森次 美尊

ジュニアNISAは学資保険の代わりになる?

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

今日は『ジュニアNISAは学資保険の代わりになるのか?』
というテーマでお話していきたいと思います。

少し前までは、子供の学費を貯める!と言えば【学資保険】でした。
子供が「おぎゃあ」と生まれたら、とりあえず学資保険、みたいな感じです。

ところが、最近は低金利で特別お金が増えるわけでもないし、
どうしようかな?というところで、【ジュニアNISA】が注目され始めました。

「学資保険の代わりにジュニアNISAやったらいいんじゃないの?」
みたいなノリの人が今、すごく増えています。
僕のところにも、たくさん相談が寄せられています。

ジュニアNISA自体の制度のことはよく分かってないんだけれど、
それこそ「おぎゃあ」と生まれたら、とりあえず【学資保険】と同じ現象です。

名前も【ジュニアNISA】っていうくらいだし、流行ってるし、
とりあえず子供が生まれたら【ジュニアNISA】という感じです。

期間限定という点も大きいかもしれません。
2022年、2023年の後2年しか入れないですから、
とりあえずやっとけ!みたいな人も多いわけです。

さて、こんな現状ですが、本当にジュニアNISAは学資保険の代わりになるのか?
また学費を貯めるにはどのようにすればいいのか?などを解説していきたいと思います。

学資保険

そもそも学資保険ってどういう制度なのか?
まず、大体が親が「契約者」になります。
そして、子供が「被保険者」になります。

なので、ちょっと入院などの場合に、一部特約で子供の入院費が出たりとかいうこともあるわけですが、基本的には「お金を貯めていく」という観点で今日はお話をしていきます。

お金を18歳まで貯めていきます。
18歳時点で貯めていたお金にちょっとだけプラスされて、お金を受け取れるよ、
という感じなのが学資保険です。

この受け取りは「契約者」である親が行います。
ここがポイントです!


「契約者」の親が自分でお金をかけていって、
その受け取りも親がして、それを学費に充ててあげるんです。

だから変な話、学費に充てなくてもいいんです。
大学へ行かない子供もいるじゃないですか。
そうしたら、お金は貯めてたので出てくるんですが、
それを親がプールしといて結婚の時に渡してあげるよ、とか。
これができるわけです。

よくあるのが、「払い込み免除」っていうのが付いていて、
もしお父さんがお亡くなりになってしまったら、支払いが途中でもストップしてくれる。
ストップするけれども、払ったことにしてくれるということは、
結果最終的に貰えるこの金額の保証が付いているという感じです。

変な話、生きてても、死んでしまっても、どちらにしても
この保証は確保してあげるよっていうことで、
これがやっぱり【保険】という、売りの部分です。


ただ、この払い込み免除っていうのがちょっと厄介なんです。

例えば、契約者が親である「お父さん」だった場合。
お父さんがお亡くなりになった際に、お母さんが契約者に入らないといけません。
契約者不在の保険はあり得ませんし、子供は契約者に入れないのでお母さんが入ります。
そうすると、お母さんは1円も保険料払ってないわけですよね。
1円も払ってない人が保険料を受け取る、ということは『所得』になってしまいます。
ということは、もしかしたら税金がかかってくる可能性もあるよねっていうのが、
ちょっと厄介な保険ではあるかなと思います。
 

終身保険

なので、今主流になってきているのは
「終身保険という形で学費をカバーしましょう」というやり方です。

学資保険代わりに終身保険に入っている方はめちゃくちゃ多いと思います。

この人たちはどういう仕組みかと言うと、これは契約者も被保険者も親なんです。
終身保険なので、一生涯切れない死亡保障が付いています。

例えば500万円とかで一生涯きれない保証を買い取りに行くんです。
支払い期間を10年間っていう感じで短期払いにしちゃいます。
10年間一生懸命払っていくわけです。
そして、大体払い込みが終わった時に、
今まで払った分っていうのが元本ぐらいに戻ってきてくれるというのが大体の保険なので、
早く払い込みを終わらせておくと早めに元本戻ってきてくれるわけです。

そして、ここからちょっとずつ、ずーっと運用していきます。
すでに全部買い取ってあるので、ずっと置いておけば増えていくんです。
さらに、終身保険だから切れないんです。
そして、自分の好きなところで解約するんです。

