【初心者向】つみたてNISAの”デメリット”って何ですか?

ご相談者DATE イツミさん 

【年齢】32歳  

【職業】会社員

【性別】女性

【家族】子ども 2歳(シングルマザー)

 

相談しようと思ったきっかけ アンケート抜粋

友人たちの会社では「確定拠出年金」の制度があるようですが、私の勤務先にはありません。何かしら将来の為に蓄えをしたいと思っています。しかし、どの制度を選んだらいいのかわかりません。私は、お金のことは全然わからなくて、銀行へ行っても説明を受けるのが苦になるタイプです。いまさら「知りません」なんて恥ずかしいし…。シグマルの連載を読んでいたので、寺門さんに相談してみました。

 

相談したい内容

元夫から養育費はもらっていますが、これから子どもにお金がかかる時期だし、私も将来に不安があるので、何かしら蓄えていきたいと思っています。先日、学生時代の友人に会ったら株式投資をしていました。彼女はお金について詳しいかと思い聞いてみました。私は税金の優遇がある「つみたてNISA」が、いいかな?と思っていたのですが、彼女曰く「デメリットがあるから私はやらない。私は一般のNISA続けるよ」と言われました。「つみたてNISA」のデメリットって何ですか?「つみたてNISA」は損ですか?

 

コンサルティングでお話しした内容

 

確定拠出年金や一般NISA、つみたてNISA。これらはすべて資産形成をする際に「税金が得する仕組み」で、最近は目や耳にする機会も多くなってきました。そうすると、様々な媒体で評論があり、「○○が一番」とか「○○はデメリットが多い」などという記事をみかけます。専門家として、「こうゆう言い方はどうなのかな?」と疑問を感じることもあります。実はすべての方に共通する答えというのは存在しておらず、最終的には「お客さまにとってのベネフィト」(利益)が一番大切だであり、それが答えだと思います。シングルマザーで頑張っている、イツミさんの『蓄えの目的』から伺い、 イツミさんにとって最善なアドバイスをさせて頂きました。

 

11:メリットはひとそれぞれ

「人生色々」と言われますが、100人いれば100通りの人生があります。

特に最近は「多様化の時代」と言われていますから、生き方も、価値観も色々とありますし、あっていいと思います。お金がらみの話になりますと、金融機関の窓口や、セールスマンのアドバイスに従うしかない時代が長く続きました。しかし、これからの時代はそうではいけません!!金融大改革をしましょう。

自分の未来は、自分でデザインして行く覚悟を持ってください。 

そして私どもの様な「独立系FP」を使ってください。どこの金融機関とのしがらみもない分、しっかりお客さまの立場に立ったアドバイスができます。

 

12:メリットとデメリットは紙一重

 今回のイツミさんの質問「デメリット」って何ですか?という質問に「それはですね…」と簡単に答えてしまうFPは信用しないほうがいいでしょう(笑)

その人は、お客さまの立場には立っていません。「メリット」と「デメリット」は紙一重です。Aさんにとってはメリットなことも、Bさんにとってはデメリットなこともあります。また、その逆もありますね。

 

13:ご友人が言う”デメリット”を確認

 事前にイツミさんに連絡をとり、お友達のいうデメリットを確認してもらいましたところ、その内容は下記の通りでした。

  • 「つみたてNISA」は株式投資ができない。
  • 「つみたてNISA」の限度枠は年間40万円しかない。
  • 選べるファンド(投資信託)が少ない。

まとめると上記のような状況でした。

 

お友達は独身で、ご実家に住んでいるので生活費もかからないとのこと。 その分、お給料の使い道も自由度が高く、投資に回せるのでしょう。

 

お友達がお話しされるように、確かに①~③は間違いではありません。  

株式投資をしているお友達にとっては、「つみたてNISA」より現行の「一般NISA」の方がメリットは大きいと思います。              

また、投資について詳しいお友達は、選べる投資信託の数が少ないのが物足りないかもしれません。しかし、初心者のイツミさんにはとてもラッキーなことだと思います。後程ここは詳しく説明させて頂きます。

 

上記より、

「つみたてNISA」は万人共通のデメリットはないですよ、人それぞれですよ!

