「NISA」と「つみたてNISA」はいくらからできますか?

ご相談者様DATA

【年齢】 43歳

【職業】 専業主婦

【性別】 女性

【家族構成】 夫と子ども2人(13歳、10歳)

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

去年の暮れに、林FPのiDeCoセミナーに参加しました。

夫の会社には退職金制度がありません。その上、国からの年金がどんどん少なくなってくるので、老後生活について考えなければと思っていたところ、たまたまセミナーのチラシを見つけ参加しました。iDeCoの掛金全額所得控除のメリットは使わないともったいないので、早速、夫が加入ました。

ただ、私は所得税を支払ってないので、掛金全額所得控除の恩恵を受けることが無い。所得控除のメリットがあれば、多少口座管理手数料が掛かっても仕方がないと思えますが、所得控除は受けられなく手数料だけ取られるのはどうかと。そして、これから子ども達にお金が掛かるのに60歳まで引き出せないのは困ると思い、私はイデコに入っていません。最低5,000円でも、毎月出すのは大変になってくるかもしれません。

でも、「NISA」や「つみたてNISA」は非課税で運用出来て、いつでも引き出せると聞いてます。子ども達の学費の足しに使い、残ったらそのまま老後資金の足しに出できればいいと思っています。「NISA」はやっていますが、「つみたてNISA」の方がなんか使い勝ってが良いと思っています。でも、積立金がiDeCoのように5,000円からだと、ちょっと途中で苦しくなるかも知れません。

「NISA」や「つみたてNISA」はいくらからできますか?

ご相談でお話しした内容

「NISA」「つみたてNISA」は、非課税投資枠内ならいくらからでも出来ます。

現行の「NISA(少額投資非課税制度)」は年間120万円、「つみたてNISA(非課税累積投資契約に掛かる少額投資非課税制度)」は年間40万円までの非課税投資枠があります。下限は決められていません。

「NISA」(2014年~2023年※)個人投資家のための税制優遇制度です。本来、売買益や配当金に約20%(所得税は平成41年12月31日まで復興特別所得税が加算され15.315%、住民税5%)課税されるところ、毎年120万円までの非課税枠内であれば課税されません。それぞれ5年間非課税で運用出来ます。株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となります。

毎年1月1日~12月31日の1年間で120万円まで、非課税で買い付けが出来ます。最低いくらの投信を買わないといけないとか、いくら以上の株式からしか買い付けが出来ないとかはありません。取引される証券会社で買い付けが出来るものでしたら、買い付け可能です。

一方「つみたてNISA(2018年~2037年※)」は、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。売買益や分配金から税金が引かれることなく再投資出来ますので、複利の効果がより期待できます。購入できる金額は年間40万円まで、最長20年間非課税で運用出来ます。金融庁の定めた条件を満たした公募株式投資信託と上場株式投信(ETF)を、累積投資契約に基づく買い付けることに限られています。毎月、一定金額をコツコツ買い付ける契約になります。最低金額は証券会社によりますが、投資信託なら100円から始められるところもあります。

※令和3年5月追記
NISAは2024年から新制度となり5年間延長されます。
新NISAは2階建てとなっていて、1階のつみたて部分が年間20万円、2階の上場株式等は102万円までの非課税枠があります。現行NISAからのロールオーバーは資産が122万円を超えても出来ます。122万円未満の時は、先ず102万円からを、残りを20万円のつみたて枠を使います。
1階のつみたて部分の投資信託は、新制度のNISA終了時、つみたてNISAに移行が可能です。
つみたてNISAも2042年まで延長されます。

「NISA」と「つみたてNISA」は併用が出来ません。

相談者様は、既にNISA口座で株式投資をされていらっしゃいます。

ボーナスが入ってちょっと余裕が出来たときに、主に優待目的の銘柄を買い付けていらっしゃいます。売買をして大きく増やすのは目的ではなく、優待目的のため長く保有するので、配当金に課税されないようNISA口座で買い付けされていらっしゃいます。

「つみたてNISA」は、まとまった資金がない方がこれから資金形成をするのにとても良いのですが、「NISA」と併用が出来ません。「NISA」、「つみたてNISA」どちらかしか出来ません。

相談者様の場合は「NISA」をお勧めしたいのですが、その理由が2つあります。

1つめは、「つみたてNISA」はロールオーバーできませんし、個別株は買い付け出来ません。よって、非課税期間が終了後したお持ちの株式は、課税口座に移動します。しかし、「NISA」を選択のままでしたら、口座での買い付けは2023年までですが、2024年からの新制度NISAに保有株をロールオーバーすることで、最長2028年の買い付け分まで5年間非課税で持ち続けることが出来ます。

