こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 認定FP
アイマーク株式会社 代表の村松です。
最近の企業経営では株主だけではなく、株主や取引先、従業員やその家族、地域社会など多くの利害関係者の利益にも配慮することが求められています。これをステークホルダー資本主義といいます。
言葉だけをみると大企業だけに当てはまるものと考えてしまいがちですが、ステークホルダー資本主義は中小企業も取り組んでいくべき問題です。この記事では、ステークホルダー資本主義について解説します。
ステークホルダー資本主義とは?
ステークホルダー資本主義とは、企業に関連するステークホルダーの利益に配慮する考え方です。ステークホルダーとはstake(掛金)とholder(保有する人)を合わせた言葉といわれており、一般的には企業活動をする上での利害関係者の総称を表します。
また、stakeとは先の尖った棒という意味もあり、先の尖った棒でステーキを取り合う様が企業とステークホルダーの関係を表していることがステークホルダーの語源という説もあるようです。
なお、ステークホルダーは大きく企業活動で直接影響を受ける直接ステークホルダーと、企業活動によって間接的に影響を受ける間接ステークホルダーの2つに分けられます。
【企業におけるステークホルダーの一例】
これまでの企業経営は、どちらかというと会社に出資をしてくれている株主の利益を最優先にするべきという株主資本主義の考え方が主流でした。
出資者である株主に利益を還元するために、企業は事業活動の拡大や事業の効率化を推進した結果、企業に利益が生まれ株主も恩恵を受けられることから、株主資本主義も経済発展には一定の効果をもたらしたといえるでしょう。
しかし一方で、株主資本主義は利益を追求しすぎるあまり、環境破壊、労働環境の悪化や経営者の過度な節税などの問題を引き起こしました。
やがてESGやSDGsという考え方が企業に浸透するにつれ、株主だけではなく、あらゆる利害関係者に配慮するステークホルダー資本主義が台頭していくことになります。
あらゆるステークホルダーに配慮する必要がある
ステークホルダー資本主義は、特定のステークホルダーばかりを見ているわけにはいきません。例えば、顧客の納入価格を値下げすれば、顧客にメリットがあるかも知れませんが、会社に利益がなく、働いている従業員がいつまでも低賃金では不満が溜まってしまいます。
また、会社としての業績は好調だったとしても、地域社会に全く貢献していなければ、企業として高い評価を受けられない可能性もあるでしょう。
このようにステークホルダー資本主義は、ステークホルダー同士の利益が相反する可能性もあるため、調和をとりながら各方面と良好な関係を築く必要があります。
ステークホルダー資本主義というと言葉は難しいですが、かつての近江商人が商売をする上で心がけていた「買い手よし、売りてよし、世間よし」の「三方よし」の考え方に近く、日本企業には合っている考え方かも知れません。
ステークホルダー資本主義は企業主導で行うもの
ステークホルダー資本主義は本来、自社にはどのようなステークホルダーがいて、各ステークホルダーに対してどのような関係性を保っていくかを、企業主導で考えていく必要があります。
例えば、企業が二酸化炭素の排出量を削減するという目的を達成すると、企業価値が高まり、株価が上昇します。さらに、資金調達がしやすくなるというメリットもあるでしょう。
また、地域活動に参画すると地域の知名度も高まり、優秀な人材の獲得につながる他、金融機関からの評価も高まるかも知れません。
なお、ステークホルダー資本主義では、こうした企業の方針は、多くのステークホルダーとの対話を通じて形成されていくことが一般的です。
ただ、日本では岸田総理の「新しい資本主義」のスローガンのもと、成長と分配のきっかけを、企業の賃上げに求めている可能性があります。そもそも原資のない中小企業にいたずらに賃上げを求めても、ただ中小企業の収益を圧迫するだけです。
このようにステークホルダー資本主義といっても、何らかの事情で企業主導ではない政策が含まれると逆効果になる可能性がある点には注意が必要です。
確定拠出年金企業型も実践項目の1つ
確定拠出年金企業型は、企業がステークホルダー資本主義を実現するためのツールの1つになります。確定拠出年金企業型は導入に際して、企業で若干の負担は生じますが、従業員の老後の資産形成の後押しをするため、安心して従業員が長く働き続けることができます。
また、確定拠出年金企業型によって、福利厚生が充実している企業という認識が地域に広がれば、優秀な人材が集まりやすくなり、採用コストも抑えられ、会社の収益改善にも貢献するでしょう。
まとめ
ステークホルダー資本主義とは、企業を取り巻くステークホルダーの利益にも配慮するという考え方です。
かつては株主資本主義が主流でしたが、ESGやSDGsなどが企業に求められるようになり、現在ではステークホルダー資本主義の考え方が台頭しています。もちろんこれは、大企業だけではなく、中小企業についても当てはまります。
ステークホルダー資本主義は、利害関係者同士の利益が相反することも考えられるため、各ステークホルダーの関係を考慮した運営が求められるでしょう。
アイマークが取り扱っている確定拠出年金企業型は、従業員の老後の資産形成の一助となり、ひいては、従業員の家族も豊かにすることにも繋がります。
また、確定拠出年金企業型を活用することで投資のノウハウを身に付ける人が増えていけば、地域社会も豊かになるでしょう。そのため、確定拠出年金企業型はステークホルダー資本主義を実現するためのツールの1つといえます。
従業員の福利厚生の充実や退職金などで悩んでいる経営者の方は、アイマークまで気軽にご相談ください。