と、お伝えさせて頂きたいと思います。

 

2-1:つみたてNISAの特徴を知る

 「つみたてNISA」の特徴について、おさらいしてみましょう。現行の「一般NISA」と比較する人も多いと思いますので、表にしてみました。

 

ここで再確認ですが、                       NISAは「つみたて」も現行の「一般」も少額投資非課税制度であることを覚えておいてください。

 

 

つみたてNISA

一般NISA

 

少 額 投 資 非 課 税 制 度

 

非課税内容

運用利益が非課税

 
 

優遇適用期間

2018年~2037年

2014年~2023年

 
 

年間非課税限度枠

40万円

120万円

 
 

最大投資枠

800万

600万

 
 

非課税期間

20年間

5年間

 
 

対象商品

投資信託

上場株式・公募株式投資信託

 

(金融庁が選択した110本) *1

上場REIT・ETF・ETN

 

口座開設可能数

1人1口座 *2

1人1口座 *2

 
 

ロールオーバー

できない

できる

 
 
         

*1:2017年12月1日現在

      

*2:この制度の併用はできません

     
         

 

一般NISAもつみたてNISAも投資で得られた運用益が非課税になるという点は共通です。しかし投資の対象商品・非課税限度枠(金額)・優遇適用期間・最大投資枠などが、それぞれ特徴があります。ご自身の生活環境に合わせたものを選べば良いと思います。

 

 

3-1つみたてNISAの疑問解消:つみたてNISAは株式ができない

 イツミさんのお友達が言っていた「デメリット」とは、一体何だったのかを検証してみましょう。

 

「つみたてNISA」は株式投資ができない!

 

はい、その通りです! そもそも投資とは「利益を得る為に資金を出すこと」を指します。

その投資には種類があります。(こちらでは「金融商品」についてお伝えします)

その種類のことを「金融資産」ともいいます。それぞれの金融商品には特徴がありますので下記に代表的なものを明記してみました。

 

 

<預貯金・定期預金>

日本人の金融資産の中で代表的なもの。安全性・流動性に優れているが、「低金利」時代の現代では、この商品にお金を預けていても「利益」(利息)を得ることは難しくなりました。

 

<株式現物>

株式マーケットに上場した株を、証券会社を通じて購入します。つまり上場している株式会社の株を買い、株主になることですね。株価は、業績や期待で上下し、自分の判断で売買をします。研究や調査が必要なため、時間や手間がかかります。時には大きな収益を得ることもできますが、暴落したり投資した会社が倒産すればすべてのお金を失うこともあります。

 

<債券>

国や地方公共団体、企業、外国の政府や企業などが、一時的に一般の投資家からまとまった資金を調達することを目的に発行するものです。つまり、私たち「投資家」がお金を貸してあげることとなります。株式との大きな違いは、あらかじめ利率や満期日などが決められて、従って債券を購入すると定期的に利率分の利子を受け取ることができますし、償還(満期)が来ると元本が回収できます。

 

<REIT>

投資家から集めた資金で、不動産への投資を行い、そこから得た家賃収入や不動産売買で得た利益を原資として、投資家に配当するものです。複数のマンションオーナーの一人となるイメージです。

 

<コモディティ>

商品先物取引市場で取引される、原油・ガソリン・金やプラチナ・とうもろこし・大豆などの商品に投資をすることです。

 

<投資信託>

投資家から集めたお金をひとつの大きなパッケージにし、投資の専門家が運用、その「運用益」を分配し利益を得るものです。2017年11月現在日本の公募投資信託の本数は6217本あります。なぜこんなに数が多いのでしょう。それは、それぞれのパッケージ商品には特徴があるからなのです。投資の専門家は、集めたお金を分散して投資を行い利益を狙います。分散内容は、「株式」「債券」「不動産」「商品」など多岐に渡り、また、日本国内だけでなく、国際的に投資をする商品もあります。

 

投資信託は、ある目標となる「指標」と呼ばれるものを目指して、資産運用のプロが、利益をだすために努力(運用)します。その「指標」と呼ばれる目標は様々であります。お正月の「福袋」のようなものですが、中味はみえますのでご安心ください。

 

それぞれの商品には名前があり「A社の○○ファンド」「B社の△△インデックス」というのが一般的ですが、様々なネーミングがあります。

 

