こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP
アイマーク株式会社 代表の村松です。
日本人で100歳を超えた人は令和3年9月時点で8万6,510人となっており、100歳まで生きることは決して珍しいことではなくなっています。
超高齢化社会を迎えた日本人が、長いセカンドライフをお金に困らずに過ごすためには、早いうちから老後に向けた「老後資産」と、人脈やノウハウなどの「無形資産」の両方を育てておくことが必要です。
この記事では、人生100年時代を乗り切るために、準備しておくべきことについて解説しています。
人生100年時代とは?
厚生労働省、令和2年度版簡易生命表によると、日本の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳。日本は、世界で最も平均寿命の長い国です。
こうした中、長寿化によって働き方や生き方が大きく変わっていく可能性について描いた、リンダ・グラットン氏の著書「LIFE SHIFT」が大きな話題になりました。「人生100年時代」は同著書の中で始めて使われるようになりました。
さらに著書の中では、これまでの教育・仕事・引退という3つのライフステージに単純に分類するのではなく、柔軟に各ライフステージを移行していくことを個人が検討する時代に入っていると指摘しています。
また、人生100年時代を生きていくためには、定年退職後の「老後資産」と、スキル・人脈・健康などの「無形資産」の2つが必要とも述べられています。
老後資産を作るために
老後2,000万円問題のきっかけともなった、金融審議会市場ワーキング・グループ報告書によると、一般的な高齢無職世帯の場合、夫婦2人で普通の生活を送るだけでも毎月約5万円の貯蓄を取り崩す計算です。
65歳で定年退職をした後、80歳まで生きるなら15年×12ヶ月×5万円=900万円準備しておけば大丈夫ですが、100歳まで生きるとすれば35年×12ヶ月×5万円=2,100万円を用意する必要があります。
100歳まで生きることはないと思う方もいるかも知れません。しかし、100歳を迎える人口は着実に増加しており、令和3年9月時点では8万6,510人になりました。決して100歳まで生きることは珍しいことではなくなっているのです。
公的年金はこれ以上良くなることが見込めず、企業の給与や賞与が大幅に改善するということも難しい状況です。そのうえ、老後に準備しておくべき資金は高齢化によってさらに増加傾向にあるため、既存の現金をより有効活用する必要性が高まっています。
引用:第 21 回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料 P26
www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf
iDeCoやNISAの活用
資産運用で老後の資産形成をする方法は多くありますが、まずは税制のメリットがあるiDeCoやNISAを活用することから始めましょう。iDeCoとNISAの特長について解説します。
iDeCo
確定拠出年金個人型のことで、老後の資産形成をするための制度です。掛金を拠出し、掛金をもとに予め用意されている運用商品の中から商品を選んで、資産運用をすることで老後の資産形成ができます。
同じ掛金でも、どの運用商品を選んだかによって受取額が異なり、運用方法によっては大きく資産を増やすことも可能です。反面、選んだ商品によっては元本割れをする可能性もあります。
掛金は全額所得控除となり、お勤めの方は年末調整をすることで生命保険料控除のような還付を受けられます。また、運用で利益が出ても運用益に税金はかからず、受取時も税制優遇があるのです。
NISA
NISAとは少額投資非課税制度のことです。NISA口座を活用すると、株式や投資信託の売却益や、分配金、配当金などの利益がでても利益に対して税金がかかりません。
年間の投資元本40万円までなら利益に税金がかからず、非課税期間が20年間使えるつみたてNISAと、年間の投資元本120万円までなら利益に税金がかからず、非課税期間が5年間の一般NISA、未成年が加入できるジュニアNISAの3つがあります。
無形資産を作るために
2022年4月からスタートした年金改正によって、繰り下げ支給で今まで以上に年金額を増やせるようになっています。ただし、年金を繰り下げている間は公的年金を受け取れないので、働き続けるなど何らかの収入を確保することが必要です。
一方、働き方改革により、より高齢者が働きやすい環境が整備されています。ただ、今後はIT技術のさらなる発達や、業務のAI化などにより誰でもできるような単純な作業は失われてしまう可能性もあるでしょう。
現役のうちから、お金だけではなく、定年退職後もこれまでのキャリアを活かして収入を得られるよう、スキル・人脈・健康を現役時代のうちに磨いておくことが大切です。また、今後働く上で、知識やノウハウが不足していると感じた場合でも、さまざまな知識の学び直しの場(リカレント教育)を提供している機関も増えているので活用を検討してみましょう。
まとめ
日本は世界一の長寿国で、人生100年時代を実際に迎えているといえます。人生100年時代を生きていくためには、公的年金と老後生活資金などの老後資産と、老後も働き続けるための無形資産の両方を現役時代から準備しておく必要があります。
また、老後も働き続ける環境を整えるための年金改定も行われているため、今後は社会保障の知識も欠かせなくなってくるでしょう。
老後の資金計画を立てるために、早いうちからライフプランを立てることは非常に重要です。
しかし、定年退職前後の年代は、定年をしたあとに公的年金だけで生活できるのか、繰り下げ支給をするか、繰り上げ支給を選択しても問題ないか、働き続けるかなどさまざまな選択肢があるため、最もライフプランが必要な時期と言えるでしょう。
アイマークでは老後の資産形成に活かせる資産運用やお金のセミナーを開催しています。老後に不安を感じる方、または、定年退職が近い方もぜひ活用してください。