仕組みや制度を、
知っていれば【貯められる】、知っていれば【殖やせる】、知っていれば【騙されない】
FP相談ねっと林です。
『貯蓄から投資へ』と言われ、投資意識は高まってはいるものの、安定した資産形成にはまだまだのようです。
令和2年9月18日に金融庁が発表した「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」で、金融事業者における顧客本位の業務運営に向けた取組み状況の分析が公表されていました。
2017年の「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されてから、2020年6月までに、「原則」を採択し取組方針を公表した金融事業者は1,974社(2019年6月末比+295社)と、金融機関の体制が顧客本位へ改善する事業者が増加しています。
2007年12月に銀行で投資信託や保険商品の販売が出来る様になった頃から、金融商品販売のクレームが増えてきました。手数料が絡んでくるため、顧客よりも収益を優先することが問題にされ、上記の取り組みがされています。
投資信託につきましては、平成 24 年 7 月 26 日に国民生活センターが公表した「年々増加する投資信託のトラブル-元本割れなどのリスクを再確認し、トラブルの未然・拡大防止を-」で、注意喚起がされていますし、外貨建て生命保険につきましては、令和2年2月20日に国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」と2度目の注意喚起がされております。
因みに、動画でもお伝えしております。
緊急)「心配ない」の言葉にだまされないで!覚えが無い外貨建て生命保険を契約|~お母さんが知っておきたい~家族がだまされないためのお金の真実を学ぶ講座
銀行販売の投資信託で顧客が利益を上げられているかについては、令和2年9月18日に金融庁が発表した「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」の中に、【参考1】 主要行等の投資信託の運用損益別顧客比率、【参考2】 地域銀行の投資信託の運用損益別顧客比率により知ることが出来ます。
それによると、銀行販売の投資信託で利益を上げられた顧客が50%以上の主要銀行は3社あり、地銀の断トツは「カ◯チ△の馬車」で話題になったS銀行が65%、第二地銀のk銀行が54%と、主要行よりも好成績ですが、後の銀行はマイナスになってしまった方が多い状態となっています。(ただし、価格は変動しますので、この先ずっとマイナスということではありません。)
何を選んで良いか分からないから、銀行に「おすすめ」を聞いてしまう。相手は物を売る側なので、利益が良いものを勧めるでしょう。しかし、買い手側は、良く分からないから売り手が勧めるものが良いと信じてしまいます。
投資を知らないけれど始めてみようという方に、「つみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)」という制度があります。手数料等、金融庁が一定の制限を設け、その基準をクリアした商品がラインナップされています。購入時の手数料は掛からず、一般に買える投資信託と比べて信託報酬も安いものです。毎月分配型はありません。投資が初めての場合は、大きく失敗することがないものとなっています。
年間40万まで、20年間、非課税で運用出来ます。金融機関によって取り扱っている商品は違いますが、主要な銀行だけで無く、地銀さんでも、信用金庫さんでも、つみたてNISAが出来ます。
ですが・・
ある方が、お付き合いのある金融機関でつみたてNISAを始めました。もともと、担当者に勧められてNISA口座で毎月分配型の投資信託を買っていましたが、損していることを知って、その投資信託は解約し、翌年、「つみたてNISA」をすることを担当者に伝えました。
手続きをしてもらいましたが、その実は、NISA口座のままで、購入手数料がかかり信託報酬も安くない、パフォーマンスも良くない、そんな投資信託を買っていたのです。ちゃんと「つみたてNISA」と伝えたにもかかわらず、です。
商品の説明義務以前の問題です。客側が伝えきれなかったこともありますが、何も知らない客だからと「つみたてNISA」を「NISA口座でのつみたて」にすり替え、説明もなしに署名捺印をさせ、己の利益が出るように契約させてしまう。運用説明書についても全く解説せず。これは、行員の手違いで済まされる問題ではありません。
しかし、客側も自分の身は自分で守りましょう。自分が何に契約するか理解した上で、署名、捺印しましょう。相手は「ここにサインして」「ここに判子押して」と急かして言ってきますが、落ち着いて、契約書面には目を通し、理解した上で契約しましょう。