ファイナンシャルプランナー村松 繁

2021年 05月 11日

確定拠出年金企業型の掛金を変更する方法と注意点について

確定拠出年金相談ねっと 認定FP

アイマーク株式会社 代表の村松です。

確定拠出年金企業型を導入している企業の従業員の方の中には、「順調に資産が増えているのでもう少し掛金を増やしたい。」または「今は少し負担に感じているので掛金を減らしたい。」など変更を希望する人もいるかも知れません。

ここでは確定拠出年金企業型の掛金を変更できるかについて、また変更の際の注意点について紹介します。

確定拠出金企業型の掛金は個人では変更できない

原則、確定拠出年金企業型の掛金を個人で変更することはできません。
これは、確定拠出年金企業型は、さまざまな規約を取り決めたうえで地方厚生局に届け出て初めて企業内で導入することができる制度だからです。

確定拠出金企業型の掛金は企業によって決められる

確定拠出年金企業型の掛金は企業が一定のルールによって取り決めています。
企業が確定拠出年金を導入する場合、どのように実施、運営するかを規約によって定めて、地方厚生局の承認を得る必要があります。

これを「企業型年金規約」といいますが、確定拠出年金法では、「運営管理機関の名称」、「加入者資格」、「掛金の算出方法」等を企業が取り決めて規約に明記して提出しなければなりません。

事業主掛金の決め方

事業主掛金の決め方は、主に3つのパターンに分けられます。

①全社員一律の掛金とする定額(全員同額)パターン
②給与規定や退職金規定などに定められた客観的数字に定率を掛ける給与×一定率のパターン
③上記2つを組み合わせた定額+給与×一定率のパターン

事業主掛金はいずれかの方法で決めなければならないルールがあります。

マッチング拠出制度や選択制の掛金であれば自分で変更が可能

確定拠出年金企業型を導入している企業のうち、マッチング拠出制度や選択制を採用している場合は、自分で掛金を変更することができます。

なおマッチング拠出は、確定拠出年金を導入している企業の規約に定められていることが要件となります。

本人掛金の変更は年に1回行える

マッチング拠出による本人掛金額は、拠出単位期間(12月から翌年の11月までの12ヵ月間)につき一度、変更することが可能です。

ケースによっては当てはまらない場合もある

以下のようなケースでマッチング拠出の掛金に変更があった場合は、年1回の変更とみなされず、毎月変更することができます。

①会社掛金の金額が引き下げられたため、本人掛金も引き下げざるを得ない場合
②会社掛金が引き上げられ、本人掛金との合計が55,000円を超えてしまったような場合
③本人掛金の額の決定方法が変更となり、本人掛金の額が拠出できない場合
④本人掛金の額を0円に変更しようとする場合

なお、掛金の拠出を停止(掛金額を0円)にしたい場合は、「加入者掛金額変更届」ではなく「加入者資格喪失届」の提出が必要になります。

掛金を変更する際の意識したいポイント

従業員がマッチング拠出の掛金を変更する際は、年に一度変更ができますが、企業によって変更時期が決まっているので、今年はどのような方針でいくのか現時点でのライフプランにあわせて、余裕をもって前倒しで決めておきましょう。

企業側は、一旦確定拠出年金企業型がスタートをすると変更する機会はあまりありません。やむを得えず金額を変更する必要がある時は、規約を変更して、従業員に再度丁寧に説明をする必要があります。

本人掛金のポイント:長期的な目線で計画的に決める

事業主掛金は変更することはできませんが、本人掛金は年に1度なら変更することが可能です。本人掛金として拠出した金額は将来の積み立て(運用)に回るうえ、拠出した金額は全額所得控除になる非常にメリットの大きい制度です。

しかし、会社掛金と同様、本人掛金も原則60歳まで引き出すことができません。
そのため、自分の家族が病気や事故などで多額のお金が必要になった場合でも、確定拠出年金で積み立てた金額は会社掛金、本人掛金ともにあてにできないというデメリットがあります。

独身のうちからスタートして、結婚して教育費や住宅ローンなどの支出が多い時期はマッチング拠出の金額を少し抑え、子供が独立して、住宅ローンの返済に目処がついたら掛金を再度増やすといった柔軟な取り扱いも可能です。

会社掛金は変更することはできませんが、マッチング拠出の本人掛金はこのようにライフプランに合わせて金額を変更することが可能です。

事業主掛金のポイント:所定の時期に正しい金額を決める

確定拠出年金事業型の事業主掛金は、法令、規約に従って期限までに正しい金額を拠出することが重要です。加入者ごとの掛金額はそれぞれ異なり、運用商品によっても結果が異なります。

また、従業員各人の掛金の金額や、運用情報、積立金額といった情報は運営管理機関やRK(レコードキーピング)システムといった関連機関の間でデータでやり取りが行なわれます。
拠出額の誤りや提出時期の誤りがあると、これらのデータにも誤りが生じ、運用益の計算に誤りが生じる可能性があり、確定拠出年金の運営自体の信頼を損ねることにつながります。

まとめ

確定拠出年金は、老後の資産を育てていくための制度なので、長期間を見据えた運用が必要です。

しかし長い運用期間の中には、大きな掛金を拠出できる期間もそうでない期間もあるので、掛金を変更したいと思う時もあるはずです。

なお会社掛金を変更することはできませんが、本人掛金はライフプランに応じて変更することが可能です。そのため自分の環境に応じて使い分けていきましょう。

ちなみに本人掛金が認められている制度は、マッチング拠出だけでなく、選択制を採用している企業も対象です。特に選択制の場合は、会社掛金がいくらであっても本人掛金の額を決められるといったメリットもあります。

もし導入にあたり気になる内容があれば、一度相談してみてはいかがでしょうか?


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