こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。
確定拠出年金の個人型にiDeCoというニックネームが付き、日本に住むほぼすべての人が加入できるようになりました。
加入資格者の拡大とちょっと難しい言葉で言ったりしますが、現在加入できない人は、国民年金保険料の免除者のみです。
免除には法定免除と申請免除の2種類があります。
法定免除とは障害年金の受給を受けている方と生活保護を受けていらっしゃる方が対象です。
申請免除とは収入の減少や失業などの経済的理由により保険料の納付が難しい方が対象です。
申請免除にはさらに区分があり、状況に応じて全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。少し似た制度ですが、学生納付特例と納付猶予制度というのもあります。
全額免除の目安は、前年所得が(扶養親族等の数+1)x35万円+22万円の範囲内であることと決められています。単身者であれば所得57万円ですから相当厳しい状況が想像できます。
全額免除を受けた場合、その期間は正規に保険料を納めた期間として扱われます。しかし、受け取る年金額には2分の1しか反映されません。(学生納付特例と納付猶予制度は加入期間として認められますが受給額には一切反映されません)
国民年金に20歳から60歳までの40年間保険料をすべて支払った方が受給する年金額のことを「老齢基礎年金満額」と言うのですが、これがおよそ年間80万円です。当然加入期間に比例して受給額が増額されますので、例えば30年しか保険料の納付をしていなければ受給額は約60万円となります。1年あたりの加入で将来の年金額2万円と理解していただくと良いでしょう。
これが全額免除であると1年あたりの免除期間に対応する将来の年金額は通常の半分の1万円となります。保険料を納めていないのに半分もらえるなんておかしいでしょ、と思うかもしれませんが、これは老齢基礎年金を支払うお財布の中は半分が保険料で半分が税金、保険料免除の方も税金はしはらっているでしょ、という意味で半額の受給となるのです。
それでもかなり年金額は少ないですよね。
今回iDeCoの加入資格者は、このような免除者を除きすべての人が対象となったわけですが、個人的には国は「自立できる方は税制優遇をしますから、自立してくださいね」というとても大きなメッセージだと感じています。
例えば保険料を未納している人は、年金に加入した期間ともみなされず従って将来受け取る年金額にもその期間が反映されないのですが、国はこの未納者への取り立てを厳しくしていく方針です。しかし実際の未納者の多くは、本来であれば申請免除の対象となるような方で免除の仕組みをしらず保険料の支払いができないからしていないという方も多いそうです。
もしそういう方が適正に手続きを行い免除が認められれば、救済につながります。保険料未納はすなわち無年金ですが、免除であれば少なくとも半分の年金は受け取れるからです。
また今年は老齢年金受給要件が25年から10年に短縮されます。これによって多くの無年金者が救済される予定です。私見ではありますが、国は年金を受け取れる方を少しでも増やそうと動いているように感じますし、元気で働いていらっしゃる方は、どうぞ自助努力をお願いしますという方針ではないかと思います。
例えば、老齢年金は65歳から受け取りを始めることができますが、この受け取り開始時期を遅らせることで年金額の割増という優遇を受けることができます。これを「繰り下げ受給」と呼び、最大5年遅らせると42%も年金額が増えるのです。これもまた、元気で働いていらっしゃる方、または貯えがある方はすぐに年金を受給せず自助努力でお願いします、というメッセージです。
そう考えると、iDeCoの加入資格がある方は、ある意味恵まれた方といえるでしょうし、そうであればしっかり自助努力としてiDeCoを活用すべきであると考えます。自分で自分の生活を支えられる方はぜひ積極的に支えるべきだと思いますね。さらに言うと、そのような方は社会の支え手になっていただくべきだと思いますし、支え手であることにプライドを持っていただいてしかるべきではないかと思います。
iDeCoは「お得な制度」として報道されることも多いですが、それよりもなにも経済的自立の証拠、社会の支え手として税制優遇という特権を与えられている人達と思った方が良いのではないかと思います。
自立は強さです。強い人は、弱い人を支ええることができます。ぜひ誇りをもってiDeCoを活用し、経済的な自立のために資産形成に積極的になっていただければとかんがえます。さらに言うと、これがiDeCoを拡大する国の本当の意味、iDeCoの本質かなと思うのです。