森次 美尊

貯める!増やす!資産形成!!【前編】-高校生のための金融リテラシー講座 ⑤-

こんにちは。

ファイナンシャル プランナーもりつぐ先生です。

今回は子育て世代にもお届けしたい、
「高校生のための金融リテラシー講座・第3弾」になります。

第1弾は「家計管理とライフプラン」
お金をコントロールするにはどうすればよいのか。

第2弾が「お金を使う・備える」
というローン・クレジットカード、保険の内容についてお伝えしました。

そして、第3弾は「貯める増やす」つまり資産形成についてです。

資産形成と

まずはなぜ今、資産形成が大切なのかという話からです。

例えば缶ジュースで考えてみましょう。

今は1本130円ですが、
昔はいくらだったでしょうか?

2000年くらいで100円、2020年あたりで130円になりました。

つまりこの間に物の値段は、約1.3倍ほどになっています。

その他ですと、ディズニーランドも5,000円台でしたが
今では8,000~9,000円まで上がっています。

物の値段が結構なペースでどんどん上がっていて、
今現在も2%ほど物価が上昇していっている時代です。

仮に今20万円の生活をしていても、
同じように缶ジュースの値段も上がってきたし
引き続き上がっていくかもしれません。

そして同じ物を食べて同じ物を買って20万円の生活をしても
20年後には物価上昇によって25万円の生活費を出さないといけなくなる時代が
来るかもしれません。

でも20年先、更に30年40年先に
自分が今稼いでるお金を貯めて持っていきたいという
ニーズはありますよね。

例えば”大学費用を準備したい”
“もっと先の老後の費用を準備したい”

“今は働けるけど、やがて来る将来で思うように働けなくなった時のために
足りない分を自分へ仕送りをしておきたい”といったニーズはあると思います。

ただ20万円を現金で銀行に置いておいても
今だとほぼ銀行の金利ってつかないですよね。


だから20年経っても、銀行預金はほぼ20万円のままで
利子が付いても40円くらいです。

でもこの時には、20万円では生活はできなくて、
25万円出さないといけないということです。


つまり銀行に低金利で置いてるお金というのは
どんどん減っていってると言えます。

正確には、物価の上昇に金利が追いついてないので
買えるものが少なくなってるという時代なんです。

なので国は貯蓄から投資に移りましょうと言っていて、
お金を増やしていくためには「資産形成をしましょう」ということです。

ここまでのまとめ

資産形成が必要な理由がわかったところで
次は貯蓄から投資への投資について考えてみましょう。

あなたが思う「投資」ってどんなものでしょうか?


例えば、投資とは資産運用するために投資信託を買うという
考え方も間違いではないです。

例えば、将来自分がたくさん稼げるようになるという目的で
英会話教室に習いに行くとしましょう。

この教室の会費が月1万円かかりますが、
自己投資として毎月1万円を払い、
5年間通った後、喋れるようになったとします。

そしていろんな場所で経験値を積み10年位経って
やっと仕事になったイメージを持ちませんか?

例えば、今日習いに行ったことを来月にはすでに使えて、すぐに稼げるとは考えませんよね。


つまり「投資」というのは、
長期間の時間をかけてしっかりと成長させていくという行為なのです。


なので短期で結果を出したりする損得ではないということを
是非知っておいてください。


これは資産運用をするための投資信託を買うことについても一緒で、
しっかりと長期間時間をかけて成長させていくというのが
ポイントということです。

そしてこの自己投資も自分への投資です。

私は色々な金融商品を知っていますがどの金融商品よりも
若い人になればなるほど、レバレッジがききやすく
一生涯をかけて回収すればいいという自己投資ほど
効率の良い投資はないということも
是非わかっておいていただければと思います。


それでは「投資」について進めていきます。
まず次の言葉から覚えてください。

利子金利の関係


利子」とは利息とも言いますし、
金利」利率という言い方しますが、どういうことかというと
100万預けたお金に対して、1%の金利が付いたら
1万円の利子がもらえるということです。


例えば今は利子がぜんぜん増えないままなので、
0.001%で決まっています。

実際にいくらもらえるのかというと
100万円で0.001%の金利が付くと
10円の利子がもらえることになります。

ですので今の時代でも、銀行に100万円を預けて
1年経つと10円位は増えます。

この金利、利子ってどうですか?