これは何がいいかっていうと、好きなところで解約できるので、
例えば子供が18歳で大学に行かなかった場合、そのまま置いていただいて、
結婚式をする決まった時期に渡してあげてもいいですよね。
もし、結婚費用も全部貯金で賄えたら、自分たちの老後資金として使ってもいいでしょう。
ずっとその間、保障も残るんです。

なので、どこでどれだけお金がかかるか分からないんだったら、
学資保険みたいに固定するんじゃなくて、
フレキシブルに動かせられる方がいいよねってことで、
こっちが主流になってきました。


もう1つのメリットは、
これはお父さんが契約者であり、被保険者でもあるので、
お父さんがお亡くなりになったら、この死亡保障という形で
今まで貯めている額より大体大きくなった、
まとまった金額が死亡保障という形でご遺族にわたります。

なので、
学資保険だと「所得」扱いでしたが、
終身保険だと「相続」になるんです。

ということは、同じくお母さんが受け取るとなると、
「配偶者」なので、1億6千万円まで非課税という特例もありますから、
基本的には税金がかからずに渡せる可能性が高いということです。
その辺りもやっぱり、この終身保険が優れている点ですね。

ただ、この終身保険も、日本がどんどん低金利になっていって
「全然増えないわ」「むしろ、なんかこれやる意味ある?」
みたいな感じになってきちゃったんです。

その後、主流になったのが「ドル建ての終身保険」
ドルで運用しますよってことです。
当然、これは為替のリスクがあるんですが、パフォーマンスとしてはしっかりしていて、
最低保障でドルベースではこれだけ増えていくよ、みたいなものがあるわけです。

ですが、このドル建ての終身保険も今、最低保障の利率がまた改訂で下がってしまって、
為替のリスクとる割には全然パフォーマンス良くないな、みたいな感じになってきたわけです。
 

ジュニアNISA

そして、いよいよ出てきたのが、国からの肝いり制度「ジュニアNISA」

ジュニアNISAは最初、
「引き出せないよ(実際は、引き出せるけど非課税枠がなくなる)」
っていう勘違いから全然流行らなかったんです。
全然流行らなかったから、この制度自体もう終わりますってなったんですね。
そして、制度自体が終わるから、引き出したら非課税じゃなくなるよっていう
良くなかった部分が撤廃されたんです。
なので、途中で引き出しても、ちゃんと非課税で出せるように改訂されて、
更に2023年で終わりってなったんです。
「あと、これだけの期間しかないんだったら、それならやりますよ」
みたいな感じで、今ジュニアNISAが爆発的に人気が出ている、という状況です。

じゃあ、ジュニアNISAはどうなのか?
簡単に言うと、ジュニアNISAはただの口座の名前だと思ってください。
なので、この口座に何を入れてくるかなんですが、基本的には投資信託がお勧めです。
投資信託を買い付けて、この投資信託をこのジュニアNISAの口座に入れておく。
間でロールオーバーとか色々するんですけども、
置いておくと基本的には18歳まで非課税で引き出せるってことです。
基本的には、解約しないと税金なんてかかりません。
18歳までに解約すると税金がかからないというのが、ジュニアNISAの特徴です。

ジュニアNISAの場合は、運用管理者ということで親が入りますので、
親が自分で解約とかを決められるんです。
でも、口座はお子様の口座です。こんな感じです。

ただ、ジュニアNISAは子供が18歳を過ぎると子供が大人という扱いになりますので、
親が外れてしまいます。
運用管理者が親から子供本人に代わるんです

ということは、さっきの終身保険みたいに、
もし「18歳でお金を使いたくないな、結婚した時にあげよう」と思ったとしても、
すでに子供のものなので、親はそんなこと決められないとなっちゃうんです。
なので、確実に資産を子供に渡して、この分はもう2度と親の下には帰って来ないと思ってください。

ここが終身保険や学資保険なんかと違う点です。
親が受け取って、子供のために好きなように渡してあげるということができません。
ジュニアNISAだと完全に子供のものになるので、
親がどうやこうや「やっぱりもうちょっと運用しとけよ」とか言えなくなるってことなんです。
ここが大きく違う点です。

いや、それだったらなぁ・・・
やっぱり親が好きなタイミングで使い道含めて決めてあげられる形がいいけど、
全然増えないから、ちゃんと運用したいよなって方にお勧めなのが、

