森次 美尊

教えて!加給年金・経過的加算・遺族年金

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

今日は老後の年金計算をする上で、ちょっと深いポイント3つをご紹介いたします。
●加給年金
●経過的加算
●遺族年金


この解説をしてみたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

これまでに、手書きライフプランについて、シリーズでお話してきました。
そのライフプランを作るうえで、年金計算もしましたね。
老後の収入が分からないと何も始まりませんからね。

その時はざっくりと、
1階部分の「老齢基礎年金」と2階部分の「厚生年金」の説明をさせていただきました。
ある程度はざっくり概算でOKなんですが、実はその計算にプラスアルファで
こういうったルールがあるんだよっていうのも知っておくと、
よりベターなので、これまでの概算から一歩進んだお話をしていきたいと思います。

加給年金

これは何かというと、老齢基礎年金や厚生年金に加えて追加で受け取れる年金です。
ただし、受け取るにはいくつかの条件があります。

例えば、ご主人65歳、奥さん60歳で、ご主人が年金受給の年齢になったと仮定します。
※現行年金制度が続行の場合、年金支給は65歳から
ただ、ご主人の年金はスタートしますが、
奥さんはまだ60歳なのでまだ年金を受け取ることはできません。
2人分の年金受給が始まるのは、ご主人70歳、奥さん65歳から、ですね。

つまり、ご主人の年金スタートから5年後になります。

この5年間はご主人だけの年金にプラスアルファとして、追加で受け取れる年金があるんです。
それが『加給年金』です。

この加給年金、
年間で39万500円
月額約3万2000円

加算してくれるんです。

加給年金受給の条件とは?
●ご主人が厚生年金期間を20年以上持っていたということ
●奥さんの年収が850万円以下であること

なので、奥さんの年収が850万円以内であれば、
扶養家族であるかどうかなど関係なく、ご主人の年金に加算されるので、
とてもいい制度ですよね。

ご夫婦の年齢差があればあるほど、追加加算の期間が長いってことになるわけです。
逆に、全く年齢差がない同い年のご夫婦の場合、これが受け取れないってことです。
「いっせーのーで」で一緒に自分の年金をもらい始めるっていう感じですね。

経過的加算

これは国民年金の1階部分「老齢基礎年金」のお話です。

国民年金とは、20歳から60歳までの40年間払うことができます。
この40年間MAXで払うと、老後に毎月65,000円を「老齢基礎年金」として貰えるわけです。

例えば、20歳から60歳までずっと会社員として働いた方がいたとします。
給料天引きで、給料から年金や社会保険料が引かれますよね。
この引かれている部分で国民年金の2階部分「厚生年金」も加算されていくし、
1階部分の「基礎年金」も加算されていくんです。
なので、40年間ずっと天引きされていた人は、ずっと加算され続け、
2階部分は給料次第で変わりますが、
1階部分はみんな固定で毎月65,000円の満額まで持ち上がるっていう、
年金とはこういう制度です。


例えば、学生のときに2年間、国民年金の支払いを滞納していたとします。

2年間の滞納期間があったら、この2年間分っていうのは当然差し引かれて
満額の65,000円も貰えないわけです。
恐らく数千円差し引かれて、毎月62,000円くらいもらう、といった感じです。

ですが、60歳以降、年金がもらえる65歳までの期間も働き続けるって方、結構いますよね。
20歳から働き始めて65歳まで働いた場合、最後の5年間、
同じように収入があって、
同じように働いていたら、
同じように社会保険料を引かれますよね。

ただ、同じように社会保険料引かれるんですが、
国民年金の加算は20歳から60歳までなので、
60歳以降同じように引かれてもこのお金の入る場所がないんです。
払い損?!って話になるじゃないですか。

なので、ここで『経過的加算』という考え方が出てきます。

先ほどの学生時代2年間、年金の支払いを滞納していた例をあげると、
60歳以降も社会保険料を払い続けることで、
1階部分の「基礎年金」を満額の65,000円まで持ち上げてくれるんです。


