青山 創星

インデックス型投資信託で複利効果は有効なのか?(その1)

ご相談
定期預金のような確定利回りでない投資信託で投資しても複利効果ってあるのでしょうか?

こんにちは、青山創星です。

この質問は、ちょっと投資について勉強した方がいだくとても基本的ながら難しい質問です。

複利とは?

Wikipediaには、複利について次のように書かれています。

「複利法によって計算された利子のこと。複利法とは、元金(がんきん)によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも次期の利子がつく。したがって、各期の利子が次第に増加していき、雪だるま式に利子が増えていくことになる。」

複利効果の定義について、何か公式のものがあるかというと私の調べた限り見つかりませんでした。
一般的に複利といわれるのは、上記の既述の通り生まれた利息を次の投資の元本に組み入れていくことをいいます。

そして、一般的にはそれによって投資元本が雪だるま式に増えて行くことが複利効果と呼ばれています。
よく示されるのはこのようなグラフです。

このグラフは、元金100万円を30年間年利6%の定期預金で、利息も元本に加えて年利6%の1年定期預金で運用していった場合の資産の増え方ををシミュレーションしたグラフです。時間がたつほど増え方が速くなっていっています。


しかし、必ず雪だるま式に増えて行く場合というのは、利息が固定金利の場合という条件付きの場合に限られます。

一般的に複利効果を説明するときには、このようなグラフが示されて「雪だるま式に増える」「長期に投資を続けるほど複利効果は大きくなっていく」と説明されています。
この前提としては、「プラスの固定利回りの場合には」という条件が暗黙のうちに含まれているのです。

しかし、投資信託で投資するような場合についても、単に複利効果があると説明される場合も多いのが現状です。

そして、その説明を聞いた人は「複利効果」=「雪だるま式に増える」と勘違いしてしまうことも多いというのが現状です。

投資信託のように固定利回りではない商品で投資する場合には、利息相当額(利益も含む)を元本に組み入れて再投資していっても必ずしも雪だるま式には増えません。
損失が膨らんでいく場合には、逆に雪ダルマ式に減っていくこともありうる、ということを十分に理解しておく必要があります。

では、投資信託のような固定利回りではなく価格の変動する商品で投資を続けていった場合、どのような投資効果が見込めるのでしょうか?

老後資産を作るためにインデックス型の投資信託で積立てをしていくような場合、どれくらいの金額をどれくらいの期間積み立てたらいくらくらいの資産を作ることができるのでしょうか?

価格が変動するからそんなことはわからない。
期待しないで、うまくいけばラッキーくらいの気持ちで積立投資してください。

このようになってしまうのでしょうか?

長期投資をするからには、ある程度の目途を建てたいものです。
しっかりした目的、目標を持って資産形成することが、投資を継続するためにとても役立つと思います。

その目途を建てるためのよすがとして、過去のデータを使ったシミュレーション(バックテストと呼んだりします)と、確率を使った将来のシミュレーション(モンテカルロシミュレーションといったりします)をしてみたいと思います。

これを理解することにより、預金のような低利ながら固定利回りのもので運用する場合とインデックス型投資信託のような価格変動のある商品で運用する場合とで、投資成果にどれほどの違いがあるのかを知ることができるようになります。
また、元本割れの確率がどれくらいあるのかといったこともわかるようになります。

次回は、過去のデータを使って、この期間この条件で積立てを続けていたら20年後、30年後にこれだけの金額になっていたというのを具体的にシミュレーションしてみたいと思います。

異なった期間でこのシミュレーションを繰り返すことにより、価格変動商品で積立投資することによって投資成果がどのようになるのかが、感覚的につかめるようになるでしょう。

また、投資を成功させるコツをつかむのにも役立ちます。

では、次回をお楽しみに。