今回のコロナ騒動で、始めて助成金の制度を使った方も多いと思います。
今まで名前は何となく知っていたけど、助成金やら、補助金とかが、よくわからなかったという人も多いと思います。
仕事の量が減少したけれども、従業員を解雇等せずに、休業して乗り越えようとし、休業手当を支払ったときに、今回の雇用調整助成金が支給されます。
他にも、助成金にはいろいろな種類があります。
今回のコロナ騒動では、不本意ながら事業を縮小した方や、反対に事業規模を拡大した方もいると思います。
仕事が増えたので、「最初はとりあえず、アルバイトで雇用したけれども、よく働いてくれて、気心も知れたので、正社員にならないか?」、と言う事もよくある話かと思います。
その際、キャリアップ助成金の申請をすれば、57万円<72万円>もらえる可能性があります。
もちろん、申請しなければ何ももらえません。
「つい、先日、正社員にしたんだけれども・・・」
誠に残念です。次の方の時に、改めて申請してください。
キャリアアップ助成金について
上記の助成金としてキャリアアップ助成金があります。
この助成金は、人材を育てて企業の成長力を底上げしたいけれど、経済的に難しいという会社のために用意された支援制度です。
特に、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する事業者には、国をあげて大掛かりな支援金が用意されます。
この助成金には下記の8種類のコースがあります。
- 正社員化コース
- 人材育成コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
この中で、今回は一番可能性の大きい「正社員化コース」を取り上げます。
「正社員化コース」は、有期契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの非正規社員を、正規雇用労働者(以下、「正社員」という)や無期契約社員にすると助成金が支給されます。
主な「正社員化コース」には、有期契約社員から正社員への転換、有期契約社員から無期契約社員への転換、無期契約社員から正社員への転換の3つのパターンがあります。
助成金額について
それでは、この助成金ではいくら支給されるのでしょう?
中小企業の場合 ※<〇〇万円>は生産性要件(後述)が満たされた場合
① 有期 → 正社員:1人当たり 57万円 <72万円>
② 有期 → 無期 :1人当たり28万5,000円<36万円>
③ 無期 → 正社員:1人当たり28万5,000円<36万円>
①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで
※ 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合に助成額を加算 (転換等した日において母子家庭の母等または父子家庭の父である必要があります)
※ 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合に助成額を加算 (転換等した日において35歳未満である必要があります)
・ いずれも①:1人当たり95,000円<12万円>、②③:47,500円<60,000円>もちろん今回記述したこと以外にもいろいろな書類や制約がありますが、自由に使えるお金が例えば57万円もらえるなら、少々時間や手間がかかっても十分だと思います。
生産性要件とは
厚生労働省のリーフレットでは下記のように説明されています。
あえてザックリと説明すると、3年前に比べて被保険者一人当たりの生み出した利益が増えているかどうかです。
生産性要件は条件等を見ていると、益々難しい助成金だと思うことでしょう。
しかし、利益の増加や従業員の減少によって、実は自社も条件を満たしているという所もあるかもしれません。
「うちは関係ない」という意識は捨てて、一度「生産性要件算定シート」をダウンロードして、数字を入れて確認してみるとよいでしょう。
該当すれば、15万円増えるかも?
対象事業主の主な条件
① 雇用保険適用事業所である
② 就業規則に助成金の条件に沿った転換条文を記載していること
③ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者をおいている
④ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている
⑤その他
キャリアアップを監督する「キャリアアップ管理者」は、中小や零細企業であれば事業主本人が担当することが多いです。
一方で、組織規模が大きくなってくれば、別に責任者をおいても問題ありません。
また、キャリアアップ助成金に申し込むには、どのように人材の育成に取り組むのか3~5年単位の予定を記載した「キャリアアップ計画書」が必要不可欠です。
導入スケジュール
「キャリアアップ助成金」の活用に当たっては、 各コース実施日の前日までに「キャリアアップ計画」(労働組合等の意見を聴 いて作成)等を作成し、提出することが必要です。
終わりに
雇用調整助成金の支給申請にあたって、雇用保険はおろか労災保険にも加入していないことに気付いて、慌てて加入した方もいると思います。
助成金の申請で、大事なことは
・勤怠管理がしっかりとできている
・賃金管理(給与計算)が正しく行われている
・法定帳簿がきちんと整備できている
・助成金の最新情報を入手している
結局、労働者のための、体制作りをしている事業所に、恩恵的に支給されるものです。
今回の説明以外にもチェックポイントがたくさんあって、なかなかハードですが、57万円+α 目指して頑張りましょう!