こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP
アイマーク株式会社 代表の村松です。
最近、急速な円安となっており、この円安はいつまで続くのか不安に感じている方はいませんか?
この記事では、円安になっている原因と、今後の展望について解説しています。なお、ここでいう円安とは特に断りがない限りは円安ドル高を意味するものと考えてください。
円はついに139円超え
2022年7月中旬時点で、米ドル/円の為替レートは139円を超え、140円に迫る勢いです。3月上旬時点では1米ドル114円あたりだったので、ここ3,4ヶ月で約24円近く円安になったことになります。これは24年ぶりの水準です。
円安の原因であるインフレが始まった
今の日本の円安はアメリカを始めとした世界的なインフレが原因です。新型コロナウイルスによって一時期は世界的に景気が後退しましたが、ワクチンが普及するようになると、急速に景気回復局面を迎えます。
しかし、景気の回復が急速であったことから、今度は供給制約(原料不足)による原料価格の上昇を引き起こします。
また、急激に雇用も増加したことから人手不足となり、企業やお店は人材確保のために賃金を上げたため、人件費も上昇。急激な物価上昇を引き起こすようになります。
さらに、2022年の2月末から始まったロシアのウクライナ侵攻の影響で、エネルギー価格が上昇し、物価上昇に拍車をかけます。特にアメリカでは今年に入ってからは前年同期比7~9%の物価上昇が続いているのです。(2022年7月時点)
日本でも物価が上昇しているとメディアなどでさかんに報道されていますが、日本の2022年5月度の物価上昇率(CPIコア指数)がまだ2.1%と考えるといかにアメリカの物価上昇率が高い水準かがわかりますね。
FRBの政策金利引き上げ
物価上昇が続けば、物が買えなくなり国民の不満が高まります。そこで、アメリカの中央銀行にあたるFRBは、政策金利を引き上げて景気と物価の上昇を抑えようとする「金融引き締め」をスタートします。このFRBによる金融引き締めが、最近の異常な円安を引き起こしているのです。
なぜFRBの金融引き締めが円安を招くのか?
FRBが金融引き締め(政策金利の引き上げ)をすると、米10年債の利回りも将来的に上昇すると市場は判断します。
株式投資はリスクが高い投資に分類されるので、米10年債という安全な資産である程度の利回りを確保できるなら、投資家は米10年債で運用をしたいと考えるでしょう。
そのため、FRBが金融引き締めをすると、リスクの高い株式市場から資金を退避させて、利回りが高くなった米10年債で運用したいと考える投資家が増加します。
この米10年債を購入する際に、円を売ってドルを買う需要が高まるために円安ドル高を招くのです。
日銀の政策も関連している
ただし、今回の円安はアメリカの金融政策だけが原因ではなく、日銀の金融政策も関係しているようです。日本ではアメリカほど物価上昇が深刻ではないうえ、ロシアのウクライナ侵攻などの影響による景気の不確実性から、金融緩和政策を継続しています。
アメリカでは政策金利が上昇し、日本では政策金利が変わらないので、日米の金利差は広がるのです。
日米の金利差が広がると、一部の投資家が低金利の円を借りて(円を外貨に替える(円売り))、ドル資産で運用するという「円キャリー取引」が活発になります。
この、円キャリー取引が円安を招いているもう1つの原因なのです。
ここ最近では、日銀の総裁が「金融緩和を継続する」と要所で発言するたびに急激な円安を招いている場面が目立ちます。これは、発言をするたびに円キャリー取引をしている投資家に、まだ日米の金利差が狭くなる可能性は低いという確信を与えてしまっているためと考えられます。
円安は今後も続くか
このまま円安が続くと、エネルギー自給率の低い日本においては、輸入価格が上昇して物価上昇がさらに進行する可能性があります。
最近では、アメリカの金融政策の効果が見えはじめ、発表される経済指標の内容をみると物価上昇はおさまったと考えることもできますが、まだ確信は持てない状況です。
仮に今後発表される経済指標で、アメリカFRBのインフレ抑制政策が十分でないと市場が受け止めれば、さらなるFRBの金融引き締めが行われ、さらに円安に向かう可能性は十分考えられます。
円安の対策はある?
世界を見渡すと、金融緩和政策をとっているのは日本だけです。そのため、対米ドルにかぎらず多くの通貨に対して円安という状況です。円安に対して悲観的な報道などもありますが、円安は海外の資産を持っている方にとってはメリットがあることを知っておきましょう。
例えば、Aという金融資産を1万米ドル分保有していた場合、1ドル90円のときに円に換金すれば90万円ですが、1ドル139円のときに換金すれば139万円です。
円安になったときに何か対策はないか検討している方は、外国の株式や投資信託を保有することも検討してみると良いでしょう。為替相場のみに注目してドル建ての保険に向かうのは短絡的だと思います。アイマークでは、為替の変動も受け止めながら世界経済の成長を謳歌できる海外株式投資を20年以上ご案内しつづけています。
まとめ
日本の円安はアメリカFRBのインフレ抑制策に端を発し、日銀の金融緩和政策も円安に拍車をかけています。引き続き円安が続くかどうかはアメリカFRBの金融政策が効果を発揮するかどうかにかかっているといえるでしょう。
円安の対策として、外国の株式や投資信託を保有しておくことも1つの方法です。
もし円安でどのような商品を選んで良いのかわからないという方はアイマークまで気軽にご相談ください。