NISA

一般NISAでいくと、これは親が入るんです。
だから、終身保険とかと一緒ですね。

このNISAも、今2022年、2023年にやると5年間非課税なんですが、
ロールオーバーが1回出来て、10年間非課税が取れるんです。

と言うことは、例えば子供が8歳だったら18歳までって10年じゃないですか。
こっちの一般NISAの非課税も10年ですから、一緒ですよね。
子供が12歳だったら、一般NISAなら10年間枠が取れるし、
ジュニアNISAだと6年間の枠しか取れないんで、
一般NISAの方が非課税枠が多くなりますから、ここもポイントですよね。

そして、なんせ親が運用管理者であり、口座も親のものなので、
自分のタイミングで好きなように引き出せるわけです。
もし10年経ったあと、やっぱり使いたくないな、置いときたいなと思ったら、
NISAからは外れて、課税される口座に移るんですが、でもちゃんと運用は続いていって、
これを好きなときに好きなだけ引き出していくっていうのは、親が自分の権限でできますから、
この辺りは終身保険にかなり近いですよね。

ポイント

学資保険は18歳で満期を迎えます。お金が出てきますね。
ジュニアNISAも親の権限でお金を動かそうと思うと18歳までに解約しないといけません。

違う点はというと、
学資保険は基本的に固定金利なんです。
なので、確実にこの18歳というタイミングでお金が入ってきます。

ジュニアNISAは投資ですよね。
例えば、解約するタイミングでリーマンショックが来たらどうなりますか
解約せずにそのまま置いておいたら、戻るかもしれないし、今は使いたくないって心理が働きますよね。
でも、解約せずにそのまま置いておくとどうなるか?
子供のものになってしまうんです。

ですが、一般NISAであれば非課税口座からは外れるけど、
親のものっていうことに変わりはないので、別にリーマンショックが来たって
置いておいたらいいんです。

つまり、投資において、期間を決められるというのは、めちゃくちゃリスクなんです。

じゃあ、ジュニアNISAが向いている人はどんな人か?
学費で使わなきゃいけない、とかではなくて、子供に資産を渡してあげたい。という方たちです。

ジュニアNISAとは、「教養」そのものを子供に渡せると思いますので、
そういった「教養」、そして「資産」をちゃんと子供に引き継いでいく。
こういった想いを伝えていく制度としてはめちゃくちゃいいんだけど、
学資保険の代わりになるかっていうと、かなり毛色は違っていて、使い勝手は悪いよ、
というのが僕の結論です。

では、どうすればいいのか?

一般NISAを作って、
非課税枠10年ロールオーバーして、
その後、特定口座を開くというやり方


こちらは一時金が基本的にはベースになってきます。
2022年、2023年しか入れないわけですからね。
なので、通常の特定口座を作っていただいて、非課税ではないんですが、
そこでしっかり積み立てしていき、
好きなタイミングで好きなように引き出していく、
というやり方もあります。

このやり方は終身保険でやっていたものに、運用をプラスした、
フレキシブルなタイプで、自由に自分のタイミングで好きなだけ解約もできるし、
運用もしていけます。
これが1番近いんじゃないかなと思います。

これによく似たパターンで積み立てNISAというものもあります。
ただ積み立てNISAは6000以上ある投資信託の中から、
200くらいにかなり抜粋されちゃうので、
せっかくならいい商品選びましょうよっていう考えの僕はあまりお勧めはしておりません。
ただ、積み立てNISAの商品でいいんだ!と思う方であれば、
基本的にやり方は一緒で、更に非課税の枠は20年とれますから、
積み立てNISAもいいんじゃないかな、とも思います。

まとめ

ジュニアNISAは学資保険の代わりにはなりません。
なぜなら、親が運用管理者から外れてしまうからです。
そして、親が運用管理者から外れる前に引き出すのであれば、
めちゃくちゃリスクを背負わないといけないよ、ということになります。

なので、全く別物です。

そして今までやっていた学資保険に近いやり方としては
特定口座、または積み立てNISAの口座で、
親名義でしっかりと運用していく。
そして、

それを親自身のタイミングで引き出して学費にあててあげる。

これが1番近いんじゃないかな、と思っております。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



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