森次 美尊

使う・備える・借りる【前編】-高校生の金融リテラシー講座③-

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

先月に引き続き、金融庁が高校生のために作った『金融リテラシー講座』
こちらを子育て世代の方にこそ、是非受けてほしいな、という想いで解説していきます。

先月は「家計管理とライフプラン」を前編・後編にわたって解説していきました。

簡単に復習すると、
お金をコントロールするということは、人生をコントロールするということ。

じゃあ、お金をコントロールするためにやらなきゃいけないことが2つあって、
1つ目は、ライフプラン
どういう風に人生、生きていきたいのか?という長期的なビジョンを作ること。

2つ目は、家計管理
手元資金のことで、実際に入ってくる収入と支出があって、これを管理する力が必要だ。

こんなお話でした。

今日は、より具体的なお金のお話をしていきたいと思います。
大きく言うと、ポイントは3つ。
1つ目:お金を使う
2つ目:お金を備える
3つ目:お金を借りる


 

①お金を使う


大きく言うと、『生きていくために必要なもの(ニーズ)』と『単純に欲しいもの(ウォンツ)』ってありますよね。
ここをキッチリ区分けしないといけません。
欲しいものばっかり買ってしまって、必要なものが買えなかったら、生きていけなくなるわけですよね。
ということで、まず優先順位をちゃんと考えようね、というのがポイントになります。


よくやりがちなのが、
収入=お金が入ってきたら、
そこから色々と生活にいるものを抜いていって、
欲しいものも抜いていって、どんどん抜いていって、
残り余った分があれば貯金しようかなって考える方が多いんです。
実はこういう方って、お金が貯まりにくいんです。

お金が貯まりやすい家というのはとてもシンプル。ひっくり返して考えるんです。
支出と貯蓄の優先順位が逆になっています!

収入からまず必要な分(貯蓄)を退けます。
で、残りでやりくりしましょう、みたいな。
シンプルなんだけど、この考え方ってすごく重要だよっていうことなんですね。

『今からあなたに5000万円を渡します。この5000万円を使って、
 10年間頑張って生きてください』

例えば、こんな風に僕がお伝えしたらどうしますか?

何かあった時のために、5000万円のうち、いくらかは退けておきませんか?
で、残りを10年間で割り算して使っていこう、みたいな。。。
こんな計画になりませんか?
では、皆さんだったらどうでしょう?いくらぐらい退けて、貯めておきますか?

仮に、5000万円のうち、1000万円貯めておくとします。
そうすると残りの4000万円を10年間で割り算するので、
1年間で400万円ずつ使っていこう、と考えるわけですね。

つまり、この考え方って、収入(5000万円)から先に要る分(1000万円貯蓄)を
退けてるんですよね。
逆に、イケイケどんどん!で収入があっても、何も考えずにどんどんどんどん使っていけば、
10年後に1000万円も貯まってないっていう風になるよってことです。
 

お金の見えない化=キャッシュレス化

 
さあ、そのお金。
難しいのが、今はどんどん見えない化していってるんですね。
昔は『現金』という、紙幣と硬貨しかなかったんですが、
今はクレジットカードや電子マネーなど、いろいろあるわけですよね。
そういったものって、やっぱり便利だからいろいろ出てくるんですが、
それぞれに良さ・悪さはあるので、そこの特徴をしっかり掴んでおいてください。
 


 
お金の見えない化=キャッシュレスっていうのは、
つまり、現金を持ち歩かないっていう意味ですよね。
実は、こういったものって全部管理がしやすい、というメリットがあります。
だって、後から明細とか全部来ますから、こういうのに使ったんだなって全部分かります。
現金の場合は、いちいちレシート取ってないと忘れちゃうじゃないですか。
逆に、デメリットとしては、財布の中身が減るとかっていうことがないので、
あまり使った実感がないのに、お金が減っていくということです。
なので、やっぱりついつい使いすぎてしまったり、、、というデメリットもあるんだよ。
ということは知っておいてくださいね。
こういったことはそんなに難しくないと思いますが、ポイントになるのは、

お金を使う上でのポイント=毎月を赤字にしない

ということです。

とにかく、しっかりと家計管理をして、収入の範囲内でやりくりする。
キャッシュレスになると、1ヵ月遅れで支払いが来るので、ちょっと管理しにくくなるんです。
ですが!一緒です。
とにかく毎月を赤字にしない。ここが注意するポイントになります。
 

②お金を備える

何かあった時のために、備えておきましょうってことです。
要は保険の話なんです。


生きていると様々なリスクがありますよね
例えば事故にあったとか。
自分は何もしていなくても、ぶつけられた!とかもあるかもしれないですよね。
じゃあ、そういった時にどうしたらいいのか?というと、
何かあった時のための備え=保険 なわけです。
 


保険というものは、簡単に言うと、みんなでお金を出し合うことです。
みんなで出し合ったお金を置いておいて、本当に困った人がいたら、その人に渡そう!みたいな、
これが保険の仕組みなんですね。

例えば、死亡保険。
死亡保険っていうのは、万が一亡くなってしまったら困るから、
保険に入ってお金をかけるんですよね。
よく「掛け捨て」って言われるじゃないですか。
「掛け捨て」って、何もなければ、支払ったものが何も返ってこないってことなんですが、
これって、つまりどうなってるのか?って言うと、
確率は少ないけど、日本中の誰かには何かがあるかもしれないですよね。
その本当に困った人のところに、ちゃんとお金は届いてるんです。
逆に自分に本当に何かがあったら、ちゃんとお金は届くんだよってことです。

