると持っている株を売らなければならないことになります。

どちらも、米国で個別株取引をやっている投資家の間ではとても一般的に行われている取引です。

日本で個別株オプション取引をする時に注意すべきポイント

日本でもこれと同じ取引を行うことができます。
日本株の個別株オプションの市場もあるのですが、取引がほとんで行われていないのが現状です。
そのため流動性が低く(その時の市場価格で思った通りに売ったり買ったりがしにくい)、CSP戦略やCCW戦略にはあまり向いているとは言えないのが現状です。

これに対して、米国市場では非常に活発に取引が行われています。
日本からもこれらの取引を行うことができます。

但し、日本で取引をする場合にはいくつかの注意が必要です。

1.外国株式オプション取引ができる証券会社が限定される。

2.外国株式オプション取引についての税務処理は独特のものがある。

3.Saxoバンク証券での外国株式オプション取引には、口座の取扱いで注意しなければならないポイントがいくつかある。

4.IB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)での外国株式オプション取引には、税金処理の上で注意しなければならない点がある。

.米国株式オプション取引についての基礎的な知識が必要となる。

日本で外国株式オプション取引をする場合、どの証券会社を使うかについては2つの選択肢があります。

外国株式オプション取引は、CSP戦略やCCW戦略であればそれほど難しいものではありません。
とはいえ、オプション取引は外国株式取引に比べて複雑な仕組みです。
何か疑問があった場合などに日本語で問い合わせできるかどうかは、証券会社を選ぶうえで大きなポイントとなります。

外国株式オプション取引が出来て日本語で問い合わせができる証券会社としては、Saxoバンク証券かIB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)の二つの選択肢があります。

2社の大きな違いは、日本の証券会社かアメリカの証券会社かという点です。
Saxoバンク証券は、日本の金融商品取引法に従い、金融庁に登録された第一種金融商品取引業者です。
これに対してIB証券は、アメリカの証券会社です。

その違いは、自分の口座にお金を送るときや税金の取り扱いなどに表れてきます。
自分の口座にお金を送るとき、Saxoバンク証券では日本の国内送金になります。
IB証券では、US&で送るときも日本円で送るときも外国送金になります。

税金の処理も異なります。
Saxoバンク証券では、NISA口座は使えませんが、特定口座を使うことができます。
IB証券では、特定口座もNISA口座も使うことはできません。

IB証券では、配当に米国で10%課税され、さらに日本で20%課税されます。
ただし、米国での課税分は外国税額控除という制度で後から取り戻すことができます。

その他にもいろいろな違いがあります。
詳細については私の別の記事で解説しています。

なお、7月現在、IB証券では口座開設を制限しているようです。
口座のグレードアップをはかるための準備中ということのようです。

Saxoバンク証券で外国株式オプション取引をする時に注意すべきポイント

ここでは、Saxoバンク証券でCSPやCCWを行う時に注意しなければならないポイントについて解説していきます。

Saxoバンク証券で外国株式取引をする場合には、外国株式(一般口座)とFX口座を開設します。

それぞれの口座にアルファベットの記号がついています。
外国株式(一般口座)はZ口座FX口座はS口座と呼ばれています。

外国株式取引をする場合で、税金の処理を簡単にするために外国株式(特定口座)=T口座を開くこともできます。
この口座はさらに「源泉徴収あり」の口座「源泉徴収なし」の口座に分かれています。

「源泉徴収あり」の口座は、譲渡所得についての税金の計算と税務申告、税金の支払いまで全てを証券会社(Saxoバンク証券)が行ってくれるというものです。
「源泉徴収なし」の口座は、譲渡所得についての税金の計算は証券会社が行ってくれますが、受け取った計算書を基に税務申告や税金の支払いは自分で行うというものです。

「源泉徴収あり」口座を使えば、他の口座での譲渡損益と相殺する場合や上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合以外は確定申告する必要がないということになります。

以上は、外国株式取引だけをする場合です。

外国株式オプション取引もする場合には、もう一つ口座を開設する必要があります。
「外国株式オプション口座」=P口座です。


外国株式を入れておくことのできる口座は3種類あることになります。
一般口座(Z口座)、特定口座(T口座)、オプション口座(P口座)の3つです。

ここで注意が必要なのは、外国株式はZ口座、T口座、P口座のどの口座にも入れておけるのですが、口座間の移動に大きな制約がある点です。

これら3つの口座間で外国株式を移動できるのはT口座からZ口座へだけに限られます。
Z口座からT口座、Z口座とP口座の移動、T口座とP
口座の移動は全てできません。

このことから、外国株式オプション取引をする場合にはとても重要な注意点があります。

ここからの説明では、リスクを大きくしないため、レバレッジをかけないことを前提にご説明します。

まず、CSP(現金保有プット売り)をする場合にはプットオプションが権利行使された場合に株式を購入するための現金をP口座に用意しておく必要があります。

米国株式オプションはアメリカンタイプのオプションであるため、オプションを売った瞬間から権利行使される可能性があります。
そのため、権利行使された場合に株式を購入できるだけの現金を、必ずオプションを売る瞬間からP口座に用意しておかなければなりません。
現金はS口座、Z口座、T口座、P口座それぞれの間で移動は可能です。
しかし、例えばP口座で株式を買う時にZ口座にある現金を自動的にP口座に移してもらって購入するというようなことはできません。
P口座で株式を買うためにはP口座に現金を用意しておかなければなりません。
(株式購入手数料と為替手数料も用意しておく必要があります)

いつ権利行使されるかわからないので、必ずオプションを売る際には現金もP口座に用意しておく必要があります。

例えば、CSP戦略で欲しい株を手に入れたとします。
その株式はP口座に入ってきます。
その株式を税金処理の簡単なT口座に入れようと思ってもできません。

税金処理の簡単なT口座で株式取引を行いたいと考えるのであれば、CSPはあきらめて最初から現金をT口座に入れてT口座で欲しい株式を購入する必要があります。

CCWの場合にはどのような点に注意が必要でしょうか。

CCWの場合には、コールオプションを売ります。
コールオプションを売ると、その瞬間から権利行使をされる可能性が生まれます。
権利行使された場合に売らなければならない現物株を、コールオプションを売ると同時に(またはそれ以前から)P口座に用意しておく必要があります。

Z口座やT口座で買った株式をP口座に移動することはできません。
ですから、権利行使に備えて用意しておく株式は必ずP口座で購入した株式でなければならないということになります。

CSPやCCWを行い権利行使されたときに株式購入資金や売却用株式がP口座になかった時には他の銘柄の株式や他の口座の株式を処分して権利行使に対応されてしまう可能性があります。

また、現金が不足する場合には追証(追加証拠金)が求められ、送金を慌ててしなければならないというような事態にもなりかねません。

権利行使に備えた現金や現物株式を、オプションを売る瞬間から必ずP口座に用意しておくという点がポイントとなります。