森次 美尊

どうなるNISA 資産所得倍増プラン

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

今日は岸田政権が言っている『資産所得倍増プラン』についてお話します。

実はこれ、岸田首相が総理大臣になる前は真逆のことを言っていました。
「金融所得課税を上げる」
つまり投資信託などを解約する際に利益が出ていたら20%の税金がかかりますが、
この20%では安すぎるから、税率をもう少し引き上げようって言ってたんです。

でも今は、
「1億総株主化」って言って、真逆のことを言い出しています。

さあ、これはなぜなのか?
そして、どうなっていくのか?というお話を解説していきます。

 

所得倍増プラン

ポイント①:少子高齢化

2005年を皮切りに、どんどんどんどん日本は人口が減っていって、
直近だと年間で約64万人少なくなってるんです。
64万人って、東京都の区が1個吹っ飛ぶくらいのイメージですから、
相当なインパクトがありますね。

当然、子供が少なくなってるし、働き手も少なくなってるんです。
でも老人の人口はそんなに減ってないですね。
つまり、バランスがちょっと悪くなってるような状態です。
そうなると、社会保障がもうもたないんじゃないかと言われているわけですよね。

社会保障と言えば、我々の年金もそうですが、当然、今の老人に渡してます。
この財源になっているものは何かと言うと、今の我々の税金から足りない部分を
払っていたり、後は国債で賄っています。
国債は国の借金ですから、これは未来への借金って言い方をしたら、
子供たちが将来、ツケを負わされる可能性もあるってことです。
この辺りを財源にしてるんですが、やっぱりこれはどうにかしないといけない!ということで、
自分たちでお金を貯めていってよって、お願いしようってなったんです。
 

ポイント②:物価上昇

今、銀行にお金を預けていても金利って0.001%じゃないですか。
でも、物価って上がっていってるんです。

缶ジュースの値段を比較してみると、
今、缶ジュース1本130円ですが、
昔、缶ジュース1本100円のとき、ありましたよね。

20年ぐらいで1.3倍くらい、モノの値段って上がってるんです。

仮に、20年前に銀行に100万円預けていて、
今それが130万円になっているでしょうか?

なってないですよね?

つまり、銀行に預けているお金って、価値的にはどんどん減っていってるって
言えるんじゃないでしょうか?
正確には、買えるものがどんどん少なくなってるんです。

物価の上昇に、金利が追い付いてないという状態が続いています。
今、さらに激しくて、物価が2%ぐらい上がりだしてるんです。

そうなると、今手元に100万円あったとして、銀行に預けるとします。
今なら100万円のモノと交換できるのに、
30年後になったら、100万円の半分くらいのモノとしか交換できなくなっちゃうんです。

少子高齢化で将来の年金がヤバイ!これだけじゃ生活できないかもしれない!
でも、それに対して自分たちで頑張ってコツコツ銀行にお金を貯めていっても、
これはこれで大変だよってことで、国が目を付けたのが、、、
 

ポイント③:家計の保有金融資産

日本は圧倒的に現預金が多いんです。
54%もあります。
海外を見ると、アメリカは13%、ユーロ圏は34%なんです。

つまり、この圧倒的に多い現預金を、物価上昇のこともあるし、
将来に持っていかないといけないんだから、運用に回そうよって
国は言いたいわけです。

とは言え、いきなり運用に回そうって言われても無理!って話なので、
やっぱり国が税制優遇というようなお得な制度を作って、
なるべくみんなが参入しやすいような形を整えようとしてるってことなんですね。
 

NISA

今、その1番最有力に上がっているのが『NISA』なんですよね。

『NISA』という制度は元々あるんです。
『NISA』という非課税口座を作って、投資信託を買ってきます。

通常、投資信託を解約するってなった時に、利益が出ていた場合、
その利益に対して約20%ぐらいの源泉分離課税という税金が取られるんですが、
『NISA』口座の中に置いておくと、そこから解約したものに対しては税金がかからないようになります。
約20%の税金がかからないって、めちゃくちゃ大きいですよね。

