こんにちは。神奈川の湘南で、FPと社会保険労務士の二刀流で活動している三藤です。
コロナウイルス感染症拡大により、4月に出された緊急事態宣言は5月下旬に解除されましたが、その間、外出自粛、休業要請により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方が多くいらっしゃいました。緊急事態宣言が解除された現在も短縮営業、時短勤務など、売上の影響は計り知れません。
休業に伴い売上が減少しても、事業主の方がそこで働く従業員の雇用維持を図るために、従業員に休業手当を支給することで解雇や離職を防ぐことができます。国は雇用維持を図った事業主の方に対して「雇用調整助成金」として支給しています。しかし、この従来からある「雇用調整助成金」は申請が複雑で大変なんです。
今回の不測の事態に、複雑な申請が何度か簡素化されてきました。それでも私が受けた個別相談、電話相談では、「よく分からない」「面倒で申請できない」「そもそも自分のところが助成金の対象となっているのだろうか?」と質問、相談にいらっしゃいます。
助成金の支給対象となっているのだろうか?
事業主の方からのご相談で一番多いのは、自分の会社が助成金の対象になっているかどうかです。支給対象となっているかどうかの判断は次の3点が全て該当しているか確認してみましょう。
・新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少(3月までは10%、4月からは5%)しているかどうか
休業した月と1年前の同じ月と比較してみましょう。もしくは休業した月の前月などの比較でも構いません。
・休業している間、従業員に休業手当(労働基準法第26条、平均賃金の6割以上)を支給していること
・雇用保険適用事業主であること。(今回の緊急対応期間中は、労災保険適用事業所、暫定任意適用事業所であれば、雇用保険被保険者とならない労働者の休業についても助成対象となります。)
小規模事業主の方には朗報、さらに簡素化
支給対象になっていたら、厚生労働省のHPに支給申請のマニュアルと手書き用の申請書またはパソコン作成用のExcelの申請書があります。まずはマニュアルと申請書をダウンロードまたは印刷しましょう。小規模事業主とは、従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主の方を対象としています。
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www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
今回は雇用保険に加入していない方にも助成金対象となっています。ただし、申請書は雇用保険加入者と加入者以外と別々の申請書なので間違えないようにしましょう。雇用保険加入者は「雇用調整助成金」雇用保険に加入していない方の申請は「緊急雇用安定助成金」です!
雇用調整助成金の申請書を作成してみよう!(小規模事業主用)
パソコンを使い、Excelで作成してみましょう。
<様式新特小第2号(実績一覧表)>
・申請は判定基礎期間ごとにします。判定基礎期間とは賃金の締切期間です。
例:毎月月末締めであれば4月1日から4月30日が判定基礎期間となります。毎月20日締めであれば、4月21日から5月20日、ただし4月1日から休業している場合、初回申請は4月1日から5月20日が判定基礎期間となります。
・休業手当の支払率は?
例:休業前と同じように全額支払っていれば、100%になります。労使で話し合って率を決めます。(ただし労働基準法第26条、平均賃金の6割以上)
・休業した雇用保険加入者の名前、雇用保険被保険者番号を記入、その方の休業した日数(時短であれば時間数)と休業手当の額をマニュアルを参考に記入しましょう。日数、時間数、金額の合計は自動計算されます。さらに右下には事業主名と労働者代表の氏名を記載します。労働者代表は労働組合があれば組合の代表、組合がなければ、従業員の代表となる方です。
<様式新特小第1号(支給申請書)>
・事業主の情報や振込み先口座などマニュアルを参考に記入しましょう。Excelの申請書は赤い箇所を記入、緑は選び、クリーム色は転記されるので記入する必要はありません。
<様式新特小第3号(確認申立書)>
・第1号同様に、赤い箇所を記入、緑は選び、クリーム色は転記されるので記入の必要はありません。
<添付書類>
申請には申請書と添付書類が必要です。マニュアルの「5.申請に必要な書類をそろえます」を参考にしましょう。添付書類は4種類プラス振込み先の通帳またはキャッシュカードのコピーです。
添付書類は既存の書類で大丈夫です。例えば、出勤簿は手書きでも構いません。休業させた日や時間が分かるようにすることが重要です。
6月12日に上限額が15,000円に!
国会の審議を経て、雇用調整助成金の助成額が従来の一人あたり日額8,330円から15,000円に引き上げられました。今まで申請をためらっていた事業主の方もぜひ申請の検討されることをお勧めします。
事業主の方にとって新型コロナウイルス感染症が収束した後、従業員の方がいなければ事業再開がすぐに進められないのではないでしょうか?そのためにも雇用調整助成金は、従業員の雇用維持に必要な助成金です。従業員の方にとっても雇用が維持されれば、生活に困窮することなく、事業再開に向けてモチベーションアップにもつながるのではないでしょうか?
緊急事態宣言が解除されても、雇用調整助成金の緊急対応期間は6月30日から9月30日まで期間が延長されました。新型コロナウイルス感染症再拡大が懸念される中、事業が再開されてもすぐにもとの状態にとはいかず、回復には時間がかかるかと思います。だからこそ雇用調整助成金を申請されてみてはいかがでしょうか。