村松 繁

企業で確定拠出年金がスタートしたらデフォルト商品をチェックしよう

202107デフォルト商品

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型が制度として会社にあることは知っているけれど、商品を選択した記憶が全くないということはありませんか?もしかしたら、すでにデフォルト商品を選んでいるのかもしれません。

デフォルト商品は運用のリスクは少ない傾向にありますが、老後の資産形成という面では少しもったいないことをしている可能性があります。

この記事では、デフォルト商品とは何か?そして、確定拠出年金企業型の商品の選び方について紹介します。

デフォルト商品とは?

確定拠出年金企業型のデフォルト商品とは、制度が導入となり従業員が期限までに投資商品を提出しなかった場合に自動選択される商品のことです。

確定拠出年金企業型は、制度が導入されたら、具体的な商品選定は自分で行う必要があります。具体的には、運用商品がすでに記載されている書類に、配分割合を記入していくのが一般的です。配分割合を記入後、総務などの担当部署に提出します。

また、企業によっては、確定拠出年金企業型の専用サイトにアクセスをして、配分割合を入力する企業もあるでしょう。

具体的に、運用商品A~Gまであり、デフォルト商品は運用商品Aだった場合の事例で解説します。この場合、本来は確定拠出年金企業型の毎月の掛金を、運用商品Aに10%、Bに30%、Cに30%、Gに30%配分するといったように配分割合を記入して担当部署に提出するか、専用サイトで入力した後に送信します。

ただし、この配分割合を決める手続きは、期日が決められているのが一般的です。

仮に、定められた期日までに配分割合を提出または入力せず、投資先を指定しなかった場合、デフォルト商品であった運用商品Aに掛金が100%投資され、以降運用されることになります。

企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査2019」にて、指定運用方法、つまりデフォルト商品の選定状況を調査したところ、40.6%の企業が指定運用方法を選定していると回答しています。

指定運用方法を選定している企業のうち、76%が指定運用方法に元本確保型商品を選定しているのに対し、投資信託を選定しているのは24%です。しかも、そのほとんどはバランス型投資信託という結果になっています。

このように、確定拠出年金企業型のデフォルト商品は、手違いがあって、リスク資産に投資されることが無いよう、デフォルト商品は比較的安全な資産で設定されるのが一般的です。

確定拠出年金企業型は、退職後の資産形成をするための大変重要な制度で、同じ掛金でも運用次第で退職時の受取金額が大きく変わってきます。そのため、期日までに提出をしないことは避けるべきですが、それ以上に確定拠出年金企業型の商品を自主的に選んでいないことは、非常にもったいないです。

デフォルト商品はリスクが少ないから安心?

先述の通り、デフォルト商品は元本確保型商品や、投資信託の中でもリスクの低いバランス型投資信託が設定されていることがほとんどなので、そのまま継続しても大きなリスクは生じないでしょう。ここでは、デフォルト商品が元本確保型商品やバランス型投資信託だった場合のリスクについて解説します。

資産の増え方は少ないことがある

投資においては、リスクとリターンは表裏の関係にあるという原則があります。つまり、大きな収益を投資で得るためには、リスクの高い商品を選ぶ必要があるということです。元本確保型商品やデフォルト商品に選ばれるような利回りが低めのバランスファンドはリスクの少ない商品で、大きなリターンを得ることはできません。

また、仮に、世の中の物価が上昇した場合、利回りの低い運用をしていると、資産の価値が目減りしてしまうことがあります。安全な商品で運用することは、目に見えた損失が発生しないだけで、リスクが全くないわけではないのです。

ただ、ここではやみくもにリスクとリターンを背負うことをおすすめしているのではありません。確定拠出年金企業型は、老後の生活資金を形成するうえで有効な手段です。自分の老後の生活資金が、公的年金を加味していくら不足するかをしっかり把握したうえで運用商品を選択するよう心がけてください。

バランス型投資信託はアセットミックス型以外の、資産配分が年を経るごとに安全な配分に変更していくターゲットイヤー型と、市場環境に応じて資産配分が変動するリスクコントロール型は極端に言えばほったらかしに出来てしまう商品です。

しかし、バランス型投資信託を頼らなくても、その他の商品を選んで分散投資をすることは可能です。確定拠出年金企業型の商品ラインナップの中には、大きなリターンを得られる商品もあります。ただしリターンの大きい商品はリスクが高いので、リスクを抑える運用方法、すなわち、商品の分散、時間の分散、長期投資の3つを活かすことが重要です。

一見難しく感じるかもしれませんが、確定拠出年金企業型という制度自体が長期投資や時間の分散が働いている商品なので、加入者の方が意識するのは、商品の分散だけになります。

まとめ

確定拠出年金企業型が導入されたら、まず加入者は拠出される掛金をどのように運用するのか、投資先や配分割合を決めて締め切りまでに提出をしなければなりません。もし決めていない場合は、デフォルト商品となってしまうことがあります。

デフォルト商品は運用商品としては、リスクの少ないものが設定されることがほとんどです。しかし、リスクが少ないということはその分リターンも少なくなります。そのためせっかく運用で増やせるチャンスも知らない間に逃していることになるのです。

すでにデフォルトでスタートしてしまった人も、配分割合変更は確定拠出年金企業型なら無料でいつでもできます。

確定拠出年金企業型の商品選びは、いきなり商品群の中から選ぶより、まずライフプランを作成して、老後の生活資金がいくら不足するかを知ったうえで選択することがおすすめです。

もし自分で計算することが難しい場合はアイマークまでお気軽にご相談ください。