こんにちは。
ファイナンシャル プランナー もりつぐ先生です。
今回は前回に引き続き、
ドル建て保険についてのお話をしていきたいと思います。
ドル建ての保険の中で、
終身保険というのがあります。
こちらはコツコツと
10年かけて払っていくタイプの保険になります。
10年間で払い込みが完了しても、
保険自体は一生涯切れない終身タイプなので、
その後も今まで払っていたものが
ずっと増えていってくれる上に、
死亡保障も一生涯切れない終身でついているといったタイプです。
一生涯切れない保険ですので、
運用も一生涯してくれるということです。
これは「最低保障が何%で、利率が何%なのか」が
決まっていたりするのでドルベースでは
ずっと増えていくのは確定してるわけです。
そして払い込み期間もその保険によって
増え方が全然違うんですけど、
中でも多いのは10年ぐらいは支払いをして
増えていくのはその後というパターンです。
この10年の払い込み期間中の増え方が
どうなっているのかというと、
実はドルベースで元本割れしているんですよね。
10年払いでしたら、
払い終わった10年ぐらいのあたりで
大体元本ぐらいまで戻ってきて、
その後はずっと増え続ける。といった感じなんですね。
その間は継続して死亡保障付きなので、
万が一のことがあったら死亡保障がどーんと貰えるけれど、
何も起こらなかった時というのは
払っているお金が全部払い終わった時に
大体元本が戻ってきて、
その後もずっと最低保障されている利率で
増え続けるといった商品ですよね。
さあ!この商品なんですけど、
「すでに10年間の支払いが完了していて、
今までずっと置いておき、利率で増やしてました」という方と
「今まだ払い込み中です」という方の2パターンに分かれますよね。
ここはそれぞれ戦略が違うので、一つずつ説明していきますね。
1.もう既に終身保険を払い終わった人
まずは既に払い終わった方についてです。
この方は今1ドル150円になっているとしても、
他に支払いがないなら別に影響ないじゃないですか。
なのでこの人たちが考えるべきは出口をどうするか!
ということなんです。
例えば、あと4、5年ぐらい経つと
子供が大きくなるので、いろんな出費でお金が必要になって
「今まで貯めた分のお金を使いたいな」と思ったとします。
そんな時、今はドルベースで投資されているので
ずっと増えてはいくのですが、
4、5年くらいの年数だと
1.1倍とか1.2倍ぐらいしか増えない訳ですよ。
確かに1.2倍増えたね。ドルベースで増えたね。
となってもこの4、5年先のタイミングで
1ドル100円に戻っていたとしたら
現在は1ドルが150円なので、
今のうちに解約して利益確定しておいた方が良かったね。
という風になるタイミングに来ているということです。
ですので、もう直近5年とか10年以内ぐらいで
解約する予定があった人は、
今のうちに利益確定させて置いておくというのも
1つのやり方ですよね。
ですが、解約すると当然死亡保障はなくなりますので
その辺りも考慮して今、利益確定した方がいいのかどうか
ということについても考えられたらいいのではないかなと思います。
更に老後までずっと置いておく長期戦略の場合、
最低保障付きでその後もずっと増えていって
最終的には2倍ぐらいになる位まで利率がつく商品も
たくさんあります。
なので自分の商品の利率を見てもらって、
「老後になった時に果たして何%ぐらい増えてるかな?」
と考えた時に、何も今1.5倍で利益確定するより
「2倍ぐらいまでドルベースで増やした方がいいのかもしれない」
という考えもあるので元々、老後などにおいておく長期戦略であれば
今あえて利益確定しなくてもいいのかなという気もしますよね。
どちらにしても、既に払い終わった人にとっては悪い影響はないです。
ただ単に解約するタイミングで
増えるかどうかだけの話なので問題ないですよね。
2.終身保険を払い込み中の人
問題となるのは現在払い込み中の人です。
去年に比べて1.5倍に支払いが増えてるという風になっているので
これを今どうするのか?ということですよね。
やり方としては3つあるんですよ。
『 払い込み中の対策3選!』
①
払い込み
継続する
本来の予定どうり10年間払い込みを続けていく
② 払い込みをストップする
基本的に一度払うのをストップしたら、
この商品は元に戻せないので、
今まで支払った分で買い取れるだけの
小さな死亡保障になった保険に切り替わるんですよ。
