大地 恒一郎

NISA大改正

こんにちは、FP相談ねっとの金融教育家、投資信託ナビゲーターの大地恒一郎です。

12月23日、令和5年度税制改正大綱が閣議決定されました。
この中には、注目の少額投資非課税制度(NISA)に関する内容が含まれていました。

すでに「NISA改正の方向性」でお伝えしていたように、
2024年1月からNISA制度が大きく変わることになります。

新聞報道等でご存知の方も多いと思いますが、もう一度簡単に整理しておきたいと思います。
現行のNISA制度の、いわゆる「一般NISA」と「つみたてNISA」は、2024年から一本化されます。
また既に決まっていましたが、「ジュニアNISA」は2023年末で終了となります。

ここでは、「一般NISA」と「つみたてNISA」がどのように変わるのか、を確認しておきましょう。
表にすると次の通りとなります。

なんといっても、最大の進化は、制度の恒久化と非課税期間の無期限化でしょう。

そして、年間投資枠は、「つみたてNISA」が3倍に、
「一般NISA」を引き継ぐ「成長投資枠」も2倍に拡大します。
さらに生涯非課税投資枠も1,800万円と大幅に増えることになります。

たとえば、この1,800万円をすべて「つみたて枠」で使おうとする場合、
年間非課税投資枠を上限の120万円まで使ったとしても、15年間の積み立てが可能になります。
もし、月5万円で年間60万円の積み立てを行なおうとする場合は、
なんと30年間の積み立てが可能なのです。

そして、現在とほぼ同じ額の月3万円の積み立ての場合は、
年間36万円の積立投資を50年間続けることが可能となります。

若いうちは、家計に余裕がなく資産形成に回す資金も限られているでしょう。
そういうときは、まずは5,000円程度の少額からスタートせざるを得ないかもしれません。

そしてだんだんと収入が増え、生活にも余裕ができてきたら、
10,000円、20,000円と毎月の積立額を増やしていくことが可能です。
これまで以上に、ご自身の身の丈に合わせた使い方ができるようになった、といえるでしょう。
なにしろ、新しいNISAは生きている限り、いつまで使えるようになったのですから。

つみたて枠には、年間120万円の非課税投資枠があります。
これは月にすると、毎月100,000円です。
これほど多くの金額を毎月投資に回すことのできる人は、それほど多くはないと思います。
ただ、ボーナス分も含めると、もしかすると可能な方もいるかもしれません。

いずれにしろ、ライフスタイルに応じて、積立額を変更しながら、資産形成が可能になります。
まさに、家計の資産形成のツールとして、ライフイベント用にも、老後の備えにも、
いろいろと活用ができる制度になったといえるのではないでしょうか。

また、生涯非課税投資枠についてですが、
前年までの残高を、購入価格ベース(購入の代価の額)で管理するということのようです。

詳細はまだはっきりしませんが、
そうすると、今年120万円の上限枠を使い切り、生涯投資枠の上限1,800万円に達した場合でも、
もし、その一部を途中売却したとすると、売却した部分(売却した金融商品の簿価の分)は、
翌年以降改めて購入が可能になる、ということではないでしょうか。

この部分はもう少し詳しい情報を待ちたいと思いますが、
いずれにしろ、富裕層ではない、ごく普通の国民にとって、
資産形成を考える場合にNISAを使わないという選択肢はない、ということだと思います。

また、2023年までの現行NISAを利用しても、
2024年からの新NISAの生涯投資枠にはカウントされません。
つまり、1,800万円とは別に非課税枠が使えるということになります。

ただ、注意が必要なのは、2023年まで使える現行のNISAについて、
その残高は、2024年以降の新しいNISAには引き継げないということのようです。
いわゆるロールオーバーが使えない、ということになります。

金融庁資料より

そうすると、2021年12月末現在の一般NISAの残高、約10兆1,200億円は、
2022年と2023年の分も含めるともう少し増えると思われますが、
遅くとも2027年12月末までには、一度現金化されるということになります。

同じくつみたてNISAの残高は昨年末で、約1兆7,100億円でした。
こちらは、2023年スタート分が2042年12月末まで運用可能ですので、
現金化はもう少し先になると思われます。

これらの資金は、預貯金にではなく、もう一度、新NISAに戻ってきてほしいと思います。

さて、壬寅の年もあと1日あまり。来年は癸卯の年です。
皆さんが新NISAを活用しやすくするために、
もっと多くの方に投資信託の基本をお伝えしていけるよう、
私も一段とジャンプアップしていければ、と考えています。

来年もよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。