ご相談者様 DATA
【年齢】40代前半
【職業】主婦
【性別】女性
【家族構成】 配偶者、子供1名
相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)
最近、女性向けの雑誌やインターネットで、頻繁にiDeCoの文字を見るので興味を持っていたところ、お友達にFPの水野さんが講師のセミナーに誘って頂いたので相談しました。
ご相談内容
銀行に定期預金をしていますが、満期を迎えました。また定期預金のままでいいのか、主人とも話し、今取り上げられているiDeCoは、主婦や主人(サラリーマン)でも加入できるのか分からないので相談に訪れました。
ご相談でお話しした内容
日本に住むすべての人が加入対象
iDeCoは、だれでも加入することができます。それも、今年(2017年1月)に加入枠が拡大されたばかりなので、今一番HOTな話題となっていますので、雑誌やネット等で取り上げられる回数が多いという訳です。
日本に住む20歳から59歳まですべての人が加入対象ですから、主婦でもサラリーマンでも、学校の先生、警察官・看護師・市職員等の公務員、自営業の方はもちろんのこと、外国人であっても加入することができます。
ただし、注意する点があります。それは、国民年金を未納している方・免除を受けている方は加入することができません。なぜならば、iDeCoは公的年金の上乗せ制度になっているためです。それに、iDeCoには、特別の優遇措置もついてきます。
掛け金の上限が異なる
だれでも加入できるiDeCoですが、サラリーマンと主婦の方、厚生年金がない自営業の方では、加入できる掛け金の上限が異なるので詳しく見ていきましょう。
まずは、サラリーマン・公務員をご主人に持つ主婦の方(第2号被保険者の配偶者)で収入が130万円未満の方(第3号被保険者と呼んでいます)の毎月の掛け金の上限は、23,000円になります。こちらと同様にサラリーマンの方(会社員)も23,000円となります。
ただし、公務員の方の掛け金の上限は、少し変わってきます。
ここが、今回(2017年1月)のiDeCoの改正で大きく変更になった1つでもあります。それは、今まで公務員の方については、iDeCoの加入が認められていませんでした。今回の改正によりiDeCoの加入が認められた背景には、年金制度の改正があったからです。今まで公務員の方は、サラリーマンと同じ第2被保険者でありながら、『職域加算』という優遇された上乗せ年金がありましたが、2015年10月の被用者年金の一元化によりそれがなくなり、代わってiDeCoの加入が認められるようになりました。毎月の掛け金の上限は、12,000円になります。
自営業の方、フリーランスの方、(つまり第1号被保険者)は、厚生年金がありません。公的年金は国民年金しかありませんので、ご自身で用意してくださいねとなっています。そこで、iDeCoもその1つですよという意味です。毎月の掛け金の上限は、68,000円です。
ただし、第1号被保険者の方は、この他にも国民年金基金という年金の上乗せ制度があります。iDeCoも国民年金基金も併用が可能であり、全額所得控除になっているため2つ併用して毎月の掛け金の上限は68,000円と不公平にならないようにしてあります。
ケーススタディ
パートの主婦がiDeCoをした場合
まずは、iDeCoの特徴をおさらいしましょう。
Ⅰ毎月の掛け金が全額控除 所得税・住民税が軽減される。
Ⅱ運用益が非課税 NISA(少額投資非課税制度)は5年間ですが、iDeCoは運用期間中ずっと。
Ⅲ退職所得控除が受け取り時に使える。
ⅠからⅢが自分に当てはまるか見てみましょう。
年収103万円より少ないパート主婦の方なら、所得控除が受けられる所得がそもそもありませんので、iDeCoの節税メリットはありません。ただし、Ⅱの運用期間中の運用益が非課税は、NISAの5年間より大きいですし、Ⅲの加入期間が退職所得控除となるので、非課税の退職金を作ることができるのも魅力の1つです。
では、デメリットも見ておきましょう。
Ⅰ年金をもらえるのは60歳から。
途中で使いたくても60歳までは解約できません。ただ、掛け金の変更は出来ますので長期的な視野で掛け金を考慮する必要があります。
Ⅱ毎月手数料が取られる。
初めに加入時の手数料(数千円)と毎月の管理手数料(数百円)が掛かります。毎月の
管理手数料は、長く掛ければ大きくなりますのでご自分が選択した金融機関の手数料をしっかり確認しましょう。
上記ご説明より、ご相談者にはまずは会社員であるご主人がiDeCoを利用して老後資金の積立をはじめ、現在専業主婦であるご相談者は近々パート勤めを検討しているので、その資金をもとにiDeCoを始めることになりました。満期になった定期預金は金利が少し高いネット銀行の定期に預け替えをして、お子さんの教育資金のために安全に運用し、まずは無理のない掛金で老後資金をiDeCoで積立を行います。将来のための資金計画が明確になり、とても満足していただきました。