この小さくなった保険であれば
あなたはもう全部買い取ってるよねということなので、
今まで払った分で一生涯増えていってくれるという感じになりますね。
③ 解約する
解約返戻金をもらうという状態です。
この3パターンがあるので、
それぞれの考え方をお伝えしていきますね。
まずは 『① 継続する 』 なんですけれど、
本来は資産形成をする目的で続けようとしてたわけですよ。
とは言っても
「今1ドル100円が150円になっちゃったし、円だと損してるんじゃないの。」
と思うかもしれないですけど、ここは冷静になって考えてくださいね。
一ドル100円が150円になりました。
ということは50%増えたわけですよね。
本来は10年間払う予定の保険ですので、
今まで平均で100円の支払いをしてたとします。
またこの先も払った時と同じ100円に戻ったとします。
結果として平均するとこの年以外は
全部100円だったとしましょう。
ということは、
この150円で50%増えたものも、
10年間で割り算されるので薄まるんですよ。
なので結果的には10年で50%割り算したら、
思ってたよりも5%だけ割高で払ったなぐらいの感覚なんですよね。
ということは、
この先もずっと最低保障されて、
今まで払ったものが増えていくわけですよね。
どんどん増えて200%とかまで増えていくなら
この5%の値上がりは誤差だよねという風になります。
こんなふうに老後を見据えて
しっかりと長期戦略でやっていたのであれば、
短期で一喜一憂しなくてもそんなに大した影響は出ないよ
ということです。
もちろんこれが2年続くかもしれないです。
でも2年続いても10%だけど、
そのまま払い続ければ200%まで増えるわけです。
とはいっても、そんなにずっと続いたらどうするのか?
そうなったら解約した時に円安だからいいじゃないですか。
という話なので長期的に見たら
結局はそんなに大きな動きではないんだよということも分かった上で、
冷静に判断していただきたいなという風に思います。
いきなりポンと為替が動いたりすると不安になりますし、
何となく損してるんじゃないか?というイメージがありますよね。
しかし、ドル建て保険とはそもそも短期で損得を言うような商品ではありません。
ですので、もともとドル建て保険を設計した時に
自分は一体何がしたかったのかという目的に立ち返ってみて、
「自分が今、何をすればいいのか」を思い出してみてください。
その目的が例えば老後の資産形成なら
「このままいくとどうなるのかな。」というような想像を働かせながら
今後も続けるという選択をするのかどうかを
考えて頂いたらいいんじゃないかなと思います。
その時点で「続けるという選択はしない」と
考えたのであれば、
やり方はもう払い込みをストップするか解約しかないわけです。
では、2つ目の対策について説明していきます。
『② 払い込みをストップする』 にして払い済みにするということは、
死亡保障がそこで小さくなります。
ですので、その先の死亡保障をどうするのかということになります。
元々はこれだけの死亡保障金が必要と思っていたけど、
これが少なくなるから考えないといけないよ
ということがまずポイントですよね。
次に今までに払ったものがずっと増えていくですが、
払い込み中というのは基本的に
この保険は元本割れを起こしています。
元本割れしている状態から増えていきますので、
払ったものがそこからそのまま増えるわけではないんですよ。
今、解約返戻金は減ってますから
この減ってるところから増えていくんですね。
この減り幅が何%ぐらいなのかを確認しないといけません。
というのは、その保険によっては払い込み中は
かなり元本割れさせるよというような
低解約返戻付という商品があったりします。
他には元々はかなり元本割れさせる商品ではないけれど、
1年、2年、3年目とかの短期になるので
大幅に元本割れしたりします。
この大幅に元本割れしている状態から
一生涯運用が増え続けるという状態に入っていくので、
かなり先まで持っていければ
どこかで元本を取り戻すかもしれないけれど、
当初予定してた利回り2倍ぐらいになるなというものが
全然そこまではいかないとなる可能性もあるので
やはりその辺りは注意しないといけないですよね。
そしてそのぐらいまで割れていて
今、払い済みをかけたら
ドルベースであと何年ぐらいで元本まで取り戻して、
老後になると何%になるのか?