これが、保険の仕組みなわけですね。
 

保険の種類


そして、この保険なんですが、大きく言うと
国の保険と民間の保険、この2つに分かれます。

国の保険=社会保険制度
年金保険、医療保険、介護保険などいろいろあります。
以前の家計管理の回で、
収入21万円入ってきてるのに、手取り17万円ぐらいになるとお話しました。
実は3万円近く抜かれているものがありましたが、あれが「社会保険」でした。
社会保険というのが、年金保険や健康保険というやつだったりするわけです。
だから、結構たくさん抜かれてるんですが、それだけの価値がちゃんとあるものなので、
そこはちゃんと理解しておきましょう。
 

民間の保険
国の保険でカバーしきない部分をカバーするもの。

ポイントになるのは、社会保険(国の保険)っていうのは、基本的にはみんな入っているんです。
なので、「無保険」っていう人はほぼほぼいないんですね。
生きていれば、何かしらの保険に入っています。
なので、まずはこの国の保険について知っていただいて、
その保険で賄えない部分、不安な部分があれば、そこに民間の保険をかけるっていう、
こういう考えが必要になってきます。
 

生命保険
体にかける保険

損害保険
家にかける火災保険や車にかける自動車保険など、物にかける保険
 
 

保険を考えるときのポイント

広さよりも深さで考える


どういうことかっていうと、、、
深さというのは、どれだけお金がかかるのか。(縦軸)
広さというのは、どれだけ可能性があるのか。(横軸)

なんとなく掛け捨てはもったいないし、とか
まぁ、なったときにもらえるならいいよね、とか
なりそうなら入っておこうかな、みたいな
要はみんな『広さ(横軸)』で考えがちなんですよ。

例えば、「風邪をひきました」
これってかなり可能性としては高いところに来ますよね。
でも、「風邪をひく」可能性は高いんだけど、
実際のところ、そんなにお金もかからないし、困らないわけですよね。
じゃあ、別にこのためにわざわざ民間の保険とかは探さなくてもよくて、
銀行に置いている預貯金で備えればいいよねっていう風になるわけです。

ある程度のところって、銀行の預貯金で備えられたり、国の健康保険が利くんです。
風邪で病院に行っても3割負担で済むよってことだったり、
高額療養費制度っていう、1ヵ月の医療費がめちゃくちゃ高かったとしても、
普通の収入の人なら9万円ぐらい以上はかからないよっていう制度があったり、
骨折なんかも含めて、わざわざ民間の保険に入ってなくても国の保険である程度は賄えちゃうので、
あとの必要な部分は現金で備えておきましょう。ってなるかもしれません。

ところが、深さが上がった場合。
例えば、「癌(ガン)になりました」
その場合、治療方法ってたくさんあるじゃないですか。
もちろん、健康保険の利く治療っていうのもあるんですよ。
あるんですが、、、
健康保険の利かない治療もたくさんあります。

で、実際に癌になったら、やっぱり最高の治療を選びたいって、
健康保険の利かない治療を選ぶかもしれません。
そうなった時に、民間のがん保険っていうものを備えておいたら、
国の健康保険と民間のがん保険と、両方で守っているから、
たくさんの治療方法の中から選べるよねっていう状況に持っていけます。

例えば、「働けなくなりました」
働けなくなるリスクももちろん、国の健康保険の中から傷病手当って言って、
会社を休んだら給料の3分の2ぐらい出るよっていうのがあるんです。
あるんだけど、やっぱりこれだけじゃ賄えないよねっていうところに、
民間の所得保障保険っていうものがあったります。

あとは、「死亡保障」
お亡くなりになるっていうのが、1番大変なわけです。
生き返らないから、再スタートできないんですよね。
そうしたら、やっぱり遺された遺族は困ります。
給料稼いでこれなくなるわけです。
その時に、国の遺族年金っていう形で、ある程度「死亡保障」みたいなものが確保はされているんです。
国の保障はあるんです。
あるんだけども、それだけじゃ、やっぱり足りないよねって思うのであれば、
民間の死亡保障がいるよっていうことです。

まあ、こういう風にやっぱり「広さではなく、深さ」で、
自分はどれだけ困るのかっていうことを考えてください。
これが備えるためのポイントになるのかな、という風に思います。
 

まとめ

「備える」をまとめておきます。

まずは保険という制度。
これを相互扶助っていうんですが、みんあが出し合ったお金を本当に困った人に渡しましょう。
そのためにプールしておくよ、みたいな制度です。

この保険には大きく2種類に分けられます。
●国の保険
●民間の保険
まずは、国の保険を知っていただいて、
それだけでは足りないところに民間の保険をかけましょうねっていうことです。

民間の保険は2種類あります。
●体にかける『生命保険』
●物にかける『損害保険』
こんな風に分かれてるよってことで、
民間の保険に入るんだったら、国の保険だけでは足りない部分を賄えるようにしましょう。

ポイントは、
保険は広さよりも深さ

今回はお金の「使い方」と「備え方」について解説しました。
次回はお金を「借りる」とは?
どういうことなのか、解説していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

こちらの記事でご案内してます。