ご相談者DATE マユミさん(仮名)
【年齢】 45歳
【職業】 専業主婦
【性別】 女
【家族構成】 配偶者(離婚予定) 長男(大学生)
相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)
離婚をしようと思っています。長年騙され、若い女に手をだした夫が許せません。1円でも多く財産をもらってやろうと思います。人に言うと恥ずかしいので、自分で調べています。
確定拠出年金について、こちらのサイトに繋がり、BLOGを拝見していたら、離婚経験者のFPさんがいました。この人なら、恥ずかしい気持ちもわかってもらえるかと思い、寺門さんに相談しました。
ご相談内容
夫に浮気をされました。数年前からおかしいな~と思っていたのですが「違う」と一点張り。でも仕事が忙しいと言っては、週に3回は深夜の帰宅、週末もドンドン家にいないようになり、昨年から夏休みも「会社の仲間と旅行」と言って出掛けるんです。給与もボーナスも減っていくし。今年の初めに父が亡くなりわずかながら財産分与がありました。そのお金を使って探偵を頼んだら、やはり浮気が発覚しました。会社の若い部下でした。悔しくて、悔しくて。離婚をしようと思います。数年間も私をだましていた夫が許せません。1円でも多く、財産分与と慰謝料をとりたいと思います。夫はiDeCoにも加入しておりこれは間違いなく夫婦の共有財産ですよね。夫は義父の会社の役員をしているので、収入もそこそこあるので、掛金も最高額加入しています。iDeCoも年金分割の対象で半分は私がもらえますか?
ご相談した内容
「離婚」。実は私も離婚経験者です。まずは、離婚に至るまでの月日、いろいろ悩み、苦しまれたのではないでしょうか?もう、お元気になられましたか?今日は、せっかくご相談を頂いたので、iDeCo を含め、離婚後の生活について、少しアドバイスさせて頂きます。
(私は、夫婦問題カウンセラー上級プロコース取得者です)
1-1:財産分与について
‘iDeCoのお話しする前に、もう少し大枠で財産分与についてお伝え致します。
離婚の話し合いにおいて、最終段階になると「お金」の話がでてきます。家・車・預金・有価証券etc資産についてどのような配分にするか、実際に経験するまでわからない方が多いのです。結論から申し上げると『2人の財産を2人でわけましょう』という考え方に基づき、分割していきます。
1-2:離婚時の財産分与の考え方
- 結婚している間に、夫婦間で協力して形成・維持してきた財産については、名義に関わらず夫婦共有の財産と考えます。
例)
・結婚前に、夫が購入済みのマンションに同居。名義 夫。
⇒夫の財産のまま
・結婚5年後、生活費にしている預金に貯めた 夫 名義の通帳で頭金を作り、
マンションを購入。完済 夫 名義。
⇒夫婦共有財産
預金も有価証券も、結婚後の資産は、夫婦共有の財産となります。
一番やっかいなのは、ローンの支払いが残っている不動産です。特に自宅で使用している場合は注意が必要です。
1-3自宅の住宅ローンが残っている場合
・一番平和な解決法は、売却 → 現金化 → ローン返済 → 余れば分割
・ローンオーバーとなった場合は話し合い。
~夫 名義で離婚後夫が住む場合~
・ローン事態に問題はありません。但し妻が「分割」を希望する場合は、不動産鑑定士または不動産業者に見積金額を算定してもらい、相当分を「分割」してもらえる可能性はあります。ただし、話し合いが必要です。
~夫 名義で妻が離婚後住む場合~
・住宅ローンは「家に住む人が支払う」(組める)のが前提のシステムです。そのため、仮に離婚後も夫がローンを返済をしてくれると言っても、銀行が承諾してくれない可能性があります。
・上記の理由を解消するために、名義を妻に変更する方法があります。しかし、妻が専業主婦で充分な収入が無い場合に、審査に通らない可能性もあります。
・この場合も話し合いが必要です。
私は簡単に「話し合い」と伝えましたが、簡単に済まないケースがほとんどです。その場合は、第三者に介入してもらうことになりますが、やはり弁護士さんにお願いするのが賢明です。「調停で話し合う」という方法もあります。しかし、なかにはお互いに強い嫌悪感を持つ夫婦もいます。その場合は、夫婦問題カウンセラーの立場で、様々なケースを拝見していますが、不調となるケースが多いようです。特に調停で「審議」にかけられると、納得のいかない結果で終わり、後の人生に暗い影を残すことになりかねません。
<ある夫婦のケース>
・物件価格 4500万
・頭金 夫父500万/妻父500万/夫250万/妻250万
・3000万ローン→共稼ぎ期間(約3年)夫婦半々の支払い、その後夫が払う。
・夫が事業に失敗し生活困難な間、妻の父に一部支払いをしてもらう
・妻が難病を発症
・現在、賃貸料金をローン返済にあてている
・現在、調停中(双方、弁護士有)
