確定拠出年金(iDeCo)を始めるのか始めないのか?どこで始めるのか?どんな商品にするのか?とにかく『入口』のことが一番気になりますが、実は『出口』(=受け取るときのこと)も知っておかないといけません。
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共働き家計専門!「貯まる・増える仕組みづくり」
確定拠出年金ねっと認定CFPの塚越菜々子(つかごしななこ)です。
私のところに相談に来てくださるお客様は、ほとんどが30代~40代前半ですので、正直なところ(私も含めて)『老後に受け取るお金』といわれてもピンとこないのです。なので、どうしても「節税」「いまお得」だけ見てしまいがちです。
でも、まだまだ先のことだとしても、脳内から除外してほしくない「受取時」のことについてお伝えいたします。
まず改めて、iDeCoの3つのお得
毎回耳タコのようにお伝えするのですが、iDeCoは老後へ向けての資産形成にはとても有利な制度です。
「節税しながら作る、じぶん専用の年金口座」とでも表現しましょうか。
決して「節税」のために始めるものではありません。
それを踏まえて、それでもやっぱりお伝えしたい3つのお得があります。
払った時にお得
iDeCoの掛け金は「全額所得控除」です。
間もなく準備が始まる年末調整では「小規模企業共済等控除」という項目になります。国民年金基金連合会から届くハガキを付けて、年末調整してもらいましょう。
iDeCoは老後専用の口座。普通は口座にお金を貯めても税金は安くなりませんよね。
それがiDeCoの場合は掛金全額が、税金を計算する「元」から引いてもらうことにより、所得税や住民税がかかる部分を減らすことになります。
重要なのは「かからなくなる」のではなく、本来は「繰り延べ」ているということです。
税金がかかる時期をずらす。それが繰り延べです。
ちょっとこの言葉を覚えておいてくださいね。
運用している間もお得
資産運用をして、もうけが出ると通常は約20%程度の税金がかかります。
それがiDeCoの口座内で増えたものに関しては税金がかからないことになっています。この「お得」はNISAでも同じように受けることができます。
裏を返せば、もうけが出ないようなもの(元本確保型の定期預金とか)だと、この「お得」は味わいにくいということですね。
受け取るときにお得
いよいよiDeCoの口座からお金を引き出す時のお得です。引き出す時も税金がかかりにくくなっています。
でも待って?
そもそも先ほど書いた通り、iDeCoは自分の老後専用の口座と言いましたね。
自分の口座からお金をおろすのに、税金がかかる?そこに疑問を感じるかもしれません。
(ここで、だったらNISAのがいいじゃん!ってハナシになってしまうのです)
そこで思い出してほしいのが、先ほどの言葉「繰り延べ」です。
お金を入れたときに税金がかからなくなっているから、このタイミングでかかるようになっているのです。
入れるときに税金を優遇するので、出すときにはかかりますよ。
これが税金のかかる時期をずらす「繰り延べ」ということですね。
え?じゃあお得じゃないじゃん・・・・
いえいえ、それがそうでもないんですね。
基本、預けたとき(拠出時)に税金が「かからない」から、おろすときには税金が「かかる」
だけど、この時に「かかりにくくなっている」のがポイントです。
引き出す時に税金が「かかりにくくなる」仕組み
iDeCoの口座内で自分で作ってきたお金の受け取り方は「一括」で全部おろすパターンと、「分割」して小分けにおろす方法。そして金融機関によっては合わせ技もできます。
税金がかかることを繰り延べてきたわけですから、いずれの方法にしても本来は税金がかかります。
分割で受け取るときは「雑所得」で国の年金と同じ計算方法
そもそも国からの年金を受け取るときも、税金がかかるって知っていましたか?
「雑所得」という種類に分類されて、ほかの収入(所得)と合算されてその大きさで税金が計算されます。iDeCoを分割でおろした場合は、公的年金と合算して税金を計算することになっているのです。
国の年金はそもそも税金がかかりにくいようになっていて、
65歳未満は 70万円/年
65歳以上は120万円/年
までは最低でも税金の対象から外してもらえるという優遇があります。
民間の保険会社の個人年金保険は、(乱暴に表現すると)受け取る分ー払った分(つまりもうかった分)に税金がかかり、この70万円や120万円を対象外にしてもらえる特典がありません。
そういう意味で、税金がかかる時期をずらしてきたから受け取るときに税金がかかるといっても、やはりオトクな制度と言って差支えなさそうです。
一括受け取りは会社の「退職金」と同じ計算方法
では一括でドーンと受け取る場合はどうでしょうか?
30年かけてコツコツと作ってきたじぶん年金がめでたく1000万円になっていたとして、それを一度で受け取って税金もドーン!はあんまりです。
一括の場合は、会社を退職したときなどに受け取る「退職金」と同じ計算方法になります。
簡単に説明すると、会社でいうところの勤続年数=iDeCoの掛金をかけてきた年数となり、その年数に応じて税金がかからない金額が決まるということになっています。
20年まで・・・1年あたり40万円
20年超え・・・1年あたり70万円
30年の場合は1500万円までは、税金がかからず受け取ることができます。仮にそれを飛び出た額があっても、それをさらに1/2にしてくれるなど、やはり優遇されています。
注意してほしいのは、iDeCoだけではなく会社の退職金などがある場合。
受け取るタイミングによっては、この勤続年数が使えないこともあります。
長くなるのでそれはまた別に書きますね。
基本的に税金がかかる。だから知識を得て工夫をしてほしい
今回は細かい計算方法については書きませんでした。
この記事で知っておいてほしいのは、
-
- iDeCoは税金の『繰り延べ』だから、受け取るときは原則税金がかかる
- それでもなお、お得な制度
- 受け取り方一つで税金が変わることがある
- 受け取りはまだ先のこととはいえ、アンテナ立てて知識と工夫を忘れずに!
そうはいっても自分じゃ無理よー!という場合はぜひFPにご相談くださいね。
税理士でない限り、個別の税金の計算は致しませんが、受取時に考えなければいけないのは税金のことだけではありませんもの。
iDeCoは気になるけどほかにも気になることが・・・ということでしたら、ぜひ、一緒に「今の暮らしのお金」「将来の暮らしのお金」の戦略を練っていきましょう!