青山 創星

iDeCoやつみたてNISAの分散投資ってどやったらいいのでしょうか?(3)

前回は、現代ポートフォリオ理論を使った国際分散投資の手法を使えば希望するリスク負担に見合った最適なポートフォリオを選択することができということを、いくつかのポートフォリオの例を見ながらご説明してみました。

今回は、そもそも現代ポートフォリオ理論を使った国際分散投資とはどういうものかについてお話ししてみたいと思います。

一つのものに集中して投資するより、いろいろなものに分散して投資したほうが安心できるというのは感覚的にも理解できるでしょう。
「卵は一つのかごに盛るな」とよく言われています。

万一その集中投資していたものの価格が大きく下がったときに、それにしか投資していなかったら価格下落の影響をまともに受けてしまうことになります。
別のものにも分散して投資していれば、そちらの価格が大きく下落していなければ全体としては大きな下落から逃れることができます。

ここから学べることは、集中して投資するより分散して投資したほうが価格下落に対する耐性があるということです。
つまり、分散投資によってリスクを下げることができるといることになります。

また、分散して投資するものはなるべく価格の動きが異なっていた方がよいということです。
つまり、価格の動きの異なるものに分散投資することによってよりリスクを下げることができるということになります。

一つのものの価格が下がったときに一番よいのは、分散投資していたものが全く反対に同じまたはそれ以上に上がってくれる場合です。
しかし、この場合は逆に一つのものの価格が上がったときに、別のものの価格は全く反対に動く可能性があるということでもあります。
これではせっかくの値上がり益を受けることはできなくなってしまいます。

ところが、あるものの価格の動きと別のものの価格の動きの関係をうまくコントロールすることによって、リスクを下げながらもリターンを維持・向上できる場合があるのです。

あるものの価格の動きともう一つのものの価格の動きの関係のことを相関関係と言います。
そして、その関係を数値で表したのが相関係数です。

両者が全く同じように動く場合、相関係数は1,全く逆に動く場合、相関係数はー1と表されます。
全く無関係に動く場合は相関係数は0
です。

資産Aの期待リターンが2%、リスク(標準偏差)が5%、資産Bの期待リターンが4%、リスクが10%とします。
そして資産Aと資産Bの相関係数は1だとします。

図の①は資産Aだけに投資している状況です。
5%のリスクで2%の期待リターンです。

②は資産Bだけに投資している状況です。
10%のリスクで4%の期待リターンです。

③は資産Aに70%を資産Bに30%を投資した場合です。
資産Aと資産Bの相関係数は1、つまり全く同じ動きをします。
この場合のリスクとリターンは③の位置となります。

これに対して、資産Aと資産Bの相関係数がー1の場合はどうでしょうか。
同様に資産Aに30%、資産Bに70%投資したとしましょう。
この場合のリスクとリターンは④の位置となります。

資産Aと資産Bのポートフォリオとしてみた場合、Aだけのポートフォリオに比べてAに相関係数ー1の資産を加えたポートフォリオの方が低いリスクながら高い期待リスクとなるのです。

資産A30%、資産B70%のポートフォリオの期待リターンは以下のように計算できます。

ポートフォリオの期待リターン

=(Aの投資比率×Aの期待リターン) + (Bの投資比率×Bの期待リターン)

=(70%×2%)+(30%×4%)

=2.6%

ポートフォリオのリスク(標準偏差)は以下のように計算されます。

ポートフォリオのリスク=

この式の中でポートフォリオのリスクの低くなる要因はどの部分でしょうか?

2乗となっている部分、投資比率、標準偏差はマイナスの値を取りません。
マイナスの値を取りうるのは「AとBの相関」の部分です。
「AとBの相関」がマイナス、つまり逆相関の場合にはルートの中の値が小さくなり、ポートフォリオのリスクが低くなるのです。

資産の間の相関が逆相関、つまり一方の資産の価格ともう一方の資産の価格との動きが逆に動けば逆に動くほどポートフォリオのリスクは低くなるのです。

相関係数が0.3,ー0.3の場合もグラフにしてみます。

ポートフォリオとしてのリスクとリターン関係を見た場合、⑤の部分ではローリスク・ハイリターン(リスクが低いほどリターンが高くなる)となっています。

個別の資産では高いリスクを取らなければ高いリターンは得られない、つまりハイリスク・ハイリターンである常識とは異なる現象が起きています。

今回は、価格の動きの異なる資産を組み合わせてポートフォリオをつくると、リスクを下げながらリターンを上げることができるということを見てきました。

次回はさらに深く見ていきましょう。