こんにちは。
ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。
高校の授業で金融リテラシーの講座が始まりました。
前回は『家計管理とライフプラン』の前篇として、家計管理についてお話しました。
今回はいよいよライフプランについて解説していきます。
【ライフプラン=生涯の収入と支出を考える】ということなんです。
家計管理の生涯版になるわけですね。
まず自分が生涯にわたって、人生をどうしたいのか、
こういうことを考えるということなんです。
例えば、日本からアメリカに行きたいって思った人は
飛行機に乗らないと行けませんよね。
船だったら行けるかもしれない。
少なくとも車じゃ無理なんですよ。
「いやいや、僕の車は時速150km出ますから」って言っても無理なんです。
つまり、目的地が決まると、どういうことをしなきゃいけないのか、が決まるということです。
つまりライフプランを考える上で重要なのは、
自分がどこにたどり着きたいのか。
何をしなきゃいけないのか。
という、この目的地をしっかり設定する、ということですね。
これは、皆さんの想いなんです。
例えば、お子様がいます。
お子様が大学に行きたいって言った時に、
いくらぐらいまでなら準備してあげたいのかなっていう風に考えていただくと言うことですよね。
その将来への仕送りの仕方をちょっとでも増やしたいな、と思って
つみたてNISAにする人もいれば、
いやいやリスクは取りたくないって言って、
現預金で置いておく人もいるし、
これは人それぞれだよっていう、こういう話になるわけです。
なので、目的地を設定しないとお金の使い道って決められないんです。
ですが、
ほとんどの人って、これ逆転してませんか?
目的地を設定せずに、
「とりあえずなんか流行ってるからiDeCoやりました」とか。
「つみたてNISAやりました」とか言う人いますよね。
こういう人って、やっぱり長く続かないんですよね。
それじゃ意味ないよってことです。
まずは目的地を決める意味でも、人生どういう風にしたいのか。考えてみてください。
・どんな仕事をしたい?
・子供は欲しい?
・何歳まで働く?
・どこに住んで、どんな暮らしがしたい?
もう、いろいろ考えていただくんです。
実現したいことは何があるのか、とか。
そうしたら、働き方だって変えないといけませんよね。
「夫婦共働きにしないと厳しいよな・・・」とか。
でも奥さんにしてみたら、「子供との時間を大切にしたいのに・・・」みたいな想いもあったりします。
じゃあ、逆にちょっと支出を落とそうかって話になったり、
どこを削ろうかなって考えるのもそうじゃないですか。
こうやって自分の人生を考えていくってことが重要なんだよってことなんです。
例えば、働き方だって、正社員と正社員以外の方って
かなり収入に差があるじゃないですか。
自分はこんな人生を叶えたいと思うんだったら、やっぱり正社員になろうかな、とか。
同じ正社員でも、例えば自己投資をして、何かの資格を取ったら収入がアップするのも、打ち手の1つですよね。
ならば、今のうちにそういった資格を取るために、勉強しておこうかな、とか。
これも自分の人生をコントロールするっていうこと。
つまり、自分がなりたい人生設計をちゃんと考えたからこそ、
今、自己投資しといた方がいいよねっいうお金の使い方が生まれたということですよね。
必ず、このライフプランから始まって、次にお金の使い方。
マネープランというのが出てきます。
この順序を間違わないようにしてくださいね。
これがライフプランってやつなんですよ。
人生の3大費用:教育・住宅・老後
ライフプランを考える上で将来の人生設計を立てていきましょう。
どういう風にしたいかを考えます。
この時にめちゃくちゃ重要なポイントが3つあります。
教育・住宅・老後=一生涯で人が最もお金を使うところなんです。
ここはしっかりと、特にご結婚されている方は夫婦で話し合ってください。
夫婦でしっかりと同じ目標に向かって走っていかないと、乗り越えられないぐらいの大きなハードルです。
このぐらい人ってお金を使うんです。
このお金をたくさん使うところだからこそ、計画を立てて、
ちゃんと目的を設定してスタートする人と、
何も考えずイケイケどんどんで行く人は、
かなり差が出るよっていうことなんですね。
結局これ何をしてるかと言うと、
一生涯の自分の収入と
一生涯の支出がうまくマッチしてるのかな?収入内でやりくりしてるのかな?と考えるんです。
これが、ライフプランっていうやつです。
少し話は逸れますが、とても重要なお話です。
<生涯総収入>の中に『資産形成による増加分』ってありますよね。
働いて貰う労働収入や貰うだけの退職金とか年金などと違って、
自分のやり方次第でこの増やせるものがあるわけです。
これが国が今言っている『貯蓄から投資へ』ってやつですよね。
次は<生涯総支出>を見ていただくと、生活費用や教育費用、住宅費用などいろいろありますが、
『借金の利子』ってのがあるんですね。
借金したばっかりに増えちゃったってやつがあるわけですから、これが圧迫すると結構大変になります。
他にしわ寄せが来ると、やりたいことができないじゃないですか。
なので、この辺りの知識っていうのも金融リテラシーという意味では、
めちゃくちゃ重要だよという風になるわけですね。
では、最後にこのライフプランもシミュレーターを使って作ってみましょう。
前回は紫色の『家計管理シミュレーター』でしたが、
今回は黄色の『ライフプランシミュレーター』です。
『ライフプランシミュレーター』を開いていただくと、上の資料のような画面が出てきます。
性別を入れたり、学齢を入れたり、年齢を入れたり、
結婚、子供、住宅費など、
自分の人生どうしていきたいのかっていうことを全部入れていくんですね。
結果を見てみましょう。
例えば、この家計はどうでしょうか?
