森次 美尊

セゾン投信中野会長退任の理由と影響【中編】

こんにちは。
ファイナンシャル プランナー もりつぐ先生です。

さあ 前回からの続きのお話をしていきましょう。

ここからは、いよいよ日本の運用会社の闇の部分について
どんどん切り込んでいきましょう。

何故 こんなことが起きていたのか?
日本が今 抱えている問題について、
掘り下げてお話していきたいなと思います。

これについては、僕がというより金融庁が出している情報を
抜粋して、お伝えしていきたいなと思います。

金融庁経新聞・セゾン投信 中野さんも、
これに対しては問題視しています。

その問題についてのお話です。

日本の運用会社の抱えてる闇とは?

じゃあ、ここで 運用会社の日系大手11社と、世界の大手30社
比べた情報を比較してみましょう。

まずは、日本の大手11社からです。

自分の所の資産運用会社のトップに就く経営者のキャリアを
見てみると、ここでの在任期間が3年未満の人が
36.4%で1番多いんです。

じゃあ その前の自分の仕事って、何やってたの?
と言うと、グループ会社にいた人が73%です。

在任期間も結局3年未満ということですが、
これは一体何を意味するのか?

まず最初に、親会社である運用会社があります。

そして、この親会社である〇〇証券さんから、子会社の
〇〇アセットマネジメントのようなところに
やってくるのが、大体7割ぐらいなんですよ。

グループ会社の中の販売会社なので、運用のことは素人です。

ここで、2年後くらいにトップになる時もありますけど、
結局は3年程しかいない訳ですね。

トップになっても3年ぐらい経つと、
もう7割の人はどこか他に行っちゃうという状況になってます。

要は、グループ関連会社からやってきて
3年ぐらいして、またどこかに行っちゃうといったことを
繰り返してるわけですよ。

一方で 海外は一体 どうなっているのか?

世界大手30社はと言うと、まず運用会社でのキャリアが
20年以上のトップの人がいるというのが約6割です。

そして、内部からの昇進で上がっていく人が
一番多くて5割以上です。


そして、ちゃんと
トップとして君臨しているのも
5年から10年が43%という事なので、
日系と比べて長いことがわかります。

自分の運用会社で、生え抜きで昇進していった人が
そのままトップになるので、当然キャリアも20年以上
積んでいることになります。

その人が5年から10年かけてしっかりと、
運用会社を守っていくというわけです。

これって、日系のやり方とは全然違いますよね。

つまり、
① 運用会社のための仕組み(海外)
なのか、それとも
② 販売会社を中心に出来上がる
  グループ会社としての仕組み(日本)
なのかっていうことです。

トップは、運用会社中心に
考えられていないのでは?

この様子から販売会社の影響を、かなり受けるものだ
ということがわかります。
理由としては、まず運用会社としてのキャリアがあまりない
ということが挙げられます。

やはり、グループのメインの販売会社の所からやって来て
またメインの所に帰っていくわけですよね。

言ってみれば、いずれはメインに帰りたい。
と思ってる訳じゃないですか。

じゃあやはり、どうしたってメインを中心に考えますよね。

”本当に自分たちの運用会社を中心に考えられるのかな?”
ということが、不安材料としてありますよね。

これについては、数字から読み説いている僕の想像が入っています。

でも、そういうことも言えるんじゃないですか?
これが金融庁も言っているアンチテーゼなわけですね。

そして、アメリカは運用している担当者の名前を
ほぼ100%公表してるんですが、日本は2%しか公表していないんです。

日本はアメリカに比べ、純資産残高が低い。

あと、日本の投資信託で1番の問題があります。

投資信託には、販売しているもの、していないものがあって
これらはお客さんが資産を預けてるものです。
これを全部合計すると、14,000本ぐらいあるんです。

でもアメリカは1万本なので、アメリカの方が少ないんですよね。
ですが、資産残高の合計はアメリカが28兆円で日本は2兆円です。

つまり日本は、アメリカの1/14なのに
アメリカの1.4倍の投資信託がある訳ですよ。

なので、1つ1つがかなり小さい金額の商品だ。
ということがわかります。

アメリカはこの投資信託が良いね。
というものに、しっかりとお金を預けていくんです。

以上のことから言えることは、
日本の1番の問題は、純資産残高だということです。

新しく1つの投資信託が出たら、最初はいきなりどっと売れるんですよ。

そして、みんな2年から3年で辞めていくので
結局は、どんどん資産残高が増えずにしぼんでいってしまいます。
1つの投資信託の資産残高は、ほとんどこんな動きになります。

つまり、流れとしてはこんな感じです。

まず、新しい投資信託の商品が出ます。
そうすると日本は、販売会社が営業力あるので、
まだ販売もしてない株を売って、滅茶苦茶お金を集めてくるんです。
かなりのお金を集めてくるので、この点はすごいですよね。

そして、その後 2年から3年でもう次の新しい商品が出ます。
まだ世の中に出ていない商品なのに「これ良いですよ!」と言って
以前に買った商品を売却させて、またドっとお金を集めるわけです。

どうやって集めるのかというと、まずは商品Aを売って、
みんなでまた、新しい商品Bに乗り換えるわけですよ。

1つの投資信託の動き
( 商品A → 増えずにしぼんでいく )

こんなことをずっと繰り返していくのは
結局、購入手数料が欲しいからやるわけです。

だけどお客さんの視点で考えてみたら、
”しっかりと、長期で持った方が良いんじゃないの?”
という思いが出てきますよね。

” 2~3年で買い替えるために手数料を抜かれてたら
本当にお客さんの資産って増えるの?”
” 顧客本位での仕事をちゃんとしてますか?”