”転職した際に、数カ月滞納しちゃった”とか
”実は数年間、滞納してた”とか
そういった方でも60歳以降65歳まで働いていたら、
その分補填されて結局、1階部分の「基礎年金」は満額の65,000円まで持ち上がる
と考えていただいていいんじゃないでしょうか。

これが『経過的加算』という考え方です。

だから、きっちりとマイナス分を計算しなくても、60歳以降も働いていたら、
「基礎年金」は満額の65,000円くらいもらえるよって、こんな感じなんですね。

今、ここで注目を浴びているのが、この年金自体を
「20歳から60歳まで」から
「20歳から65歳まで」にしようか、という話がでてるんです。


そうなると、この『経過的加算』の部分ってなくなるんじゃないの?
という話も出てきているので、これから要チェックのポイントです。

遺族年金

最後のワード『遺族年金』
これめちゃくちゃ重要なんです。

ライフプランの老後の収入計算でもやりましたが、
ご夫婦がそろって一緒に亡くなることってほぼほぼないですよね。
大体、どちらかが先に逝って、最後どちらかが1人で生きていく期間があるわけです。
そして、日本の家庭の大体の場合、女性の方が長生きします。
となると、最後の女性が1人で生きていく期間が結構長くあるということです。

この1人で生きていく期間は『遺族年金』という形にステージが変わります。

「この計算はどうするのか」ですが、これは2階部分のお話になります。

こんなモデルケースで考えてみましょう。
ご主人:基礎年金=65,000円 ・ 厚生年金=160,000円
奥さん:基礎年金=65,000円 ・ 厚生年金= 30,000円

2人とも1階「基礎年金」部分は固定の65,000円です。
2階「厚生年金」部分はお給料や何年間会社員として働いたか、などで違ってきます。
ご主人は、しっかりあって、16万円です。
奥さんは、結婚するまでの最初のころは「厚生年金」で掛けてたけども、
結婚後はずっと専業主婦になって、あまりない状態。3万円だとしましょう。

これ、よくあるパターンですよね。

そして、ご主人が先にお亡くなりになったとします。
お亡くなりになったら、ご主人の2階「厚生年金」部分・16万円の4分の3を計算します。
16万円 × 4分の3 =12万円

この12万円を『遺族年金』として、もらえるようになります。
ただ、もともとご自身の厚生年金は3万円あるので、
この差額の9万円が『遺族年金』という形になります。


例えば、バリバリ働く奥さんだったとして、奥さんの「厚生年金」が10万円あったとします。
ご主人は先ほどと同じで、遺族年金として12万円もらえるとしたら、
すでに自分の年金が10万円あるので、加算されるのは2万円だけです。
つまり、差額の2万円だけが『遺族年金』という形になります。

例えば、さらに働いている奥さんで、奥さんの「厚生年金」が15万円あったとします。
ご主人は先ほどまでと同じで、遺族年金としては12万円で、
奥さん自身の分より少なくなっていまう場合、『遺族年金』はないんです。

年金の2階「厚生年金」部分は、ご主人かご自身か、1人分しか選択肢がなんです。

老後の収入=年金について、ある程度、自分がどれだけもらえるのかは知っておいてもらいたいです。
すでにご紹介した手書きライフプランでも年金計算などをやりましたが、
今日はちょっと深いお話でした。

年の差夫婦の場合や、
1人で生きていく期間がどうなのか、など、
この辺りをしっかり計算してみたらいいんじゃないかな?と思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。


こちらの記事でご案内してます。




Instagram
YouTube
子育て世代のお金の教室
森次美尊のYouTube「子育て世代のお金の教室」では、金融リテラシー向上のために少しでもお役に立てればと思い、実際に現場(個別相談やセミナー)でお客様に伝えている思いやトークを公開していきます。
 お金の話ですが、全く素人の方にでも気軽に聞いていただけるよう、簡単な言葉を使い、エンタメ感のある内容にしております(細かな数字等はなるべく省いてます)
 プロの方にもこの動画のトークや伝え方を参考に目の前のお客様を守っていくことに役立てていただけたら幸いです。 僕自身まだまだ発展途上中の未熟者ですので、沢山インプットしながら成長していきたいと思いますのでその過程も含めて楽しんで頂けたら嬉しいです。