最初の頃はちょっと赤字だったようです。
つまり、自分の収入の範囲内でやれなかったんです。
ところが、途中で結婚して夫婦共働きになったら、一気に黒字に回復していって、
60歳時点では貯蓄が結構貯まっているでしょうね。
こんな感じのお家だと、最初の赤字の頃に貯蓄を切らさないように貯めていけたら
なんとか乗り越えられそうです。
ただ、結婚してからプラスってことは、
この場合、めちゃくちゃ結婚相手に頼っているので、
自分1人でもマイナスにならないような設計を考えた方がいいか?というパターンですね。
このライフプランの肝(キモ)になってくるところは、
『100人いたら100通り違う』ということなんです。
家族構成も収入も自分たちのやりたい想い、描いた将来も全部違いますよね。
お子様の年齢も人数も違います。
ということは、
100通りのライフプランができて、
100通りの対策や答えがあるということなんです。
なので、「あの人がやっててお得だって聞いたから私もやりました!」
これで”私”が本当にお得になるかどうかは分からないんですよ。
だから、自分の人生は自分でしっかり考えて、自分に何が合うのかというのを探す。
このキッカケにライフプランはなるんだよってことなんです。
このシミュレーターが60歳までで終わっちゃうので、老後が拾えないんです。
なので、パワーポイントのページを足してみました。
皆さんは2千万円問題って聞いたことありますか?
老後、年金だけだど2千万円ぐらい足りなくなるよって言われて炎上しちゃったやつです。
あの中に出てきた報告書で2千万円の根拠になっているグラフなんです。
今の老人は夫婦で大体、毎月22万円の年金を貰っています。
ですが、実際の支出は最低限27万円くらいはあるんです。
そうすると、毎月5万4千円の赤字ですよ。ということで、
この5万4千円が、65歳から毎月ずーっと赤字なわけですよ。
これを95歳まで30年間赤字だったら、掛け算していくと
大体2000万円になるよっていう、これが2000万円問題の根拠です。
これって、皆さんにお伝えしてきた、家計管理とライフプランと一緒ですよね。
全部は収入と支出で決まるんです。
これがあと何年どうなるのか。これだけの話なんです。
だから、老後も考え方は全く一緒なんですが、
老後の収入は給料ではなく、年金になる、ということなんです。
なので、年金の計算ができたら、老後の収入が分かります。
支出に関しては平均的な額を見ておかないと、「私は全然使いませんから」と言っても、
老後に生活水準を落とすのはかなり難しいです。
老後だって、しっかりと、いくらぐらいマイナスになるのかっていうのかが見えてくるってことなんです。
この”見える”=”現状把握する”ということが、
めちゃくちゃ重要なんだよってことなんですね。
まとめ
家計管理とライフプランをすることで、皆さんの現状が把握できます。
そして、現状を把握して、自分が今、人生のどのくらいの現在地点にいるのかな、というのもわかる。
ここが重要なんです。
例えば、将来はもっと楽になるかな?と思っているけど、
ライフプランを立てたら、今が人生で1番豊かな時期かもしれません。
そしたら、この時期のプラスを将来の赤字に補填しなきゃいけないよね
っていうステージかもしれません。
逆に、将来そんなに困んないのに、こんなに貯めてどうすんの?って
節約、節約、節約・・・でやるよりも、
せっかくだら、子供たちと想い出作って、
今、お金使いましょうよっていう風に言えるかもしれない。
これって、人それぞれ違うんです。
でもまずは現状把握しないと、何も見えてこないよねっていうこと。
じゃあ、この現状把握はどういう風にするのか、と言うのが、
家計管理とライフプランなわけですよね。
家計管理とライフプラン=現状把握
そして、
教育・住宅・老後というのをしっかり、夫婦で考えてみてください。
自分たちがどういう風にしたいのかな、と思い浮かべてくださいね。
そして、そこに向かって、じゃあ何をしなきゃいけないのか。
シリーズということで、
・お金の使い方
・お金の貯め方・増やし方
これも金融庁のレポートシリーズがありますから、次回以降にお話していきます。
お楽しみにしていてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
こちらの動画で詳しく解説してます。