森次 美尊

シリコンバレーバンク破綻の理由!銀行って潰れるの!?

こんにちは。
ファイナンシャル プランナー もりつぐ先生です。

さあ 今日は ある質問を頂いたので、そのご質問の回答について
ちょっと 紐解いてお話していこうかなと思ってます。

今年の3月ぐらいに シリコンバレーバンクという
アメリカの銀行が破綻しました。

※ シリコンバレーバンク
かつて存在した、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララに本社を置く、
州法による商業銀行である。2016年6月30日時点ではシリコンバレーにおける
預金量の25.9%のシェアを保持する、シリコンバレー最大の銀行であった。

このニュースを受けて、

Q:「私が預けている日本の銀行の経営状態は、
      本当に大丈夫なんですか?」

こんな質問が来たんです。

皆さん 意外に知らない方が多いんですけど、
銀行って結構 潰れてるんですよね。

ネットとかで調べてみてください。
過去に潰れた銀行などが、かなりの数で出てきます。

銀行って、皆さんの想像以上に結構 潰れてます。

じゃあ、なんでそんなに潰れたりするの?
というお話なんですが、シンプルにみんなが一斉にお金を引き出し始めたら
それだけで銀行ってもう簡単に潰れちゃう訳ですよ。

今回も、その流れが起きて潰れました。

例えば 皆さんが預けている銀行のことで、家の近所の人から
” なんかあの銀行って、潰れる噂があるらしいよ。”
なんていうお話を耳にしたらどう思いますか?

ちょっと心配だから半分ぐらい引き出しておこうかな?
とか思いませんか?

こんな風にして噂が広まって、
” ちょっと私も引き出そう!僕も引き出しておこうかな ”
という感じで一斉にみんなで引き出しちゃうと、
それだけで銀行って潰れるんですよ。

何故 潰れるかというと、要は銀行って信用取引で回っているからです。

例えば ATMで自分の残高を確認すると、自分の貯金が500万
文字として通帳に記帳されているじゃないですか。

あの場合、500万円そのものが ATMにあるわけではないですからね。
そして、預けている銀行にもありません。

例えば、住宅ローンを3,000万貸し出す時って
みんなが預けたお金3,000万が今、ここにあるから
貸してるんじゃないんですよ。
3,000万って文字として、只 書いてあるだけです。

だから、元々 預かったお金は全然違う場所で
運用していたりするわけです。
だから実は 実際の手元には、全然ない。
ということになります。

なので、みんなが一斉に引き出す!なんてことになると、
” いきなり、はい潰れます!!”
となって、その銀行はもう終わりなんですよ。

こんな感じで実は、銀行って結構ギリギリの綱渡りを
していたりするんですよね。
本当に、皆さんの信用で成り立っているんですよ。

それが今回、何故 みんながいきなり不安に駆られて
引き出し始めたのかというと、2020年に流行り出した
新型コロナウイルス蔓延の影響に遡る訳です。

アメリカ人のコロナ明けのお金の使い道一例
・ベンチャー企業への投資

それで、コロナの時 アメリカは
国民を救おうとして、国をあげて補助金を出したりして
かなりのお金を、ジャブジャブ発行したわけですよ。

コロナの期間って、みんなそもそも
その補助金のお金も思うようには、使えませんでしたよね。

なので、そのジャブジャブ発行したお金って
コロナが明けてからも、まだ手元に沢山余ってる訳です。

だからコロナが収束した後 みんな一斉に、お金を使い始めた訳ですね。

使い始めた理由の1つとしては、
ベンチャー企業への投資というのも
凄く行なわれたわけです。

つまり、みんながお金を使い始めるということは
一斉に買い物するということになるので、
景気で言うと、かなりの好景気になるわけですね。

アメリカって、今はもう空前の好景気に入ったわけです。

そうなってくると、それに便乗して新しいベンチャー企業
なんかもどんどん出てきます。

『 今 うちのシステムでこういうのを開発したら、
これだけの利益が出せるので、是非うちにお金を集めさせてください!』

なんて言い出し始める多くの企業が、出てきたわけです。

みんな 自分の所にお金がだぶついてるもんだから
「いいね!それなら自分も出資するよ!」
みたいな感じで、大勢の人が出資したわけですよ。

そういった感じで、ベンチャー企業に集まったお金が
シリコンバレーバンクという銀行に、
大量に流れていったわけです。

集まってきた大金って、やはり少しずつ使っちゃいますし
手元に置いておいたとしても しょうがないですからね。

そして、その集まったお金が全部シリコンバレーバンク
という銀行に入ってきた訳です。

現金で、その企業に持って行って
「はい、これだけ出資します!」
なんて言っていきなり渡さないですよね。

当然 銀行経由なので、シリコンバレーバンクに行くわけです。

シリコンバレーバンクも、この出資金が入ってきたら
手元に置いたままにせず、いろんなところに投資したりするんです。

その1つが、安全で確実な資産として
アメリカの国債という債券を買いました。
これは、つまりアメリカの借金です。

アメリカという国が ” ちょっとお金貸しといて。”
という感じで、そのまま借用証書を書くようなものが
アメリカの国債ですよね。

国債については、アメリカって基本 潰れないので、
『 何年か預けてくれた後に、払い戻しするので
これだけの利回りはちゃんと出すよ。』
みたいな形の、安定しているものです。