といった問題点が日本の投資信託の売り方で、
指摘されているというわけです。

一方のアメリカは、
「過去の実績もこれだけあるということは、この投資信託は
良い商品なんだ!ってことは間違いないじゃないですか。
だからもうずっと持っておきましょうよ!」

という感じで、実績が積み上がれば積み上がる分だけ
その投資信託に人気が集まって、しっかりとその資産残高が
増えていくということをやっている訳です。

両者のやり方って、もう全然違いますよね。

ちょっとここで、運用する側である
ファンドマネージャーの気持ちになってみて欲しいんです。

その人が才能ある素晴らしい想いのある方であればあるほど、
やはり気持ちが腐ってきちゃうと思いませんか?

しっかりと良いパフォーマンスを持って、利益を上げている商品で、
自分が運用実績を出してくると ” 実績出せてすごいね!”となって、
だんだんと人が集まってくることによって
ファンドマネージャーも、本気でやる気になっていくものじゃないですか。

でもそうではなく、なんだかよく分からない内に
販売会社が商品を一気に売ってくれるんですよ。

自分がまだ何も実績を出してないのに、いきなりドカンと売れるんです。

当然 売れたらお金が集まってきます。
なので、このお金で株を買わないといけないですよね。

この運用会社のファンドマネージャーが
”この株を買おう、あの株も買おう”と、色んな株を買うわけです。

そして2年3年でまた新商品が出たら、
” 次はもう全部売って下さい! ”
といった感じで、販売会社がお客様に促して行くので
それを信じて、お客様はみんな売っちゃうわけですね。

売るということは、つまり買っていた株を市場に
売りに出さないといけないってことです。

だからもう2年3年経つと、
全部売りに出さなきゃいけないってことです。

ということは、2年3年で成果の出るような物でないと、
もう怖くて買えなくなりますよね。

自分が、しっかりとした想いを持って                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          
『 こういう風に増やしていこう ! その為にこの企業の株を買おう!』
という風に考えていても、そんな仕事をさせてもらえないじゃないですか。

それだとやはり、やる気はなくなりますよね。
そして、優秀な人になればなるほど居なくなりますよね。

「運用担当者として、名前はもう公開しないで欲しい!」
という気持ちにもなりますよね。

要は、こんな感じのお話なんじゃないかな。
という風に僕は思うんですよ。

つまり、消費者というのは当たり前の話ですけど、

将来に向かって資産を増やしたいんです。
だから投資をしているんです。

着実に資産を増やすなら、基本的には長期投資

「どうやったら資産って増えるのかな?」
これについての答えは、このブログでも何度もお伝えしてきたように

基本的には、長期投資です。

投機は危ないので、短期で売買なんかしたらダメです。

やはり、コツコツとしっかりと長期的に増やしていきましょう!
というのが、資産形成の王道だと思うんですよね。

運用会社にしてみると、自分たちの利益は
資産残高さえちゃんと増えているなら、そこから自分たちの
利益というのも比例して上がっていく訳です。

だから、お客さんが預けてくれたお金をしっかりと増やして
資産残高を大きくしていけばいいわけでしょ。

その為に、運用会社が何が重要なのかというと、
お客さんの資産を増やし続けるって事です。

そのためには長期投資が必要になるんですよ。

長期に渡って、しっかりとお客さんの資産が増えていけば、
預けておけば預けておくだけ、その分の資産が増えていきます。

そしたら、運用会社の資産残高も増えるということじゃないですか。

それがまた、良い噂を呼んで新規の顧客も入ってきてくれる!
という好循環が生まれますよね。

そういう方たちが、またコツコツ預けて
それを長く置いてくれたらしっかりと
その資産は、増えていく。

という風になるわけです。

本来、お客さんの利害と運用会社の利害って
実は一致してるんです。

でも、銀行証券会社は
” 回転売買したい、販売の手数料が欲しい”
といったことをやっちゃうと、消費者とも運用会社とも
利害が一致してないよね。となるわけです。

「これは良くない!やっぱり投資は直販だ!」
と言う風にセゾン投信は言った訳ですよ。

ちなみに直販系運用会社って、他にも色々ありますが
今回はセゾン投信、その代表者・中野さんを取り上げてます。

しかもセゾン投信は積み立てなんですよ。

もう基本的にドンとまとめ買いするんじゃなくて
もうコツコツとやっていく。つまり長期なんですよね。

なので、

『セゾン投信の中野さんは、積み立て王子』

なんて言われているわけです。

要するに、積み立て投資というのを
世の中にめちゃくちゃ広めた人なんです。

昔は販売会社とかが、
「 積み立てなんか儲からないよ!
むしろ赤字を出すのに一体何やってくれるんだ!」
みたいな扱いの時もあったってことですよ。

積立・直販をやり続けてきた。
それがセゾン投信!!

今の時代、つみたてNISAが人気が出て多少主流になっていますけど、
もっと以前の2006年から
『 積み立て・そして直販なんだ‼』
というのをやり続けてきた会社。 

これがセゾン投信なんだよ。
ということです。

次回、後編へと続きます。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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