こんにちは。
ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。
岸田政権の経済政策が出ました。
『貯蓄から投資へ』
過去にも同じようなことを言っていた方もいるんですが、
改めてこういう方向へ転換していくよ!と言ってきたわけです。
これ自体はめちゃくちゃいいことだと思います。
やはり政府が『貯蓄から投資へ』と言うと、
最初は「どういうこと??」という反応だったのが、
次第にiDeCoとかつみたてNISAとかいろんなことが始まり、
その結果、僕の現場感のお話をすると、
お客様から「とにかくiDeCoやりたいです」「NISAやりたいです」みたいな
本当に軽いノリで、流行りものとして投資信託を始めたいという人が増えました。
昔は違いましたよね。
それこそ投資信託と聞けば、
「えー怖い!」「やばい話してる奴がいる!」みたいな、
これくらいのイメージだったのが、今、政府発信で投資をすすめていることもあり、
180度イメージが変わりつつあります。
ということで、やはり政府がこうやって旗を振るというのは、
めちゃちゃ重要だな、と思うんです。
一方で、一気にこういう旗振りをすると、土台が出来上がっていないのに…
というちょっとした懸念材料もあります。
なので今日は、
これから『貯蓄から投資へ』に乗っかろうとしている方。
そういう方に是非読んでいただきたいと思います。
ちょっと立ち止まって、冷静にいろんなことを考えて頂けたらな、と思います。
日本の金融資産の比率
もともと、なぜ『貯蓄から投資へ』と言うようになったのか?
それは金融資産の比率が、日本は海外に比べて
圧倒的に現金預金が多いことが一因となっています。
日本の現金預金は約55%、投資性の商品は15%、その他(保険など)が30%程度。
アメリカは日本と全く逆で、
現金預金は約15%しか持ってないのに、投資性商品が55%。
なのでこの20年間で、金融資産を日本よりも大幅に増やしているわけです。
あとユーロ圏を見ていただくと、
大体3割ずつくらいバランス良く持っています。
やはり日本に比べたら、2倍くらい投資信託を持っています。
ということで、日本は圧倒的に投資性商品が少ない。
なので、この現金預金をなんとか投資の方へ!と、岸田政権も言ってるわけです。
ですが、これはこれとして、
ちょっとおかしいな、と思うところがありますので、お伝えします。
現金預金は高齢者が持っている
まずは、この現金預金。
誰が持ってるのか?
これ、圧倒的に高齢者の方がたくさん持ってるんです。
さあ、考えてみてください。
今まで投資とは良くないものなんだ!というイメージがあり、
普通に現金で置いていても金利7%で増えた、という時代を経験している高齢者の方々。
こういうった高齢者の方の中で投資を経験している人って本当に少数で、
ほとんどの方は投資なんて経験していません。
では、こういった投資経験のない高齢者が、老後でどんどん目減りしていく
大切な自分を資産を投資に回せるでしょうか??
いくら岸田政権が旗を振ったところで、
これではちょっとズレてる感は否めないかな、と思うわけです。
土台整備が不十分
次に、今はまだ土台があまりにも整っていない状態なんです。
最近こういうニュースがありました。
厚切りジェイソンさんが「お金の増やし方」という本を出して、
米国株いいよ、と推奨していたら、爆発的に本が売れたんです。
30万部も売れたそうです。
あのジャンルでそこまで売れるのはすごいことなんです。
ですが、本が爆発的に売れた後、
去年から今年になって、大体アメリカの株が20%くらい下がってるんです。
20%って結構ですよね。
なので、よく分からず、この本キッカケで流行りに乗っかって
軽いノリで買った人たちが今、大炎上しています。
そして、厚切りジェイソンさんのSNS、twitterは停止したそうです。
でもこれ、投資って自己責任ですから、
厚切りジェイソンさんにクレームを入れるのっておかしいですよね。
つまりこれが、いわゆる『土台が整っていない』状態なんです。
アメリカ株が約20%下がったところで、
別に口数は減ってません。
価格が下がってるだけなので、置いておけばいいんです。
長期的に見たら、ちゃんと成長していくわけでしょ?
