\家計簿にサヨナラしよう!/
働くママ専門!「貯まる・増える仕組みづくり」
確定拠出年金ねっと認定FPの塚越菜々子(つかごしななこ)です。
住宅ローンを払い教育費を貯め、おおよそ周りと同じようなことをしようと思ったら、“お金が余る”ということは、そうはないのではないでしょうか。
家計の相談をしていると年収400万円代から~1000万円以上まで幅広い世帯収入の方とお話をする機会がありますが、どの年収層でも「使うあてのないお金なんてない」「資産運用をするお金はない」という言葉を耳にします。
今回は「はじめて運用モノガタリ」と称して、私が証券会社で門前払いされてから資産運用を始めるに至った経験談から、まとまったお金がないと資産運用はできないという勘違いについて考えてみます。
50万円を手に、門前払いされた15年前。
私自身がはっきりと資産運用を始めたと言えるのはおおよそ10年ほど前です。
ですが、一番初めに「運用してみたい」と思ったのは15年ほど前でした。
インターネットもそれなりに普及していたとは思いますが、スマホでさっと情報が取れる今とはやはり状況が違いました。
まだ独身だったため、特に使う用途の無い50万円をせっかくだから運用してみたいと思ったのです。
そうして誰でも知っている証券会社の店舗に足を運びました。
銀行とは違う雰囲気に押されながらも恐る恐るお金を運用したい旨を総合受付のような担当の方に申し出たのです。
当時20代前半の小娘。元手は50万円ほどだと伝えると、まったく取り合ってもらえませんでした。
椅子に座ることもなく、ロビーにおいてあるパンフレットをむき出しで渡されて返されるという、半ば門前払いのようでした。
当時の私にとっては50万円は大金だったため(もちろんいまでも)その瞬間から「資産運用は富裕層がするものだ」とインプットされてしまったのです。
初めての投資は「株式」
資産運用の何たるかもわからないままそれから数年経ち、株式投資の雑誌をきっかけにネットで開設できる証券会社があることを知りました。
窓口で拒否された私にとってはネット証券はハードルが低かったのです。
わけもわからないまま初めて手を出したのは株式。
「株主優待とやらでなんかもらえるらしい」その程度しか知識はありません。
ルールもよくわからないまま、雑誌に載っていた株主優待のリストを頼りに知っている会社の中から10万円以下で購入できる株式を買いました。
売り時もわからなければ、当然売買の自分のルールも決めていません。
なんとなく買い・なんとなく値上がったから売った。そんなギャンブルのような運用でした。
株主優待をちょっともらったり、値上がったら売るような取引ですが、購入するのはそもそも10万円以下の株ばかり。10%増えても1万円です。
とても資産運用といえるような状況ではありませんでした。
手元にあった50万円は適当に購入した個別株に代わり、売却のルールも決めないまま値下がりしたものは売れるに売れず、動かせる現金はなくなってしまいました。
うわさ話で投資信託を避けていた時期
「投資信託は手数料が取られるからムダ」今聞いたら笑ってしまうような理論ですが、当時の私は勉強不足からそういうものだと思っていたのです。
個別でやれば手数料はタダなのに、人任せにして手数料を取られる。
そんな(資産運用をしていない)知人の言葉を信じていました。
自分で利益を上げていく方法も知らないのに手数料払いたくない。
そもそも手数料の種類も知らないのに、まさに「食わず嫌い」だったのです。
分散投資などという言葉も知りませんでした。
適当に買った初めての投資信託の投資先は「ブラジル」
日本の株はもうこれ以上できない。でもどうやって海外に投資したらいい?
そう考えた私は、なんと「ブラジルでオリンピックをやるらしいから、きっと上がるだろう」とこれまた根拠もなく、ブラジルの“何か”に投資する投資信託を「1万」だけ購入したのです。
手数料もわからない、ブラジルの”何に”投資しているのかもわからない。
なにより、利益が出ているかの見方すらわからなかったのです。
結局この1万円だけ購入した投資信託はファイナンシャルプランナーとして勉強を始め、手数料や仕組み・利益の見方が分かったと同時に売却しました。後からわかったことですが、ブラジルの債券に投資していて、かつ毎月分配型のものでした。
基準価格は大きく落ち込んでいましたが、どうやら何もわからず保有していた期間に利益の配当があったらしく、結果+488円の利益がでいたようです。損がでず運がよかったというところでしょうか。
ようやく出逢った「積み立て」という方法
相当不勉強なまま始めた資産運用ですが、ここへきてようやく「積み立て」という方式を知ります。
今まで積み立てていくものは「貯金」であるという認識しかありませんでしたが、「積み立てて資産運用していく」ということを証券会社のウェブサイトを見ていて初めて知ったのです。
その時点ではまだポートフォリオ、リスク分散、インデックス投資などの言葉はよくわかっていませんでした。
どれくらいのリターンを目標とするかもわかっていなかったのです。
たまたま放置していた株式がプラスに転じ30万円ほどの現金に戻りました。月5000円をそこから取り崩せば5年は積み立てられるから、やってみよう。そんな選び方だったのです。
投資信託の商品も、雑誌で見た「人気ランキング!」の中から適当に選びました。
まったく褒められたやり方ではありませんが、今となっては相談相手もいない中「とにかく始めた」自分を評価したいと思います。
積立ですので半ばほったらかし。
なにしろまだ見方もよくわからないのです。
減っていくようなら辞めようと思いきや、どうやらリターンの部分はいつみてもプラス。
こうして初めて積み立て投資は「減らずにこんなに増えていくものなんだ」と実感したのです。
仕組みを知ってより良い方法を選んでいく
減らないどころか少しずつでも増えていくことに気をよくした私は、もう少し運用する金額を増やそうと思いました。
そこで「同じのを買うのもつまらない。ところでどうやって選べばいいんだ」と考えるようになるのです。
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- ・投資信託とは
- ・分散投資の考え方
- ・手数料の種類
- ・買う場所の選び方
月5000円でしたが、口座を開設して始めていたことが功を奏し、知識と実際の取引が一致して腑に落ちました。
NISA・個人型確定拠出年金。
いろいろな方法があることと、知らなければいけないことはそれほど多くないこともよくわかり、自分なりの選ぶ基準も見つかりました。
月に5000円もあれば堂々と始められる
こうして書くと思い出すことも恥ずかしいような投資遍歴ですが、いま15年前に50万円をもって証券会社に飛び込んだ自分がいたら、いますぐに積み立て投資を始めるように勧めるでしょう。
一度に使わないで少しずつ取り崩しながら積み立てを勉強し、50万がなくなるまでに毎月積み立てられるようにするようアドバイスします。
もちろん月5000円だけでは長期的な資産形成にはちょっと心細い金額です。
ですが、とにかく「学びながら始める」ことが大事です。
堅実な資産形成スタートにまとまった剰余金など必要ありません。
0を1にするのが何よりも難しいのですから、すぐに使うあてのない5000円があるのなら堂々と資産運用を始めましょう。
一人で始めるのが心細かったら、いつでも相談に来てください。「知識を得る」「行動する」パートナーがいれば、将来の自分のために安心して一歩を踏み出せますよ。