それぞれの商品の中味を決めるバイヤーの様な存在を「ファンドマネージャー」と呼びます。このファンドマネージャーが資産運用のプロで、その人が「こんな商品作ろう」と袋詰め作業を指示し、また見直していきます。

 

この作業が複雑で大変なものは手数料が高く、例えば「日経株価指数との連動」のように大きな流れに添わせるものは、手間がかからないので安いのです。

 

「つみたてNISA」は、この商品群の中でも、長期で安定した投資に適した投資信託のみを採用しています。投資信託は、株式やコモディティ単体に比べると、分散して投資をしているので、値動きが比較的安定しています。

 

「つみたてNISA」は初心者に投資の素晴らしさを知っていただくためにできた制度なのです。今回のつみたてNISA開始にあたっては、金融庁が厳しい条件を設けてセレクトした100本程度の投資信託を厳選していますので、投資初心者の人には「つみたてNISA」をオススメします。

 

3-2:つみたてNISAの疑問解消:限度枠が少ない

 はい!確かに現行「一般NISA」に比べると少ないですが、長期間の運用ができます。(上記表参照)

 

現行の「一般NISA」は投資期間は5年までで最大枠額が600万円ですが、「つみたてNISA」は20年間で最大枠額が800万円です。

 

まだ、お若いイツミさんは優遇最大枠額800万円のほうが、むしろお得に思いますが、如何でしょうか!?

 

3-3:つみたてNISAの疑問解消:選べるファンド(投資信託)が少ない

「つみたてNISA」の特徴として、上記で説明したファンドマネージャーの手間がかからなくて手数料が安いものを中心として商品構成となっています。平成29年12月13日現在で114本の商品です。この114本は、金融庁が厳選した優良な商品で、安全性が高いものです。

 

しかし、株式投資のように、一時的に多額の利益をだすことはできません。なので、短期で利益が欲しい「投機家」の人からみると、デメリットといえます。

 

しかし、イツミさんのように、投資初心者の人にとってはとても安全な商品です。

むしろ、メリットと言って良いと思います。

 

4:まとめ:『ライフシフト』老後破綻を回避する投資

いかがですか? 「つみたてNIS」Aのデメリットとは、人により異なることをご理解頂けましたでしょうか。

 

イツミさんには、上記の説明と共に、確定拠出年金のお話しもしました。 しかし、まだお子様も小さいので、まずは途中で引き出しが可能な「つみたてNISA」を選ばれ、余力がでたら、確定拠出年金を追加で始めることにしました。

 

現在、日本の経済成長率は、世界レベルからすると大きく後れをとっています。その原因のひとつとして欧米各国と「お金の蓄え方」の違いが大きかったのです。お金を投資で増やすということに対して、むしろ罪悪感さえするのが日本人です。                          

お金は「安全に預貯金する」という、先代の教えの元、今日に至りました。最近TVで、池上晃さんがコメンテーターとなり、『人生100年時代』の特集番組が放映されました。そこでも「老後破綻」というキーワードで、貯蓄や国の年金だけでは老後経済破綻する時代がきますよ!!といメッセージが流れました。

 

 

自民党の小泉進次郎氏も大きな声をだして提唱されていますが     

『ライフシフト』著者アンドリュー・スコットという書籍があります。

 

この著書の内容は人生100歳時代の生き方と働き方です。 

その生き方のひとつとして、資産形成も貯蓄から、投資へ切り替える時代がきたと思います。

 

いままでは、親や周りの上司、友人の意見を聞いてきたと思います。   しかし、時代は大きく変わっています。マネーリテラシー(お金に関する知識)をご自分でしっかりと身につけて、賢い人生を過ごしてください。お金に対しては、まだ稚拙な日本社会です。自分自身の見る目を養って頂きたいと思います。

 

5:お客さまの感想

ファイナンシャルプランナーさんとのコンサルティングは初めてでドキドキしましたが、ざっくばらんに話ができて楽しかったです。銀行や保険屋さんと話をすると、何か入らないといけないのかな?契約しないで帰れないよな~と、顔色を伺ってしまうのですが、その様な心配がないことが、こんなにも安心して話せるとは意外でした。これからは、投資やお金のことを少し勉強していきたいと思います。

 

 

この記事を書いた人
寺門美和子

夫婦問題とお金のスペシャリスト! 二人のお金・一人のお金・終活から相続まで ワンストップでお任せ下さい。

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