塚越 菜々子

個人事業主に雇われるなど国民健康保険の方!新型コロナで傷病手当金の対象に!

新型コロナウイルスの広がりで様々な影響が出ています。
新型コロナウイルス感染症に罹患された方々やそのご家族のみなさまには謹んでお見舞い申し上げます。一日も早いご快復をお祈り申し上げます。

さて、陽性反応が出た人のみならず、発熱等の症状があり感染が疑われることによって会社等を休み療養し、十分な給与が受けられなくなっているなどの問題も起きているかもしれません。

社会保険(協会けんぽ・組合健保)に加入している場合は傷病手当金などの支給の対象になりますが、国民健康保険に加入して働いている従業員の方にはこれまで傷病手当金の支給はありませんでした。

今回の感染症による影響を受けて、新型コロナウイルス感染症で働けなくなった場合には、国民健康保険でも傷病手当金が支給されることとなりました。

対象者と手続きの流れ、金額の計算などを確認してみましょう。
(この記事は2020年4月21日現在のものです)

そもそもの傷病手当金

傷病手当金は病気やケガで会社を休み、十分な報酬を受けられない場合に支給されるものです。

  • 仕事以外が原因の病気やケガで休んでいること
  • 4日以上連続して仕事を休んでいること

が支給される条件です。

仕事が原因での病気やケガは労災の対象となりますので、傷病手当金の対象ではありません。
今回の新型コロナウイルスに関しても仕事が原因で感染した場合は労災からの補償となります。

今回の国民健康保険の傷病手当金の条件

本来、社会保険(健康保険)に加入している人にしか支給がなかった傷病手当金ですが、新型コロナウイルスに関係するものに関しては国民健康保険からも傷病手当金が支給される特別措置が行われることになりました。これらは後期高齢者医療保険制度も同様に対象です。

対象となる人

  • 国民健康保険に加入する人(被保険者)
  • 事業主ではなく雇われている従業員
  • 新型コロナウイルスに感染した人・発熱などの症状があり感染が疑われ仕事ができない
  • 連続して4日以上休み、給与が出ていない人(4日目~最長1年6か月)
ー例えばこんな人ー

農業・水産業・漁業
美容院・エステ・スポーツクラブ
弁護士・税理士・社労士事務所
お寺・神社・教会

↑例えばこれらの(有限会社・株式会社・合同会社などではない)
個人事業主に雇われている人で国民健康保険加入者

※働いているところが法人の場合、社長一人であっても社会保険に加入しないといけない(強制適用事業所)ルールなので、法人で働いて国保に加入というのは本来ないはずです。(が、ルール違反のまま会社を継続しているところもあります・・・)

※パートなどで夫の社会保険の扶養に入っている場合は対象外です。

支給される期間

4日目~新型コロナウイルス感染症により仕事に行けない日
2020年1月1日~9月30日(※)の間
(※)今後延長の可能性もあります

遡って申請できますので、慌てずに手続きしましょう

 

支給される金額

(直近の継続した3か月の給与÷出勤日数×2/3)×対象となる日数

※1日の上限30,887円

給料が一部払われたり、休業補償を受けられる場合は傷病手当金が支給されないこともあります。

申請のための書類

様式は今後変わる可能性がありますので、申請の際によく確認してください。

申請書は現在のところ4枚です。

国民健康保険傷病手当金支給申請書(世帯主記入用)

国民健康保険は世帯主が社会保険に加入する会社員でも、手続きは世帯主の名前で行います。

ー記入することー

・被保険者(傷病手当金の対象となる人)の基本情報
・世帯主の氏名
・傷病手当金の振込先情報
 など

 

国民健康保険傷病手当金支給申請書(被保険者記入用)

こちらは新型コロナウイルス感染・疑いで休業し、傷病手当金を受け取る人の情報です。

ー記入することー

・症状が出た日
・帰国者・接触者相談センターへの相談した日とおおよその時間
  ※相談した場合のみ記入
・医療機関の受診状況
・受診した場合は受診日
 (受診していない場合は具体的な症状と期間)
・仕事を休んだ期間
 (↑の内、休日などを除く勤務できなかった期間)
・休んだ機関の給料が貰えるか
・もらえる場合はもらえる額
 など

 

※病院に受診していない場合は事業主の証明
※事情があり受診できないなどは諦めずに相談してみてください。

 

国民健康保険傷病手当金支給申請書(事業主記入用)

こちらは傷病手当金の金額を計算するための給与や休んだ日数を「事業主が」記入します。
会社に記入してもらいましょう。

 

国民健康保険傷病手当金支給申請書(医療機関記入用)

こちらの書類は受診した場合に医療機関に記入してもらうものです。
いま慌てて書類をもらうために医療機関に行くのは得策ではありませんので、まずは電話するなど指示を仰ぎましょう。

 

申請・問い合わせ先

ご自身の加入する国民健康保険の担当課(市役所など)に申請や問い合わせをしてください。
書類は郵送やダウンロードにより受け取る方法にしていくようです。
条件など詳しいことは担当課へ「いきなり行かず事前連絡」

 

注意点

今回の国民健康保険の傷病手当金は「陽性反応が出たか」で判断されるものではありません。
病院を受診しなくても発熱やせきなどの自覚症状があり、自宅で療養が必要なため仕事に行けない場合は対象となります。

ただし「濃厚接触の可能性があるから休んだ」だけでは”就業不能”とは認められないため、対象外です。

もし家族が感染などして濃厚接触者になった場合はまず会社に相談しましょう。
会社指示で休業させた場合は休業補償の対象となる可能性があります。

慌てて手続きをしなくてもさかのぼって申請できるものですが、後になると細かな経緯を思い出すのが難しくなることはよくあります。
会社にどんな連絡をいつしたか、会社がどういって休む判断をしたか、発熱やせきなどの症状、電話をした日時など記録しておきましょう。それが後から申請する場合の力になるかもしれません。

 

情報が目まぐるしく出ては変わり、混乱することも多い日々ですが、ファイナンシャルプランナーは「国や行政の発表」を「生活者のみなさまが理解しやすい言葉」で伝えるよう努めています。

自治体等により細かな手続きは変わってくることがありますので、最新の状況を確認し、手続き・申請の際には「担当する窓口」への確認もお願いいたします。