こんな感じで
みんなが国債にたくさん投資したお金を
シリコンバレーバンクが債券で持っていた。
という状況が生まれたわけです。

債券の価値は利上げをしたら下がる。

そうすると世の中がどうなったのか。

イケイケで空前の好景気のような感じになって、
「みんなが欲しい!欲しい!」と言って、色々なものを買い出すから
アメリカは、どんどん物価が上昇していったんですよ。

物価がある程度 上がりすぎると、さすがに買えない人も出て来るし、
世の中の生活品の価格は、一定以上の上昇があると困りますよね。

「これだけ物価が上がるとだいぶ混乱するよね。」ということで
今度はアメリカが「ちょっと落ち着いていこう」と言って、
一旦 景気を鎮めようという動きをするわけですね。

この流れが 利上げというものです。

例えば
” 住宅ローンが0.4%の変動金利なら買おうかな ”
と思ってる人が、金利がいきなり5%に上がったらどうでしょう?

「さすがにちょっと今は買わないかな?」
ってなりますよね。

こんな風にして、みんなが消費を控え始めるわけです。

そういう風に利上げをすれば、景気って少し落ちていくので
過熱状態だったものを、少しずつ落ち着かせる効果がある訳です。

それをアメリカは、実行していったという訳です。

そうすると、ベンチャー企業に対して
お金が集まることもなくなってきます。
すると当然 投資も抑えられます。

なので、利上げをする前はシリコンバレーバンクに
どんどんお金が集まってましたが、
景気が落ち着いてくると、資金が集まらなくなる訳ですよね。

そして集まらなくなったら、
『 今のシリコンバレーバンクが持っている資産はこれ位です。』
という資産の内訳は、国債が大量に占めているわけです。
国債に替えてるといった状態です。

銀行という所は、世界のルールで決まっていて
「今 これだけの資産があるから、これ位のお金を貸してもいいよ。」
みたいなルールがあるんです。

ですので、それをずっとやっていた訳ですね。
だけど、お金が集まらなくなったら
”さすがにこれ以上は貸せないよ”
みたいなモードに入るわけです。

ところがここで利上げっていうのが行なわれてるわけですよ。

利上げが行われると、どうなるのか。

シリコンバレーバンクが持っている資産の内の大半を占めていた
債券であるアメリカの国債の価格が下がる。
ということが起こってくるんですよ。

”自分の資産が今、これだけあるからこれだけ貸します。”

という風になっていたのに、一変して自分の資産が下がっている。
という状況になると、
” 今は、こんなに貸してる場合じゃないよね。”
” もうこれ以上は貸せないよ ”
という風になるわけですよ。

何故 アメリカが利上げをしたら債券の価格が下がるかというと、
要はシンプルなお話なんです。

例えば シリコンバレーバンクが1年前にアメリカの国債を買いました。
つまり債券に投資したわけです。
                                 
アメリカからすると、
『 お金を貸してくれたら○○%の利回りを付けるよ。』
と言って借用証書の代わりとして、債券を発行するというイメージです。

じゃあ その利回りが「3%でいいですよ。」
と言って資金を貸してくれるなら3%で手を打ちますね。

こんな風に言っていたのに、アメリカが利上げをしたから
1年前に3%でいいよって言って買ってた債券が、
世の中の利回りがどんどん上がっていくと
「他の銀行はもっとあるのに、おたくは3%なんですか?」
みたいな感じでこの債券の価値って下がっちゃうわけです。

なので、世の中にこの債券を売りに出した時に
” いやいや この債券の価値って、
あなたが買った時の価値が今はもうないんですよ。”

こんな風に、債券の価格って

利上げが行われると下がるんです。

すると、今までこれだけのお金を貸してたのに
もう今はそんなに貸してたらだめ!とか
これ以上貸せないよ!ってなっちゃうので
その結果 シリコンバレーバンクが困るわけですよ。

なので、ちょっと資産を増やさないといけないから
「増資って形で募集します。
資金をいっぱい集めたいので、ちょっと貸してください。」

みたいなことをやり始めました。

それが世の中のニュースに出回ったら、どうなったか。

シリコンバレーバンクにお金を預けている人たちからすると
”ちょっと待って!なんで増資なんか始めたんだよ。
この銀行 もしかしたらもうやばいんじゃない?”
という風に感じますよね。

『 一旦 リスクヘッジも兼ねて、
大事なお金を引き出しておこう!!』

みたいなことを、みんながやり始めたわけです。

その結果、シリコンバレーバンクは手元にそんなにお金がないので
みんなが引き出し始めたことで破綻したというわけです。

利上げをした後

皆さんが大切なお金を預けてる銀行が、
もし倒産したとしても 日本では ペイオフと言って一応

1,000万まではお金が戻ってくる

というシステムがあります。

アメリカの場合 ペイオフがもっと大きくて、大体3倍ぐらいあります。

ですが、ペイオフにも限界はあります。

今回の場合、限界を超えたとしてもアメリカが総力を挙げて
「皆さんのお金は守るから、落ち着いて!!」
という風に国が乗り出してきたので、大事には至らなかったという流れなんです。

以上のお話から

実は、銀行ってこんな風に簡単に潰れることがあるんだよ。

ということが言えるので、

これも一つの学びなんじゃないかな。

という風に思っております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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