【投資】をしてくださいってことがキチンと理解されていたら、
何も問題なかったんです。
【投機】の考え方で、短期間で儲けようとか、
よく分からないのに「確実に上がるって聞いたからやりました」みたいな
そんな捉え方だったからダメだったわけです。
つまり、あまりにも土台が整っていないと、
たくさんの人が投資を始めたところで、軽いノリで始めた分、軽いノリで辞めてしまう。
継続されないんです。
例えば、つみたてNISA。
2020年につみたてNISAを始めた素人の方が全体の80.5%、
2021年はさらに多くの人が参入していって、全体の87.2%が素人の方でした。
すると結果どうなるかと言うと、
つみたてNISA自体、2018年から始まったばかりの新しい投資信託。
2020年時点だったら、まだ3年くらいしか続けてないことになるんですが、
2020年に解約した人の総額が519億円。
全体の保有総額が7600億円あるので、1割以下ということですが、
前年158億円ほどの解約だったのが、一気に3倍くらいに解約が増えてるんです。
保有期間がたったの3年以下!
そして、さらに素人の人がどんどん参入してきている状況です。
投資をする上での重要ポイント①:ゴール設定
すでに何回もお伝えしているように、世界株って20年間保有していたら
過去の実績的には、ほぼほぼ損なんかしないんです。
長期で保有するということが最も価値があるにも関わらず、
日本人の投資信託の平均保有期間って大体3年間くらいなんです。
これにはいろんなポジショントークや
誰が儲かるとか、回転売買するとかいろんな理由はあるんですが、
なぜこんなにも早く解約してしまうのか??と言うと、
結局は担当がいなくて、ゴール設定もしなかったから、なんです。
やはりライフプランを作って、何の目的でするのか、自分はこの資産を
どこに持っていきたいのか、ということを
明確に決めてゴール設定をすることが重要なんです。
政府が旗を振ったことで、素人の人がなんとなくよく分からないまま
お得だからーと流行りに乗っかって、
とりあえずやりました!という人は、
とりあえずやめる!になるんです。
そして、短期売買になっちゃうと、結局損をする可能性がかなり出てくるので、
始めるならば一旦落ち着いて、しっかり冷静になって、
いくらぐらい、自分は何の目的でやるのかを考えてからスタートしましょう。
投資をする上での重要ポイント②:担当アドバイザー
ゴール設定と同時にアドバイザーがもう一つの重要な要素になってきます。
米国アドバイザーの価値を数値化した表というものがあって、
アドバイザーがいると、大体年率4%の利回り分くらいの価値があるそうです。
途中でやめちゃう人がたくさんいる中で、
アドバイザーのおかげでこれだけ続けることができている人がいるのであれば、
そのくらいの価値はあるのでしょう。
というのも、我々の脳は、そもそも投資に向いてないようにできているんです。
本来の理論株価でいったら、
株価が高い時は割高なので少し買うのを控えるべきなのに、
代表制バイアスってのが働くことで、みんなどんどん割高な株を買ってしまって、
逆に株価が下がってくると、本来はお得なので買い増していい時期なのに、
損失回避行動ってのが起きて、みんなめちゃくちゃ売っちゃうわけです。
安い時にたくさん買えばいいのに、安い時はみんな売るし、
高い時は買わない方がいいのに、高い時にたくさん買っちゃうわけですから、
いかに人間の脳が投資に向いていないか、というのが分かりますよね。
こんな中、我々は長期で走っていかないといけない。
しかも外野からのいろんな情報が入ってきますよね。
今、特に怖いのは、やはりSNS。
YouTubeとかでいろんな流行りでいろんなことを言う人がいます。
基本、SNSでは
「担当はいなくていい」
「とにかく手数料の安いところで、自分で始めたらどうか」
と勧めてきます。
これは、しょうがないことなんですが、いわゆるポジショントークなんです。
担当がつかなければ自分のYouTube見てもらえますからね。
もちろん、これが全てではないんですが、こういったこともある、というのは
分かっておいた方がいいと思います。
結論
いろんな情報がある中でも、物事を常にフラットに見ていく。しかも長期で。
となるとなかなか難しいですよね。
どの情報を信じていいかわからなくなる。
なので、入り口でしっかりとライフプランを立てて、目的(ゴール設定)を決めて
一緒に伴走してくれる
一緒に同じ船に乗ってくれる
そんなアドバイザーがいたら、しっかり捕まえておいた方がいいんじゃないかな、と思います。
そして、最後に岸田政権に僕は言いたいことがあります!
教育です。
とにかくこれに尽きます。
投資は1歳でも早く始めることがメリットなので、
今短期的にどんどん投資の方へ目を向けさせること。
これはめちゃくちゃ重要です。
ただ、長い目で見た時にやっぱり教育です。
金融教育が高校で始まりましたが、家庭科の授業じゃ心もとないですよね。
やっぱりテストにも出るように、社会の授業なんかで入れていただけたら
いいかな、と思います。
できれば、小学校から金融教育がスタートしたら嬉しいな、と思っております。
こちらの記事でご案内してます。