森次 美尊

セゾン投信 中野会長退任の理由と影響【前編】  

こんにちは。

ファイナンシャル プランナー もりつぐ先生です。

さあ ちょっとショックなニュースが入ってきました。
『 セゾン投信 中野会長退任!!
この衝撃的ニュースには、ホントに驚きましたね。

金融業界も、これには結構 湧きました。
まだ 動揺している方も、たくさんいらっしゃると思います。

もしかしたら、この記事を読んでいる方の中には
「え?そんなことが起きてたの?」
という感じの人も、たくさんいるかもしれませんね。

でも 来年から新NISAが始まって、皆さんにとって
投資がより近い存在になっていく。

という昨今、このニュースを知っているのか知らないのか。

このニュースが与える、今後起こりうる金融業、
運用会社に対する与える影響はかなりあるはずです。

そして、一体なぜそんなことが起きてるのか?
について是非知っていただきたいな。という風に思っています。

僕は、
皆さんにも決して関係のない話ではない。
という風に考えてますので、少し長くなるかもしれませんが
思いを込めて精一杯お話ししたい!
と思いますので最後まで、どうぞよろしくお願いします。

なぜ、セゾン投信の中野会長は退任したのか?

まず最初に、日経新聞に出ていたニュースから取り上げたいと思います。

『 セゾン投信中野会長退任 』
というニュースですが、
一体どういう風に書いていたのか。

日経新聞の取材で、以下については一部抜粋してます。

要は、セゾン投信の親会社本体の会長がこう言ってました。

セゾン投信は
” 直販を中心とした販売方針を転換する必要がある。

” クレジットカードの顧客基盤、金融機関との提携を生かし、
  販売拡大に取り組むと述べている。”
こういう風に言ってる訳ですよ。

セゾン投信は、直販を貫いてきた会社だった。

セゾン投信というのは、元々
直販系の運用会社なんですね。

基本的に、
証券会社や銀行といった販売会社を通しては売らないんです。
一部は売っていますが、基本的には売らないということです。

そうではなく、自分のところで
直販として、お客さんと直接つながって購入してもらう
という仕組みを、ずっと貫いてきた会社なんですね。

「 いやいや、今時はそんなこと言ってる場合じゃないよ!
顧客リストもめちゃくちゃ沢山持ってるし、基盤だって色々あるんだから
みんなもやってるように、ここに売っていったら良いんじゃない?
金融機関ともどんどん提携していきましょう!」

こういったことを、親会社は言っていたわけです。

おそらく、セゾン投信 中野さんはこの考えに
ずっと反対してきたと思われます。
だって、今までずっと直販で貫いてきた訳ですからね。

それで、この対立構造があったことによって、今回退任される。
というかたちになったんじゃないかな。
という風に、日経新聞には書かれているってことですね。

また、「なんでそんな風になっちゃったの?」
という事について、書かれていることを一部 抜粋してみます。

そもそもセゾン投信というのは、
今までの日本の運用会社に対するアンチテーゼなんだ。

今の系列の運用会社に対し、次々と新しい投資信託を作らせて、
手数料稼ぎのために顧客に短期での乗り換えを進める。
多くの証券会社や銀行系のこれまでの販売手法に対しては、
販売会社の利害が優先されている。との批判が根強くあった。

セゾン投信中野氏は、直販モデルというのに乗り出して、これへのアンチテーゼだった。
中野氏は、かねてから顧客本位で信頼関係を結べば、
相場の下落局面で急激な資金流出が起きず、長期資産形成を支えることが出来る。
と語っている。

セゾン投信の中野晴啓会長 
資産運用会社のセゾン投信(東京)が5月31日の取締役会で、創業者で最高経営責任者(CEO)の中野晴啓会長を退任させる人事を決めたことが1日分かった。 28日の株主総会で正式決定する。

アンチテーゼ
 ある理論・主張を否定するために提出される反対の理論・主張。


日経新聞にはこんな風に書かれています。

つまりどういうこと?ってことなんですが、
今まで日本というのは販売会社、銀行、証券会社といった
売るところがめちゃくちゃ力を持ってる構造なんです。

そうして、新しい商品が出来ました!
となったら、お客もお金も大量に集めようとして、一気にそれを売るわけです。

そうしたら、この投資信託にいっぱいお金が集まりますよね。

だけど、1回買ってもらったら
販売手数料って、もう取れないじゃないですか。

だけど、利益として手数料は欲しいわけです。

なので、また新しい商品が出たら
「今度はこっちの商品を買ってください!」
といって1回 売ったあと、また新たな商品にいくという
短期売買ばかりしているんです。

ですので、過去にこの動画でもお伝えしているように
日本人の投資信託の平均保有期間って3年未満
だったりするわけですよ。

でも20年とかの長期で持てば、リーマンショックっていう
めちゃくちゃ大きなマイナスの時に解約しても損してないよ!
というぐらい増えてる結果の数字もあるわけです。

だから長期で持てばお客さんの資産って、
増える可能性が高くなることがわかっているのに
短期で回転売買をしている理由は、

” 販売会社が購入手数料を欲しいからだ。”

