毎日毎日頑張っている看護師さん、お疲れ様です。
前回のコラムでは
- 「社会保険」は医療保険・年金・介護保険・労働保険の4つに分類されること
- 仕事上でのけが(注射の針刺しや通勤時の事故など)や疾病(業務に従事していることで感染症に罹患したなど)では健康保険ではなく、労災保険を使うこと
についてお話ししました。
今回は最終回です。
まずは前回説明した「労働保険」の続き「雇用保険」についてです。
「雇用保険」について知っていますか?
雇用保険は多くの方が聞いたことがあると思います。
雇用保険には、皆さんもご存知の通り、失業した場合の「求職者給付」や介護で仕事を休まなければならなくなった場合の「介護休業給付金」などがあります。
雇用保険の被保険者は、適用事業所に雇用され、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上、31日以上雇用される見込みがある人です。
雇用保険の失業等給付にあてるための保険料は事業主と労働者本人の折半となっています。
雇用保険法では、令和2年(2020年)4月1日に法改正が施行され、子を養育するための休業をした場合に給付される「育児休業給付」が失業等給付から削除され、独立した項目となりました。
これは、出産後も働き続ける女性が多くなってきていることや男性の育児休暇取得が増えてきていることで給付額が増えていているために、財政負担のあり方を見直した改正だそうです。
雇用保険は、失業した時に給付されるイメージが大きいかもしれませんが、看護師が働きながら妊娠・出産・育児をする時にも支えてくれる大事な保険なのですね。
年金の3つの役割を知っていますか?
「社会保険」の最後は、年金です。
「え? 年金が保険ですか? 年金って年を取ればもらえるんじゃないの? ほかのケースは万が一というのはわかるけど、年金は万が一ではないですよね?」と思った方、以前の私と一緒です!
実は… 年金って正式名称を「年金保険」って言うんですよ~!
そういえば、「国民年金保険料」「厚生年金保険料」って言いますものね。
年金は、働くことが難しくなってしまった障害者の生活保障(障害年金)、生活を支えていた人が亡くなってしまった遺族の生活保障(遺族年金)、年齢を重ねることで働けなくなってしまった高齢者の生活保障(老齢年金)の3つの役割で国民の生活を支えています。
ですから、年金はただ単に「自分が積み立てた保険料が老後の年金として戻ってくる」のではないということを認識する必要があります。
日本の年金は現役世代が納めた保険料がその時々の高齢者や遺族、障害者の年金給付にあてられる「賦課方式(ふかほうしき)」という制度を取っています。
そのため、ちまたでまことしやかに言われているような「年金制度は破綻する」とか「今の若者世代は将来年金を受け取れない」ということはありません。
ただ、少子高齢化によって年金支給額が少なくなるということは確実視されています。
長寿はリスクの一つ?
「社会保険」の仕組みの中では、「長寿→高齢になって働けなくなること」をリスクの一つと表現します。ちょっと変わった表現なので違和感があるかもしれませんが、このように考えるということを知っておいてほしいと思います。
以上、「社会保険」について説明してきました。難しい言葉もあったかもしれません。
「お得な保険について知りたいだけなのに…」と思った方にこそ、知っていただきたい内容を書いたつもりです。
なぜかというと…
「社会保険制度」はセーフティネットです
今まで説明してきた「社会保険制度」はしっかりと頑張って働いているあなたの生活を守ってくれる制度です。いわゆる「セーフティネット」です。
先ほども説明しましたが、社会保険制度は加入が義務化されており、収入などの負担能力に応じたものになっています。みんなで支える相互扶助の仕組みです。
今までの内容は「民間保険」を検討するときに大切になる基礎知識です。
以上のことから民間保険の保障は、社会保険で保障されている分は考えなくてよいということがわかりますね。
「今のあなたにとって必要な保険」 を考えましょう
民間保険を検討するときには、あなたが「今のあなたにとって必要な保険」を考えることが大切です。
- あなたが今、備えるべき「リスク」はどんなことか? 不安に思っていることは何か?
- 今、あなたに万が一のことがあったときに生活上で直接困る人(扶養している家族)がいるかどうか。
をまず考えてみましょう。
最後に、「看護師が生命保険加入を考える前に読んでほしいこと その1」のコラムの冒頭で紹介した図をもう一度紹介しますね。
改めて説明すると…
想定しているリスクはどのくらいか、今の自分に万が一があった場合に自分の社会保障はどのくらい保障してくれるのか、そのうえで足りない部分をどうするか、ということですね。
さあ、これから、これまでの社会保険の知識を踏まえて、いよいよあなた自身にとっての「必要な保険」を考えていきましょう!
私は、特定の保険会社と契約していない「独立系ファイナンシャルプランナー」ですので特定の商品を勧めることはありません。
聞いてみたいことや疑問点などがある方は遠慮なく「お問い合わせフォーム」からご連絡くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。