金利が多い方が良いか、少ない方が良いか
預ける場合ってどうでしょう?

当然金利が高い方がいいですよね。


0.001%の利子より、1%の利子で預けたら
1万円をもらえるのでいいに決まってるじゃないですか。


でも逆の「借りる」場合はどうなるでしょうか?


前回の投稿で解説した借金をする場合
例えば、クレジットカードローンを組むと
10%の金利が発生しますし、
住宅ローンなら1%の金利が発生します。
奨学金だと0.1%くらいになります。


この場合の借金にかかる金利は、
どれが自分にとって都合がいいと思いますか?

やはり金利が低い方がいいということになりますよね。


生きていく上で預けるお金、借りるお金の
色々なところに金利というのが付いてきます。


預けてる方は金利は高い方がいいし、
一方で借りてる方は低い方がいいとなりますよね。

この双方の場合で、どれが高くてどれが低いのかを
しっかり見極めることが
上手にお金をコントロールして生きていくと

いうことを知っておいてください。


そして「金利」には、単利と複利という言葉があります。


これは今、世の中の皆さんが携わってる金利が
ほとんど複利だと思っておいてください。


何が違うのかというと、仮に100万円を預けて
5%の金利が付いたとします。

単利」なら100万円の5%の金利は5万円なので、
1年間で100万円に対して5万円が足されます。

次の年も預けた元金は100万円なので
100万円に対して5%の金利で5万円。
毎年5万円がずっと足されていくのが
単利の考え方です。


仮にこれを40年間置いていれば、
100万円が300万円になります。
つまり200万円が利息で増えるという仕組みです。

でも「複利」は違います。

複利」とは1年目に100万円に5%の金利がついて
105万円です。
2年目はこの105万円に対して
5%5%の金利がつくので、110万2500円に増えてくるわけです。