↑
充分な話し合いがないまま、妻側が調停に踏み出しました。現在、不動産業者に見積もりを依頼し、今後交渉に入ると思います。このように、実際は複雑なケースが多いので、専門家に委ねるのが、結果的に一番賢明です。
<夫婦問題の事情は様々>
100組の夫婦がいれば、100通りの問題パターンがあります。家族構成・収入・財産内容・離婚原因は様々ですから、あたりまえですね。多少お金がかかりますが、財産分与のことは弁護士だけに相談せずFPにも相談をし、早期解決をしましょう。次の人生を踏み出すのに、後悔が残らない様にすることをおオススメします。
2:離婚時の年金分割について
離婚時の年金分割が一時期話題となりました。しかし、よく聞くと大きな間違いをしている人が多いので、説明させてください。
公的年金については下記のような方程式があります。
・「基礎年金」 + 「厚生年金」 = 「年金支給額」
多くの人はイコール(=)の後の「年金支給額」の半額を分割してもらえると思っています。しかし、それは間違いです。「基礎年金」部分は、年金受取資格者本人の固有の財産ですから分割対象とはなりません。(ただし、加入期間により金額がかわります)
~第3号被保険者~(専業主婦の場合)
第3号被保険者の方は、厚生年金に加入していません。
実際に離婚後、妻が夫から受給できるのは「厚生年金」×50%(二分の一)の部分です。
「基礎年金」部分は、一人ひとコマ、全員が受取れます。
~第2号被保険者~(共稼の場合)
・第2号被保険者同士…厚生年金の受給が高い方が、低い方へ差額分を支払います。
・どちらかが第1号だった場合…やはり「厚生年金」×50%(二分の一)が分与されます。
※「分割」を希望する場合は、請求期限(離婚後2年以内)に申請してください。
※「分割」は夫から妻ではなく、「厚生年金」部分が対象となります。
※また厚生年金が「高い人」から「低い人」へ分割となります。
※付加年金は対象になりません。
※第1号被保険者は「厚生年金」がないので「分割」はありません。
夫が、自営業者の場合は「年金分割」はありませんので、勘違いしないで下さいね。
3:iDeCoの年金分割
一方、iDeCoの年金分割はどうなるのでしょうか?
iDeCoを含む、確定拠出年金は財産分割の対象にはなりません。確定拠出年金を受け取れるのは、口座の名義人だけです。また、離婚したからと言っても解約はできません。なぜなら「年金」だからです。また加入期間中はその「年金額」も確定していないために分割も出来ないのです。そして解約できない代わりに、税制面で様々なメリットがあります。
4:離婚後のライフプランを立てる
私は、FPの資格を取得して、離婚時の財産分与前に「ライフプラン」を立てる必要があると感じています。。女性の場合は特に、離婚後、仕事を含めて大きく人生が変わります。私などは人間関係において、離婚前と今とで、90%変わりました。元夫の仕事を手伝っていましたので、仕事も変わりました。ここまで来るには、新しい人生を送るための「教育費」を随分と使ったのです。これらは、離婚時に請求しておりません。私は幸いにも、充分な財産分与を頂きましたが、もしこの資本金がなければ、人生遠回りをしていたと思います。
<ライフプランの立て方例>
2018年 | ・ファイナンシャルプランナーの資格取得 | 30万 |
・癒し旅行(ハワイ) | 20万 | |
2019年 | ・セミナー受講費 月1回×12ヶ月 | 12万 |
・パソコン教室 WORD /EXSEL/パワポ | 30万 | |
2020年 | ・引越 敷金礼金 家賃10×5 | 50万 |
2021年 | ・商用車 購入 | 150万 |
2022年 | ||
2023年 |
ライフプランは夢の数値化といって、自分の将来のまるっとした夢を、年単位で数値化していきます。上記の表を基に、月々の「支出」を算出し、「離婚後私は一体いくらお金が必要なんだろう?」という疑問に答えを出します。例えば、離婚原因が相手にある場合「一人立ちできるまでの生活費」+「教育費」はもらわないと、傷ついた心が癒されないでしょう。
まとめ
ご相談者は、あらためて今後の人生設計を見直ししたいとFP相談を申し込みされました。iDeCoが分割可能かどうかという単純な質問にここまでいろいろと教えてくださって感謝しているとのお言葉をいただきました。次回は「財産分与の話し合い前」にお時間をとっていただくこととしました。ライフプランを立てると、仕事を選ぶにも選択肢が絞れます。住む場所も絞れます。離婚後は、精神的に回復する為に、交際費などが嵩みます。多めにみてあげないといけない部分もあるのですが、どこかで歯止めをした方が賢明です。自分の身を守ってくれることにつながるんですね
人生100年時代に突入しています。離婚の1度や2度に負けず、それをバネにがんばりましょう!新しいあなたのために。