ファイナンシャルプランナー青山 創星

2021年 09月 30日

サクソバンク証券で特定口座が使える!?

サクソバンク証券とは?

サクソバンク証券では特定口座が使えないのが不便でした。

サクソバンク証券はデンマークのサクソバンクの100%出資の子会社で名前は外国の証券会社のようですが、第一種金融商品取引業者として金融庁に登録された証券会社です。
www.home.saxo/ja-jp

日本のネット証券等でも外国株式を買うことはできます。
しかも、特定口座も使うことができます。
(更に、NISA口座も使うことができます)

これに対して、サクソバンク証券では外国株式ではとても多くの銘柄を扱い、外国株式オプションもできるなど、他の日本の証券会社にはない独自のサービスを提供しています。

しかし、残念なことに特定口座は使えませんでした。

特定口座に対応すべく準備中であることがHPから読み取れましたが、今のところ対応がされていませんでした。

そんな中、ホームページ上に「2021年10月4日(月)より、契約締結前事前交付書面である取引説明書を改訂」する旨の掲示がされました。

この中で、外国証券売買取引について「当社では、特定口座の取り扱いはありません。納税はお客様ご自
身で行っていただく必要があります」という条項が削除されることとなっています。

特定口座の取り扱いが秒読み段階に入ったようです。

★★★追記情報:2021年10月4日からサクソバンク証券で特定口座の申込受付が始まりました★★★

特定口座とは?

証券口座には一般口座特定口座とがあります。

一般口座では、口座所有者が自分で年間の譲渡損益などを計算して確定申告する必要があります。

これに対して特定口座では、証券会社が譲渡損益などを計算し、税額まで計算して年間取引報告を作成してくれます。

特定口座には「源泉徴収あり」口座「源泉徴収なし」口座の2種類があります。

「源泉徴収なし」口座の方は、証券会社が作成してくれた年間取引報告書を使う等して自分で確定申告をします。

自分で計算をしなくてよいのでとても楽です。

これに対して「源泉徴収あり」口座の方は、納税も証券会社が行ってくれます。
自分で確定申告する必要はありません。
とても楽です。

但し、「源泉徴収あり」口座の場合でも、以下のような場合には自分で確定申告する必要があります。

譲渡損の繰越控除を利用する場合 ※1

税制改正による課税の特例の適用を受ける場合

一般口座や他の証券会社の口座と損益通算をする場合 ※2

また、所得額の少ない場合は特定口座(源泉徴収あり)を選ばない方がよい場合もあります。
給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要となっています。
特定口座(源泉徴収あり)を選んでいるとこのような場合でも自動的に申告され税金を払うことになります。

※1:譲渡損の繰越控除 
   上場株式や投資信託などを売却した場合に生じた損失のうち、その年に控除しきれない損失金額については、確定申告をする場合に限り、翌年以降3年間にわたって、株式等の譲渡所得から譲渡損失の繰越控除ができることとなっています。
この場合、繰越控除の適用期間内に譲渡がない年も、毎年連続して3年間確定申告が必要であることに注意が必要です。
また、NISA口座内で発生した損失は繰越控除の対象外となります。

※2:損益通算
特定口座(源泉徴収あり)と一般口座の間や特定口座(源泉徴収あり)と他の証券会社の口座の間で損益通算する場合は確定申告が必要となります。

上場株式の配当金等を「特定口座(源泉徴収あり)」で受け取る場合は、「特定口座(源泉徴収あり)」内の譲渡損と損益通算が行われます。
上場株式の配当金等を特定口座(源泉徴収あり)において受け取るためには、権利確定時までに、保管振替機構(ほふり)で配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」として登録する必要があります。

特別の場合を除き一般口座から特定口座への株式移管はできません。
注意が必要です。

また、オプション取引については特定口座の対象となっていません。
自分で計算・申告する必要があります。

なお、外国株式オプションのオプション料については、雑損益になる場合と外国株式の譲渡損益となる場合とがあります。
よく確認の上処理する必要があります。

外国税額控除制度とは?