次は110万2500円に対して5%の金利と
引き続き増えるので
最終的に40年経った時には700万位になります。


単利と複利では、貰える額は2倍以上だけど
凄いのはそれぞれの元金は100万円だったということです。

それにより増えた利息で考えると
単利は200万だけど、
複利は600万なので3倍の効果が出ています。

表にして比較してみました


そしてもう一つ、複利にはポイントがあって
40年運用した時点では700万円ですが、
700万円の5%は35万円位です。

つまりこの時点でスタートした瞬間は
1年目どちらも5万円しか増えないけど
同じ5%の金利でも40年目は
単利は5万円、
複利は1年で35万円が増えています。

なので金利とは時間との関連性がかなり強いものということになります。


つまり今皆さんが1年運用を遅く始めるということは、
一番最後の1年で35万円増えるかもしれないという
取れ高を失っているということになります。

なので、やはり早くからはじめて時間を使うというのが
とても有利になることを是非知っておいてください。

雑談程度に知ってもらえればいいですが、
72を金利で割り算したらその元金が2倍になる年数がわかる!
という面白い話があります。

「72の法則」


例えば、
親のおじいちゃんおばあちゃんの世代を高度経済成長期といい、
銀行の金利が8%ついた時代があるんです。

この時代だと、72÷8(%)=9年になりますよね。


つまり8%の金利のところにお金を預けておくと、
9年間で2倍になったんです。

バブル時代は6%の金利が付いて
約12年でお金が2倍になりました。

そんなすごい時代が親の世代にありました。


そして今は0.01%です。

72÷0.01=6932です。

つまり今の金利でも一応6932年置いておけば
お金は倍になるそうです。


でもここまでたどり着く人はいないでしょうね。
これくらい金利の力が凄いということを知っておいてくださいね。

そして金利は乱高下しているのですが、
間違いなく現在は戦後の最低金利の時代に入っています。

こんな時代にお金を増やすことってできるの?と不安になりますよね。

『 資産形成 』でどのようなものを選べばいいのか。
選ぶ時のポイントを踏まえながらお話させていただきます。

資産形成で金融商品を選ぶ時のポイント

安全性

② 収益性

③ 流動性

この3つのポイントを踏まえて、
様々な金融商品の中から自分に合ったものを選ばないといけない
ということをお伝えしていきます。

安全性とは、元本保証されている商品なのか、
されていない商品で元本変動する商品なのかということです。

そしてやはり重要なのはきちんと増えてるいるかという収益性流動性です。

流動性とはすぐにお金を出し入れできるかということ。

たとえ増えていることがわかっていても

必要な時に出せませんと言われたら意味ないですよね。

なのでどれだけ増えていても出せないとなると、
実際には使えないお金ということになるので
流動性はとても重要です。


基本的に良い悪いではなく、
『安全性・収益性・流動性』の3つのポイントから
自分に合うか合わないかで考えてみてください。

預貯金

まずは預貯金についてです。

これは元本保証されてることが一番のポイントなので
安全性と流動性が高くなります。

理由としては銀行や郵便局にお金を置いていたとしても
すぐに出し入れしたり、振込もできるので便利ですよね。

今だと銀行間で決済ができて、
給与振込も銀行に入ってきます。
ATMもあちらこちらにあるのでとても便利です。

そして安全性もあり、預貯金をおいておくだけで
減ることはないということです。

しかし預貯金をおいておくことに、かなりのコストが
かかってるので収益性がほぼありませんので
短期の財布という考え方をしましょう。

この短期の財布というのは
例えば、何かあった時に困るので
手元に置いておきたいお金や、
日々の消費と浪費に使うお金なので給料振り込みに
抜群に向いていることになります。

一方で、20年後の大学費用や40年後の老後の費用など
将来の自分への仕送りを持って行きたいという時には
長期でお金を置いておくので
流動性は必要ないですよね。

そうなれば物価上昇という問題が出てくるので
預貯金に収益性がない場合、実際のお金の価値は減っているという訳です。

ではどうするかというと、収益性のある
他の商品を考えていかないといけません。

それでは他の商品を色々みていきましょう。

債券・国債

次は債券です。

債券というのは簡単に言うと
国や会社にお金を貸す、借用証書だと思ってください。
国の借金を借用証書を発行して行うことを国債と呼びます。
そして会社では社債といいます。

例えば国債で国にお金を貸して
借用証書で貸した証明をもらっておきます。

そして満期がきたらこれだけ貸したという証明(債券)が
あるのでちゃんと返してくれます。
ですので、安全性はある程度は保証されているといえます。

ただ、社債となると会社が潰れる可能性があり、
保証されていないので
会社によっては安全性はかなり違ってきます。

また国債になると日本が潰れるとは想定しにくいことを
考えると安全性はほぼ間違いなくあると言っても
いいんでなないかと思います。

この国債の欠点は、流動性です。
途中で現金化したいと思ったときに
どうなるのかというと…
例えば、まず最初に自分が国債を買い持っているとします。
そして今の世の中には金利がありますよね。

そこから自分が国債を何年か持っていて
世の中の金利が上がっていたとすると、
その何年か後に売買取引されている国債の金利も上がっています。

でも自分は金利が良くない時の国債を持っていて、
それを何年か後に誰かに買ってもらおうとしても
誰も買ってくれませんよね。

それは要らないから
今、現状で出回っているのを買うとなると
価格がかなり下がるということになります。

この先、世の中の金利が上がるのか下がるのか、
予想がつかないと考えたら、
その時に途中で売買できるかどうかは
かなり難しいと考えておいた方がいいですし、
最後の満期まで持っていると
しっかりと安全は担保されるけど、
途中の流動性は失う可能性があるというのが
国債なんですよね。

一方、社債とは会社が倒産するリスクもあるし、
元本保証もされてないよくわからないものとなったりします。


そして収益性については、
今の世の中すごく低金利なので昔ほど金利はつかないし、
収益性も銀行の預貯金に比べればいいけど
決して高いとは言えないのが今の債券ではないかと思います。

株式とは

次は株式です。
株式も先ほどの社債に近いもののなります。


会社にお金を貸すようなイメージですけど
貸すというよりは、正確には株主になって
会社を所有するというイメージです。

会社は社長のものではなく、
たくさんいる株主さんのものです。

ですので、この株を持っていると
会社のことに少し口出しができる権利が発生したり、
株主総会に呼ばれて意見を言えたりするわけです。
なので所有する株を持ち合うという言い方をします。
言わば、運命共同体になるようなイメージです。

