ご覧の皆さま、こんにちは。
FP相談ねっと・五十嵐(いがらし)です。
『週刊社会保障』3月3日号の「年金相談のトビラ」第87回「配偶者死亡と特例的な繰下げみなし増額」を執筆しました。
2023年4月改正で制度化された特例的な繰下げみなし増額制度は70歳超で繰下げ待機している人が、繰下げ請求せず、遡って年金を請求(本来請求)する場合に、その5年前の繰下げ増額率で受給をする制度となります。
72歳0カ月時点で繰下げ待機している人あれば、その5年前・67歳0カ月での増額率(16.8%)で5年遡って受給し、72歳以降の将来の年金も16.8%の増額で受給することになります。
この場合、67歳0カ月繰下げ開始と同じ扱いでの受給となります。
しかし、この特例的な繰下げみなし増額の対象となるためには条件があります。
そもそも、繰下げ受給自体は66歳0カ月以降可能です。つまり、65歳から66歳になるまでの1年間は繰下げ待機していることが前提条件となります。
66歳になるまでに障害年金や遺族年金の受給権が発生すると、繰下げ受給自体できなくなります。
そして、特例的な繰下げみなし増額も66歳になるまで繰下げ待機でき、かつ70歳を過ぎて繰下げ待機していることが条件となりますので、66歳前に繰下げできないことになると、特例的な繰下げみなし増額の対象になりません。
この場合、繰下げ増額はなく、時効により5年しか遡れないことになり、時効消滅分は受け取れないことになります。
65歳以降もずっと働いていて70歳を過ぎて初めて年金の手続きをすることもあるかもしれません。
66歳前に既に配偶者が亡くなっていて遺族年金の受給権があると、繰下げ受給もできず、特例的な繰下げみなし増額の適用もされないため、注意が必要です。
65歳以降の年金の受け取り方やそのルールについて気になる場合は、一度年金事務所等で確認しておくと良いでしょう。
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【FP相談ねっと・五十嵐義典 これまでの実績】
●FP個別相談、金融機関の相談会等含め年金相談は合計5500件以上経験。
●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会保険労務士向け、FP向け、社会人1年生向け、大学生向けなど。㈱服部年金企画講師。
●執筆は通算550本以上!『週刊社会保障』(「スキルアップ年金相談」「年金相談のトビラ」、法研様)、月刊『企業年金』(「知って得!公的年金&マネープラン」、企業年金連合会様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「MONEY PLUS」(マネーフォワード様)、「Finasee(フィナシー)」(想研様)、「現代ビジネス」(講談社様)、「THE GOLD ONLINE」「THE GOLD 60」(幻冬舎ゴールドオンライン様)、「あなたのお金と暮らしのそばに。ハマシェルジュ」(横浜銀行様)、「よるかぶラボ」(ジャパンネクスト証券様)、「ファイナンシャルフィールド」(ブレイクメディア様)。その他監修本・著書として、FUSOSHA MOOK『定年前後に得するお金の手続き』(扶桑社様・共同監修)、『50代からの戻るお金・もらえるお金』(ワン・パブリッシング様・共同監修)、『DCプランナー1級合格対策問題集』『DCプランナー2級合格対策問題集』(経営企画出版・共著)。
●取材協力先は『日本経済新聞』『日経ヴェリタス』(日本経済新聞社様)、『読売新聞』(読売新聞東京本社様)、『プレジデント』(プレジデント社様)、『女性自身』(光文社様)、『SPA!』(扶桑社様)。
●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。日本年金学会会員。
※2024年7月までは井内 義典(いのうち よしのり)名義。