ものすごく優遇された制度なんですが、条件が2つあります。

上限額

例えば、『つみたてNISA』の場合、上限額が40万円。
年間40万円までは、このNISA口座で投資信託とか管理しておいてもいいよってなります。
 

期間

同じく『つみたてNISA』の場合、20年間経ったら、
普通の課税口座に戻っちゃうよってなります。


この上限額と期間が限定されているからこそ、
『非課税口座』ということで認めてあげる。こういう制度になります。

ここで、、、
まだ噂レベルで確実ではないんですが、、、

上限額がもうちょっと持ち上げるんじゃないか?
期間が撤廃され、もうずっと大丈夫ってなるんじゃないか?
と言われてるんです。


元々は、イギリスの『ISA』という制度を真似して作った制度なんですが、
イギリスではすでにそうなってるわけです。
なのでこれ、十分に可能性があるんじゃないかなって言う風に思います。

どちらにしても、今はまだ決まっていなくて、
この所得の倍増、『資産所得の倍増プラン』というのを
今年の年末までに形にします!作ります!って言っているので、
これはかなり要チェックじゃないかなって言う風に思います。

 

まとめ

めちゃくちゃいい制度だと思います。
こういうのはどんどんやっていただいて、
投資や資産運用の高かったハードルが低くなっていくのはめちゃくちゃいいことだって思うんです。

だからこそ、懸念されるポイントを最後にお伝えさせてください。

懸念ポイント

2018年から始まった『つみたてNISA』ですが、
2020年で辞めてしまった人たちの総額が519億円なんです。
つまり、最大でも3年しか保有してなかったってことじゃないですか。

何度もお伝えしている通り、資産運用は時間を使わないとめちゃくちゃリスクがあります。
長期でやっていく方がいいわけなんですが、なぜたったの3年で辞めてしまうのか?

「気楽に」「なんとなく」「流行ってるから」

こういう感じで始めた人たちっていうのは、
「気楽に」辞めちゃうし、ちょっと何かあっただけで不安になっちゃいます。

確かにこの10年間くらいはめちゃくちゃ良かったんです。
株価ってずーっと上がってきてるんです。が!そんなのずっと続くわけがないんです。
当然、乱高下します。
最近、久しぶりにガーンっと下がってますね。
こんなのは織り込み済み!想定内なんですが、これを想定していなかった人たちは焦るわけです。
 
こういう人たちがたくさん出るよ、
ということを計算した上で制度を整えてほしいな、と思います。

そのポイントは2つ。

①金融リテラシー向上のための教育活動

まず1つ目は、やっぱり国民全体の金融リテラシーを上げていくような教育活動、
普及活動というのをしっかりやっていかないといけないんじゃないかな、と思っています。

高校の授業とかでは、投資教育みたいなものが始まりだしてますけども、
今の現役世代の人たちって、何もされてないわけですよね。
じゃあ、この人たちはどうしますか?

先に『NISA』のような制度がどんどん整っていって、どこかで下が底上げされるって、
こういう考えもあるかもしれないですけど、でも今の現役世代の人たちにとったら、
死活問題ですよね。
じゃあ、こういった人たちをフォローできる仕組みは、もうちょっと整えてほしいなって思います。
 

②金融アドバイザーの価値

投資というのは、未来が分からないので、横に寄り添ってくれるアドバイザーがいるかどうかが
ちゃんと長く続けていけるかどうかに、めちゃくちゃ関連してくるんです。

なので、ちゃんとアドバイザーがいるってことが、いかに大切なのか。
これまでにもお伝えしてきました。

しっかりお金を稼げる業界には才能がたくさん集まります。
そして、しっかりお金を稼げるからこそ、お客様をしっかりお守りできるんです。
ですが!
日本人の根底に、なんとなく「稼ぐ=良くないこと」みたいなものがあるじゃないですか。

今回の『NISA』にしても、手数料のことがたくさん叩かれています。
「手数料を取り過ぎるのは良くない!」みたいな。。。

もともとイギリスの「ISA」は、その手数料制度を全部撤廃したということもあるので、
そういうことを言う人がいるんですが、
それじゃあアドバイザーはいらない。もう育たないよねって考えないといけないんですよね。
アドバイザーがいないので、もう自分でやるしかないよねってなるんです。

もちろん、相談料をいただくとか、別の仕組みがあるかもしれませんが、
それが日本に根付くのはかなり先になるんじゃないかな?と考えると、
じゃあ、それまでの間、この『NISA』という制度だけできちゃって、どうするんですか?

なので、
①金融リテラシー向上のための教育活動
②金融アドバイザーの価値


この辺り、しっかりとセットで考えてもらって、しっかり広めていってもらいたいな、
というのが僕の願いであります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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