こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP
アイマーク株式会社 代表の村松です。
弊社は経営理念に則り、保険と資産運用の専門家として、お客様の今と未来をお守りするため、質の高いサービスとコンサルティングを提供し続けてまいりました。
今回は、選択制確定拠出年金と社会保障に関するお話です。
中小企業を中心に導入が進んでいる選択制確定拠出年金ですが、加入によって厚生年金保険などの社会保障が減る可能性があります。
この記事では、選択制確定拠出年金の仕組みや、加入によって減る可能性がある社会保障の種類について解説します。
併せて、選択制確定拠出年金の導入をお考えの企業ご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
選択制確定拠出年金の仕組み
確定拠出年金企業型の一つ「選択制確定拠出年金」は、従業員の給与の一部を「生涯設計手当」などと名付け、確定拠出年金企業型の掛金として利用できるように給付する制度です。
上記の図のとおり、従業員は生涯設計手当の全額を「確定拠出年金企業型に拠出するのか」「一部を拠出して残りを給与として受け取るのか」または「全額を給与として受け取るのか」を選択できるのです。
従業員が企業から受け取る事業主掛金の変更は、原則年に1回と定められています。
生涯設計手当の上限は、月額5万5,000円ですが、アイマークでご契約されている企業の従業員様は、1~2万円で拠出している方が多いように見受けられます。
このように、選択制確定拠出年金は従業員の自由度が高く、少額からでも拠出しやすいことがメリットです。
確定拠出年金企業型に似た金融商品に「つみたてNISA」があります。確定拠出年金企業型とつみたてNISAの大きな違いは、「投資期間」です。
つみたてNISAの非課税期間は20年で終了しますが、確定拠出年金企業型の場合は、企業が定めた年齢まで拠出でき、拠出を終えるまで運用益の非課税の恩恵を受けられます。
投資商品の複利効果は、投資を始めてから30年を超えたあたりから出てきます。そのため、若いうちに拠出を開始すれば、次第に複利効果を実感することができるでしょう。
選択制確定拠出年金で給付が減るかもしれない社会保険
選択制確定拠出年金に拠出した生涯設計手当は、社会保険料の算定から外れるため、社会保障の給付が減る可能性があります。
ここでは、選択制確定拠出年金の加入で給付が減る可能性がある3つの社会保険について解説します。
厚生年金保険
厚生年金保険は、会社員や公務員などに加入義務のある公的年金制度です。保険料は、加入者の給与等に応じて支払金額が決定するため、人によって異なります。
また、保険料は加入者と企業の労使折半となり、所属する事業所を通じて支払います。厚生年金保険の種類は以下の3つです。
● 老齢厚生年金
● 障害厚生年金
● 遺族厚生年金
老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた方が、原則65歳から受け取る年金です。
また、一定の条件を満たすことを条件に、被保険者の障害の状態に応じて支払われる「障害厚生年金」や、被保険者が死亡した際に遺族に支払われる「遺族厚生年金」もあります。
これらの給付額は、被保険者の給与をもとに計算されるため、選択制確定拠出年金の拠出金額が多いほど、厚生年金保険の減額につながるのです。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業等で仕事を失った際、生活の保障をするための給付を行ったり、再就職の支援等を行ったりする労働保険の一つです。失業給付の金額は、雇用保険に加入していた労働者の被保険者期間や退職理由等によって異なります。
雇用保険には、被保険者が育児のために休業する際の「育児休業給付」や、家族の介護のために休業した際の「介護休業給付」もあります。
失業給付は「退職する直前6ヵ月間の賃金÷180日」、育児休業給付や介護休業給付は「休業開始直前6ヵ月間の賃金÷180」をもとに計算するため、算定のもとになる給与が減ると、これらの給付金が減る可能性が生じるのです。
健康保険
健康保険は、ケガ・病気・出産・休業などに備えるための、公的医療保険制度です。選択制確定拠出年金の加入によって、健康保険の給付に影響するのは「傷病手当金」と「出産手当金」です。
傷病手当金はけがや病気で会社を休む際、出産手当金は健康保険の被保険者が出産を理由に会社を休む際に、企業から十分な報酬が出ない場合に支給されます。
傷病手当金と出産手当金の一日あたりの金額の計算方法は、次のとおりです。
● 支給開始日直前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
傷病手当金と出産手当金においても、従業員の給与をもとに計算が行われるため、給与が減るにつれて、これらの手当金も減額します。
まとめ
選択制確定拠出年金は、従業員がライフプランに合わせた資産形成ができる制度です。しかし、拠出額が多くなるほど、社会保障が手薄になる可能性があるため、アイマークではおすすめしていません。
確定拠出年金企業型の一つに、「前払い退職金として支給+選択制」があります。これは、選択制確定拠出年金の仕組みに、企業が従業員の給与に退職金の全部または一部を上乗せ支給するものです。
この制度では、企業が上乗せした退職金によって、従業員の選択肢の幅がさらに広がるなどのメリットがあります。
アイマークは、金融商品の長期保有を前提とした提案ができることを特徴とし、契約から10年以上経過した特定保険商品の件数は878件、20年以上は91件の実績があります。
確定拠出年金企業型の導入でお悩みの企業ご担当者様は、お気軽にアイマークまでご相談ください。