外国株の譲渡益(売買益)は、租税条約により現地では課税されず、日本国内で課税されます。
税率は日本株と同じで20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。

配当金や分配金については、現地で課税されます(10%程度)。
そのため損益通算の対象とはなりません。

しかし、配当金や分配金について特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、現地課税後の金額に更に20.315%が自動的に課税されてしまいます。

現地課税と国内課税の二重課税が生じるというわけです。

この現地課税分を控除する制度が「外国税額控除制度」です。

確定申告によって還付を受けることができます。

★★★
上記取り扱いは、ネット証券の一般的な取り扱いです。
証券会社によって異なる場合もあります。
この記事を書いている時点ではサクソバンク証券では特定口座の取り扱いはされておらず、取り扱えるようになった場合の詳細については不明です。
処理にあたっては、必ずサクソバンク証券の規定をご確認ください。

まとめ

サクソバンク証券で特定口座が選べるようになると税金の申告がとても簡単になります。
日本のネット証券で取り扱いのない外国株式に投資したい場合にはとても便利になります。

日本のネット証券でもかなり多くの外国株式を取り扱っています。
外国株式の主要な銘柄で特定口座を使うのなら日本のネット証券の方が便利かもしれません。
普通の投資家はこれでも十分かもしれません。
サクソバンク証券が特定口座に対応すれば、日本のネット証券で扱っていないような銘柄に特定口座を使う場合はサクソバンク証券一択となります。

但し、証券会社の選択にあたっては税金の処理だけでなく手数料やサービス全般を比較して行う必要があります。

特に、外国株式と外国株式オプションを絡めた取引を行う場合は、サービス内容や手数料等も勘案して証券会社を選ぶ必要があります。※3

例えば、サクソバンク証券にはドリップ(DRIP)という配当金再投資の仕組みがあります。
サクソバンク証券のドリップは個別の株式毎に選択できますが、IB証券では使うか使わないかの選択(個別の株毎には選択できない)となります。
しかし、サクソバンク証券(IB証券も)はNISA口座(非課税口座)には対応していません。
日本のネット証券ではドリップの仕組みは使えませんが、NISA口座で外国株式を買うこともできます。
NISA口座が使えるというのは大きなアドバンテージです。

といったように細かな点で多くの違いがあります。

IB証券、サクソバンク証券、日本のネット証券の比較については、こちらの記事も参考にしていただければと思います。

note.com/createstar/n/nb89212e7ac51

※3:日本で外国株式とオプション取引を絡めた取引を行えるのは、IB証券とサクソバンク証券のほぼ2択となっています。
例えば、カバードコール(現物株を持ちながらその株を対象としたコールオプションを売りプレミアムを稼ぐ取引)や現金プット売り(現物株を取得するためにその購入資金を用意したうえでその株を対象としたプットオプションを売る)を行う場合は、現物株取引とそれに係るオプション取引は、権利行使に備えて同じ証券会社で行う必要があります。
日本のネット証券で外国株式を保有しそれを見合いにIB証券やサクソバンク証券でコールを売ると、権利行使された場合に対応できなくなってしまいます。

※4:サクソバンク証券の特定口座は、この記事を書いている時点で他証券会社の場合と異なりいくつかの制約があります。注意が必要です。例えば、以下のような点に注意が必要です。

・一般的には、特定口座(源泉徴収あり)の口座所有者が亡くなり相続となる場合、他社を含め相続人の特定口座に移管することが可能です。
被相続人(亡くなった方)の取得時期及び取得費を引き継ぐことになります。
しかし、サクソバンク証券では、原則被相続人の口座に残る全ての保有資産を売却し現金化するとされています。
被相続人の特定口座への移管はできないようです。
その時の株価が取得時の株価を超えて利益が出ている場合は課税されます(源泉徴収はサクソバンク証券が行うため自分で税金の処理は不要です)。
但し、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例によって売却した株式に見合う相続税分を取得費として計上することが認められています。相続税の申告期限から3年以内に相続財産を譲渡した場合には、相続税の一部を取得費に加算する申告が可能になります。
サクソバンク証券では、相続時の相場状況がどのような状況であってもその時点で売却現金化になってしまいます。
一般的には、相続人の特定口座に移管して相場状況を見計らって売却ということも可能となります。
(この場合も相続税の申告期限から3年以内であれば相続税の一部を取得費に加算する申告が可能になります。これを忘れないようにすることが肝要です)
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm

・自分の他社にある特定口座からサクソバンク証券の特定口座に移管することは可能です。しかし、逆にサクソバンク証券の特定口座から他社にある自分の特定口座に移管することはできません。
一般的には両方とも可能です。

(2021年10月8日現在のサクソバンク証券「特定口座サービス概要説明書」)

(この記事は、2021年10月8日時点の法規定やサービス内容等に基づいて書いています)

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