2つめは、「NISA」は非課税買い付け枠が120万円まであります(※新NISA移行後は1階20万円・2階102万円の合計122万円)。相談者様は保有株を除いても非課税枠に余裕があるそうですから、毎月の余裕資金で投資信託を購入する事が出来ます。18年~23年の6年買い付けが出来ます。先ず、お子様お二人の学費の足しにするように、5年目と8年目の大学入学の時期に合わせていくらか現金化することを考えて、タイミングを見て部分的に解約をします。23年までは月末の余裕資金で買える投資信託を買い付けしておきます。「NISA」は買付金額が毎月変動しても良いので、少しでも多く投資する事が出来ます。(勿論、毎月の生活費の3ヶ月分ほど、直ぐに現金化出来る資産をお持ちであることが前提です。それぞれのお子様の学費の準備として定期預金で約100万円ずつ、生活費とは別で持っていらっしゃいます。)

お子様が高校までは生活費で賄うようにします。そして、大学進学に備え2023年までの5年間で投資信託を少しでも多く買い付けておきます。例えば国立大学に入学で奨学金を希望する場合でも、入学金、前期分の授業料、万が一の私立への入学金、受験料、旅費等で、最低でも100万を準備する必要があります。推薦入試やAO入試の場合、入学金等納めるのが早くなります。お子様の希望を早めに把握して資金計画を立てましょう。

つみたてNISAは毎月一定金額を積み立てていく制度です。年間の上限が40万ですから、一ヶ月の上限33,333円です。余裕のある月に少し多めに買い付けるような方法は出来ないのです。

NISA制度が廃止されてから、つみたてNISAを始められてはいかがでしょうか。

2018年現行NISAでボーナス時に株式等購入
毎月の余裕資金で投資信託を購入
2022年【第1子】大学入試
(推薦・AO)
※学費納入時期に注意。
以後、場合によっては資産の取り崩しも
2023年【第1子】大学入試
(一般)※学費納入
入学
現行NISA買い付け終了
(新NISAにロールオーバー可能)
2025年【第2子】大学入試
(推薦・AO)
※学費納入時期に注意。
以後、場合によっては資産の取り崩しも
2026年【第2子】大学入試
(一般)※学費納入
入学
(【第1子】大学院入試(9月頃))
2027年【第1子】学部卒業
2028年12月現行「NISA」終了
新NISA開始

制度終了後つみたて部分はつみたてNISAへ

注)大学入試の時期については、現行、各大学による。

つみたてNISAとiDeCo、NISAとiDeCoは併用出来ます。

今は専業主婦でいらっしゃる相談者様ですが、下のお子様が18歳になられる8年後は、相談者様の生活スタイルも変わられるかも知れません。お子様の進学も決まり、学費のめどが付いたら老後の生活資金を意識しましょう。「つみたてNISA」だけでは月々約3万ですので、その時はiDeCoでの運用も考えられてはいかがでしょうか。専業主婦のままでは掛金全額所得控除のメリットはありませんが、iDeCo専用の商品は通常で投資信託を運用するより運用時の手数料が低くなっています。口座管理手数料は掛かりますが、ずっと非課税で運用出来ますから、60歳になったら掛金は出せませんが運用は70歳まで出来ます。

受け取る時に退職所得控除が使えます。掛金の拠出期間を加入期間とします。専業主婦の掛金はMAXで月々23,000円ですので、年間276,000円です。退職所得控除は加入20年までは年40万円の控除がありますが、8年後の51歳からiDeCoを始められたとすると、60歳までの9年間しか掛金を掛けられず、退職所得控除額は360万円になります。引き出せるのは61歳からになります。

(令和3年5月追記)
2022年5月より、国民年金被保険者であればiDeCoの加入が可能になります。
第1号被保険者と第2号被保険者は60歳未満、第2号被保険者は65歳未満、任意加入被保険者は保険料納付済み期間が480ヶ月未満(65歳未満)での加入が可能になります。

iDeCoの掛金は年に一度変えられます。例えば、8年を待たず、教育費のめどが付いたら早めに5,000円からでも始めて、とりあえず加入期間を作っておきます。60歳の誕生日までに9年と1ヶ月でも10年とカウントされます。すると、退職所得控除が400万円になります。

そして、iDeCoは本人の固有の財産です。専業主婦の掛金は夫が出しているところがほとんどですが、妻のiDeCoは妻の固有財産です。

相談者様はご自分の老後について関心を持っていらっしゃいますが、とかく専業主婦は自分の事を二の次にしてしまいがちです。人生90年時代を生き抜くには、まず、自分の財産を持つことが必要ですとお伝えしました。

【相談を終えて】

相談者様はご自身の老後のことより、お子様の教育資金について心配されていらっしゃいました。次回の面談では、資産運用についての他、奨学金等、教育資金についての各種手続き方法など前もって知っておきたいとのことで、教育資金の準備についてのアドバイスをする事になりました。

この記事を書いた人
林 智慮

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