このような質問を保険会社にしていただくと、
解答になるシミュレーションは出せますので、
確認しながら考えていくのがポイントになると思います。
とにかく払い済みにしてしまうというのは、
今円安でたくさんのドルを持っていて円に替えたら得するよ
というようなことは何も起こらない訳ですよ。
何故かというと、
ドルを換金するわけではなく中に置いたままになっているから
「ただ支払うのが高くなるのが嫌なのでやめますよ」という考えです。
ということは、今まで払っていたお金や
この先払う予定だったお金が払わなくてよくなりますが、
この払う予定だったお金は
本来は老後の資産形成のために払いたいと思ってた訳ですから、
当然それが老後に持っていけなくなるので
今まで払う予定だったこのお金をどうするかについて、
同時に考えないと老後の資産がただ減るだけになってしまいます。
どうしてもこういう大きい経済的な動きがあった時は、
今の状態ばかりにスポットが当たりがちですが、
本来は将来のためものなので
将来に持っていくこのお金を今からどうするのか?
というように考えないといけないとことです。
そして3つ目は『 ③解約する』 ですね。
解約した時にどうなるかですけど、
ここまでにお伝えしたように基本的には元本割れしてるわけですよね。
ですので、解約したら元本割れするんですよ。
これはドルベースで円に替えたタイミングで
1ドル150円になって返ってくるから
仮にドルベースで2割元本割れしていても、
『1ドル100円が、150円になったから5割増えた!』
ということになれば、儲かっていますよね。
今のこの時点で解約して利益確定できる人たちも
出て来ているということです。
でも解約をすると死亡保障が
先ほどの払い済みの場合はかなり小さくなるとお伝えしましたが、
解約の場合は完全に無くなります。
次に解約返戻金という利益確定したら出てくるお金があります。
本来このお金は保険の中にあって、
ドルベースで最低保障されているので
ずっと増えていった先の老後で使う予定だったわけです。
それがこのタイミングで出てきたら
「老後までの資産形成をどうしようか?」となるので
何かしらの資産運用とかをした方がいいですよね。
ただ、今は物の値段が上がって物価上昇していってます。
銀行に預金を置いていても、金利は全然付かないですよね。
預金は増えず、物価上昇していくと
買えるものがどんどん少なくなるので、
お金の価値としたらどんどん下がっていきます。
ドル建ての保険に入れていると、ドルベースで増えてくれたわけです。
解約時に利益確定して喜び、このまま銀行に置いておくだけだと、
価値は下がっていきますよね。
本来はドルの保険に入れて増やしていた予定のものなので、
老後使うのであれば、
解約時のお金をどこかに置いて増やさないといけないよね
というようになるのではないかなと思います。
「 保険とは増やさないといけないもの 」ではないですが、
増やすことをしなければ、
老後の資産形成が本来の予定していたものとは違ってくるので
将来、困ったことになる可能性があるということですよね。
②の払い済みと一緒で、
この先も保険に払って行くはずの予定だったにもう払えなくなります。
だって解約しちゃうんだから。
ということは解約金のことも、払っていく予定だったお金も
この先どうするのかを一緒に考える必要があるということです。
さらに考えないといけないことが増えてきます。
本日のまとめ
今、円安というのは決して悪いことではなくて
タイミングによっては色んな資産形成のやり方があります。
うまくいったパターンでは
解約したら増えた!なんて人もいるわけです。
ただ解約とか払い済みにしてしまうと
当初の予定とは違う方向性になるので未来が変わってきます。
当初は「これだけ増えて、これだけの資産になるよね」と言ってたものが
一旦なくなるわけです。
予定が変わったなら代わりに
どうやって当初予定していたお金を貯めていくのかという
出口戦略が必要になるんですね。
そもそも投資というのはしっかり長期で資産を形成していきながら
成長させていこうねという仕組みのものなので、
短期で一喜一憂するものではありません。
今は少し異常に円安になっていることに対して、
短期的な戦略を色々とれるようにはなってきていますが
その短期的な戦略はそこだけで終わらせるのではなく、
老後や本来の目的に向けて
どのように変換していくのかなということが重要です。
短期的な戦略で本来のプランを変更するなら、
出口戦略も同時にセットで考えていってほしい。
ということをお伝えいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本日のコラムは、こちらのYouTube動画でご案内してます。