株を持つ理由として、
「応援したい企業があるから自分は株主になる」
といった感覚で持つ人もいるということです。

その会社次第ですけど、上場してる会社でも
30年40年と存続する会社は少ないです。

やはり20年30年で倒産するのが平均的ですから、
長い目で見た時に元本保証はされてないと
安全性という面は難しいというのが
答えではないかと思います。


一方で、収益性は企業によりますけど
やはり上場してる企業は基本的に
利益を出すのが仕事なので日々利益を出しています。

そして利益を出したら
これが自分の持ってる株に反映されて
配当金として返ってきます。
ですのでやはり収益性は高いと思います。

先程の銀行の預貯金や債券に比べれば
もちろん間違いなく収益性が高いのが一般的です。

またある程度、流動性もあって
上場してる株は結構取引されてますから
基本的には債券より高いと思います。

ただ収益性が高いとはいえ、その時々で下がっていたりします。
そして株を売りたいときがどういう時かというと
その企業が危ないと思う時ですよね。

あとはリーマンショックが来て株価が暴落しているなどですよね。
そういった時にみんな売りたいと思っている訳です。

みんな売りたいと思うということは
株価は下がるので当然ですけど、
価値も下がります。

ですので売買はできるけど、
自分が考えていた価格で売れるかと考えたら
やはり流動性は低いと言えるのではないかと
僕は思います。

投資信託

次は投資信託です。

投資信託とは何かというと
例えば仮に、JALの株を持ってたとします。
株は1つの企業の株を持っても
20年30年で倒産する可能性があると言いました。
JALは過去に一度倒産しています。
するとこの時持っているJALの株はどうなるかというと
価値がゼロの紙切れになります。

でもその時、JALとANAの株を
2つ持っていたらどうでしょう?

万が一、JALの株が紙切れになっても
飛行機に乗りたい人のニーズが変わらなければ
みんなANAに流れるのでANAの売上は上がりますよね。

ですので、ANAの売り上げが上がって利益もちゃんと上がれば
自分が持っているANAの株は価値が上がります。

というように1つしか持ってなかったらリスクになるけれども、
2つ持ってたら安定しますよね。

でもそこへ新型ウイルスの世界的な大流行がきました。
すると、JALもANAも駄目になりました。
しかし例えば、NetfixやAmazonなどの
自宅に居ても便利に利用できる企業の株を持ってたら
こちらは価値が上がってるかもしれないですよね。

このように多様な業種を3つ4つを持つと安定しますし、
これが10個20個になるともっと安定します。

100個200個と多く持てばさらに安定はしますが、
自分でそれだけの株を売り買いして管理するのは大変です。


そのたくさんの株を全部まとめて100個位買って
パッケージ化したものを売るのが
投資信託の仕組みなんです。

ですので、投資信託は企業の株を直接持つことに比べたら
安全性は少し高くなります。

収益性もやはりいろんな株を買うので
日本全体、あるいは世界全体の企業が
しっかりと利益成長すれば資産は増えていきます。

少なくとも預貯金や債券で持つより、
やはり収益性は高いというのが一般的です。

そして売り買いもしやすいので
そのぶん流動性も結構高くなります。

ただこの流動性に関しては、やはりリーマンショックが来れば、
いろんな企業の株を持っていても全てが下がる時があります。
そういったときは、やはり自分の資産は目減りするかもしれないし
確実に元本保証されてるものがないということです。

まとめ


まとめます!
預貯金とはとにかく安全性と流動性があるものなので
短期の財布はこれです。

ただ長期の財布となると、
やはり収益性を考えたほうがいいですよね。
そこで国が推してるのは投資信託です。


理由としては、やはり一つの企業の株や債券を持つのは
リスクになるからです。
その上、常に見ておかないといけません。

特に子育て世代の方は
そんなに毎日ニュースは見てられないですよね。
基本的に放置しておきたいはずです。

ところが投資信託の場合は
たくさんの企業の株を買って
これを勝手に中身を変えてくれます。

その時点で一番元気な企業を売り買いして買ってくれるので
一番「放置しておいていいよね」となるんですね。

ですので、国はやはり投資信託を推奨していますし、
僕もこちらのコラムやYouTubeチャンネルの動画で
ずっと投資信託を長期で持ちましょう!と
言い続けてきているわけです。

ということで、
今回は『資産形成の種類』のお話でした。

次回は『資産形成とリスク』『NISAとiDeco』をお伝えしますので、
ぜひお楽しみに!!


最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の「資産形成」については、
こちらの動画でも解説しています。