森次 美尊

投資で最低限知っておくべき チャートの落とし穴

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

今日はチャートのマジックを語ってみようと思います。

世界株とか世界債権が動いているチャート、
皆さんも見たことあるんじゃないでしょうか?

一般の素人の方だと、こういったチャートを見るだけで
「ちょっと怖いな」ってなったりしますよね。

なんとなく、こういうチャートって
下がった時にたくさん買って、上がった時に売ればいい、という、
いわゆる「投機」、つまりャンブル性の高いイメージがあるので、皆さん避けたがります。

ですが、実はこういったチャートは通常の投資信託を買う時でも
買い付けするときに売り手から見せられたりもするんです。

なので、最低限、教養として知っておかないと、結構厄介なことになるので、
今日はどこに注意したらいいのかを踏まえて、解説していきたいと思います。

 



上のチャートをご覧ください。
まずこれはどういう表かというと、
2000年、2005年、2010年、2015年、2020年まで、
起点を100として、この起点に揃えて
世界株・世界債権がスタートしたら、どういう動きをしたのか。
ということを表しているグラフになります。

世界株はなんやかんやありつつも、グーっと上がって、
一時的にリーマンショックなどで下がったりもしますが、
それも乗り越えさらに上がり続けてますね。

2020年代になると、100だったものが300ぐらいまで上がって3倍になってますね。

では、世界債権は、というと、
債権は最初、株以上の上がり幅で、常に株よりも上をいっています。
早々に200に到達して、そこからも安定して伸びていっている。
大体こんな感じです。

これ、なんとなく、イメージと違うって思いませんか?
皆さんのイメージって、大体の場合、
債券というものはリスクという意味では安定資産で下がりにくいんだけど、
大きくは上がらないよ
ってイメージをお持ちの方が多い気がします。

実際にそうなんです。

長ーい長期間で見たときの実績としても、
株に比べたら、そんなに上がらないんですよね。
でも下がりにくよっていうことなんです。

一方で世界株というのは、上がり下がりするけども、
長期的に見たら、債権よりも高い、上を上を目指していくよ、というイメージです。

いわゆる、ハイリスク・ハイリターン。
これがです。


ですが、上のチャートで見てみると、どうでしょう?
ちょっとイメージと違う、と思いませんか?

常に株以上のパフォーマンスを債権が出しています。
これを見ると、「めっちゃ債権っていいじゃん!」ってなりますよね。


では、次はこちらのチャートをご覧ください。


起点を2000年から2003年に少しだけずらしました。
2003年を世界株、世界債権共に100に揃えて、
そこからどれだけ増えたかってことが分かるチャートになります。

世界債権を見てみると、100からスタートして、ずーっと安定して少しずつ伸びてますね。
いわゆる”債権”という動きじゃないでしょうか。

世界株はどうでしょうか?
すぐに2倍程度まで上がって、1度リーマンショックの時に下がってしまっていますが、
元の位置(起点の100)に戻ったくらいで、債券ともほぼ変わらない位置で止まっています。
そこからまた一気に債権に差をつけていってますね。

上の2つのチャートは同じチャートです。
同じチャートですが、起点をどこにするかで見え方が全然違ってくるんです。

債権を売りたいのであれば、最初のチャートを見せますよね。
世界株を売りたいのであれば、2個目のチャートを見せた方がいいかもしれません。

こんな感じで、同じものでも見せ方でこれだけ変わるんです。

と言うのも、2000年というのは『ITバブル』というのが真っ盛りで株価がすごく高い時期でした。
そして、2008年に100年に1度のマイナスと言われる『リーマンショック』が来て、
まだまだそこから回復できていないのが2010年なんです。

なので、この2000年から2010年というのは、
すごく良い時で始まって、
すごく良くない時で終わるっていう、こういう時期なんです。

だから、この良い時を起点にしちゃうと、
当然高い時を起点にしているわけなので最初のチャートのような見え方になってしまうんです。
 

注意:景気が良い年、悪い年で起点が違うとチャートが全然違って見える!


全然違って見えるんだ、と、こういったことを知っておかないと
売り手の都合でどっち見せるかって話になりますので、覚えておいてください。


ちなみにこれらのチャートは「いくら増えたか」が分かるチャートです。
このチャートの最後の方、ものすごく上がってますよね。
実はこういった”長期”で見たときのチャートというのは、
最後ものすごい成長幅になってくるんです。

真っすぐな右肩上がりではなく、最後の方だけ急激な曲線を描いて上がっていくイメージです。

これはなぜかと言うと、
例えば成長率が10%だったとします。

10%増えるので、
評価額1万円の株が10%増えたら1000円増えたったことですよね。
評価額10万円の株が10%増えたら1万円増えたってことですよね。
どんどんどんどん、評価額って上がっていくわけです。

つまり、初期の方の評価額と最後の方の評価額、
もともとの価格が違うわけなので、同じ10%増えたと言っても、
「いくら増えたか」で見ちゃうと、ものすごく上がってくるんですね。
これはもうしょうがなくって、そうなっちゃうものなんです。

ただ、実はこんなに大きく成長したのではなく、
同じ10%くらい増えたんだよ、ということなんです。

なので、「いくら増えたか」で見ると、
この長期のチャートはちょっとおかしなことになってくるんです。

これも覚えておいてくださいね。


一方で、対数グラフというものがあります。

これは『成長率』を反映させていくものになります。
つまり、何%増えたのか、を反映させます。


こちらのグラフの縦軸、いくら増えたのかを表していますが、
先ほどまでのグラフと違って数値の幅が均等ではありません。
当然、そうなります。
100から200,200から300で、だんだん幅が小さくなっています。

これは成長率10%を反映させたらどうなるのか、
成長率5%を反映させたらどうなるのか、
ー2%だったらどうなるのか、といった感じで
「成長率」を反映させていくとこんな感じになるんです。

長期的に見たときに、世界株はまーっすぐ右肩上がりで経済成長しているよね、
といったことが分かるグラフになっています。

最初にお見せした「通常のチャート」だと、
『複利の原理』みたいなノリで、「増えたものに対し増える」という感じなので、
長期で見たら最後の方がものすごい増え幅になっていく、ということなんです。

通常のチャートと対数グラフとでも、
これだけ見え方が違ってくるんです。

こういったことを知らなかったら、チャートを見たときに
私たちの受ける印象って全然違ってきますよね。

なので、皆さんも是非、投資信託とかを購入するときに過去のチャートなどを見るのであれば、
どのチャートが使われているのか、チャートの見方をちょっと変えるとどうなるのか、など、
少し深掘りしていくと、より本当の成長率が見えてくるんじゃないかな、と思います。

是非、チャートの見方を学んで、正しい成長率を把握し、
失敗しない投資をしましょうね!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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