これは、お客さんの資産を増やすという利害と
相反していますよね。

と、こんな風に中野氏は言ってる訳ですよ。

ですが そうではなく、ちゃんと直販というルートで
お客さんとつながって長期にお金を預けてもらえば
結果的に、お客さんは大きなマイナスが来たとしても離れません。
そうしたらちゃんと資産残高はどんどん増えていくんです。

売買せず、ずっと持ってたら購入手数料を取る事は出来ませんが
信託報酬という一部手数料を取れる訳です。

なので、残高が大きくなったらちゃんと信託報酬
安定した収益も上げれるよね。ということだから
お客さんの利害と、運用会社の利害をちゃんと一致させて
『 お互いwin-winでお金儲けしたらいいじゃない。
    それって十分可能なんですよ。』
ということを、セゾン投信の中野さんはずっと言っていました。

そして、そんな想いでセゾン投信は2006年に立ち上がりました。

資産残高6000億・口座保有者15万人です。

会社が立ち上がったあとすぐ、リーマンショックが来てますからね。
この時点で会社は終わっちゃう可能性もありました。

おそらく 通常のやり方なら販売会社をここで集めますよね。

リーマンショックが来て、ここで全部売って
他のものに変えたら、もう終わりかもしれないですよね。

でも、セゾン投信は直販でしたし、そのやり方はしてないので
いきなり一気には集まってはいません。

コツコツと少しずつ積み立てて、集まってきてるんですよね。

もちろん、大きく下がった時もあったと思うんですけど
積み立て式なので、そんな時でもたくさん買えます。

という流れを丁寧に説明して、積み上げてきたんですよね。
そうやって中野氏は、自分が言ってることを
形にしてきている現実がある訳です。

これって、本当にすごいことですよね。

じゃあ 皆さんの中にも、もしかしたらこの素晴らしい
パフォーマンスが出てるセゾン投信の商品を
お持ちになっている方がいるかもしれないですよね。

今後のセゾン投信は、中野さんがいなくなっても大丈夫なのか?
という所が、とても気になる点ですよね。

僕は一応、
今すぐ何かが変わるっていうことは、少ない。
という風に見ています。

その理由は、セゾン投信の投資信託は
メインの商品が2つあったからです。

最近新しいのが1個入りましたが、メインの2つは
ファンド・オブ・ファンズ
という仕組みなんです。


ファンドのファンド=投資信託の投資信託
これは一体 どういうことか。

みなさんがセゾン投信の投資信託を買ったとします。

そうしたら、運用会社ですから集まったお金で、
この企業の株を買おうか、それとも売っておこうかという風に
パッケージ化するわけです。

それを自分たちでするんじゃなくて、既にそれをやっている
投資信託でやっていこうってことです。

例えば、
”アメリカ地方にすごく優秀な投資信託があるから買おうかな”
”ヨーロッパ地方はこの投資信託がいいから、買っておこうかな”
”アジアはこれがいいな”という感じで、
自分の所で選定した上で
バランスも考えながら買って、
1つの投資信託にしている。
といった仕組みなんですよ。

だから、大元の運用をしているところっていうのは
その先にある各運用会社なので、自分の所が
直接 何か影響を受けるってことは少ないかな。
という風に思っています。

セゾン投信 中野会長退任!!
すぐにどうなるはないが、今後の動きに要注意!!

でも実際の所、この部分がどうなるかって分からないですよね。

今すでに セゾン投信の商品を持たれてる方は、
月に1回、月次レポートというのがあるので、
今後 このニュースがどうなるのか、
そして投資信託がどういう動きになっていくのか。

直販ですので、その中で色々な意見を聞いたりする機会があると思います。

なので、そういったお話にちょっと耳を澄ませていただいた方が
良いんじゃないかなということを、お伝えさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日のコラムはこちらのYouTube動画でご案内してます。