小川 洋平

マルチ商法って、どうなの??

こんにちは、マルチ商法のセミナーに何度も参加してます、ファイナンシャルプランナーの小川です。

20歳頃から何度もマルチ商法の勧誘は受けております。

もう20年以上も続く会社のものや、比較的最近のものまで、結構参加してきました。

(結構断れない性格だったため)

「マルチ商法」と聞くと悪いイメージをお持ちになる方も多いのですが、マルチ商法は「マルチ・レベル・マーケティング(MLM)」という立派なビジネスの形の一つで、マルチ商法自体は決して悪徳商法の類ではありません。

よく「ねずみ講」と混同されがちですが、ねずみ講は商品の販売も無いただの詐欺です。

(「信用創造」という現代の金融システムもねずみ講にあたるような気もしますが・・・)

MLM=マルチ商法の仕組み

MLMは、MLMの商品を扱う会社の代理店登録をすることで商品を販売し利益を得ることができます。

例えば、

①販売価格 1万円

②仕入れ価格 5,000円

③利益  1万円 ー 5,000円 = 5,000円

というように。

ここまではごく当たり前の安く仕入れて高く売る、いかなるビジネスにも共通することです。

MLMの場合は、自分が代理店を勧誘し増やすことで「権利収入」を得ることができます。

例えば、自分が勧誘して増やした代理店が商品を販売した場合に、その利益の一部が自分の利益として得ることができ、自分が増やした代理店が更に誰かを勧誘して増やせば、その代理店が商品を販売することでその利益も自分のものにできるのです。

そうやって傘下を増やしていくことで利益を増やすことができます。

MLMを始めた人が自分の傘下を増やそうとする理由はまさにここなんですよね。

MLMは営業代行のようなもの

MLMを簡単に言うと、要するにMLMの会社の商品の営業代行を行うことであり、自分の傘下を増やすことは営業代行の仕事の下請け、孫請け、そのまた下請け・・・という形で増やしていくということです。

そうやって傘下の人たちに頑張ってもらうことで直接的ではなくてもその人達に報酬が支払われるという仕組みですので、これって経営者なら当たり前に考えるべきことなんですよね。

自分の会社の社員に働いてもらい、自分は現場仕事をせずに収入を得ることができるのですから。

そうやって利益が出るビジネスモデルを組み立て、しっかり現場が機能する仕組みを整えることで自分は働かずして自分の時間を確保し、更なる利益のための戦略を立てたりできるわけです。

MLMは既にあるビジネスモデルを利用し、それと同様の仕組みを目指すだけですので悪徳でも無いですし怪しいものでもなんでもありません。

むしろ、通常は利益率が低い仕入れ販売でも粗利(売上ー仕入れ)が50%にもなる利益率を実現することも可能であり、スーパー等で商品の仕入れ販売をしているより経営的には楽なのかもしれませんね。

問題はビジネスを始める動機

さて、ここで問題なのはこのビジネスモデルを聞いて、「お金」のことを先に考えてしまうことです。

・・・というよりも、説明会の際に例に出される収入を実現するまでに何をしなければならないかをしっかり検討しないまま説明会で挙げられた収入の一例のみを見て「あ、なんか自分でもできそう」って思ってしまう方が大変多くいらっしゃいます。

営業職を経験したことがある方ならば単価とその数字を得るためにどれだけお客さんを集めなければならないか、その大変さは感覚的にわかると思うのですけどね(^^;)

「不労所得」

説明会に参加してみると、特にここを強調されているケースが多いです。

しかも、「こんな良い話に乗らないのはバカだ」などという、成功者(?)の方のコメントまで付け加えられ・・・。

が、残念ながら私の身近でそれを目的にしてMLMを始め、それなりな収益を得ている人は一人もいらっしゃらないんですよね(^^;)

戦略無くしてビジネスは上手くいかない

既にお伝えしている通り、MLMは自分が経営者になるということです。

既にあるビジネスモデルを利用するので、やってみればそれなりに利益には繋がるでしょうし、自分でゼロからビジネスを組み立てるよりも参入もしやすいでしょう。

しかし、それでも経営の考え方が必要なのは同じ。

戦略が無ければほとんどの場合上手くいきません。

ごく稀に天才的なセンスを発揮し、特に考えなくても感覚的にビジネスを軌道に乗せてしまう天才もいますが、そうでない凡人がビジネスをしっかり収益化するにはしっかりした戦略と、計画と実績のブレの修正を繰り返していかなければ難しいものです。

それを考えずに始めるから上手くいかずに途中で挫折してしまうわけです。

ビジネスの根本は「お客様にどうなってもらいたいか?」

そして、あらゆるビジネスの根本は「お客様にどうなってもらいたいか?」この顧客のベネフィットを考えることが最も重要なところです。

そして、それは本当に自分がやっていきたいことなのか、自分が目指す姿になるために必要なことなのか、ここが自分の目指すところと違うと長続きせず壁にぶつかると諦めてしまいやすいのです。

MLMで販売する商品を販売すること、また自分の傘下に入って動いてくれる人が増えることで多くのお客様に使ってもらうことができ、そのお客様にどうなってもらいたいから販売するのか、これが無くお客様がただのお金にしか見えなくなったならばそのビジネスをやる資格はありません。

単にお金が欲しいのならば他にいくらでも方法があるのに、なぜその仕事でなければダメなのか、当たり前ですが会社員であっても経営者であってもここが大事ですよね。

まして、MLMは自分が事業主になるということですから、そんなお客様をお金としか見ていない、自分の下に入る人がお金にしか見えない人から一体誰が物を買うでしょうか?誰が下について一緒にやっていきたいと思うでしょうか?

MLMは多少の違いはあれど自分で事業を始めると言うことです。

お客様への想いが無く、単にお金が欲しいだけで始めた人には人はつかないのです。

MLMを始めると良いケース

さて、先にマイナスなことをお伝えしましたが、逆にやった方が良いケースもあります。

例えば、その会社の商品を気に入って自分が愛用しているような場合。

仕入れ価格で購入できれば自分が欲しい商品を安く買うことができるためそもそもその時点でメリットですよね。

また、お客様を勧誘するのではなく「口コミ」ができる人。

自分が使って良かった商品というのは自ずと誰かに話をしたくなるものです。

特に女性の方はその傾向が強いと言われますね。

また、その商品が自分の事業の一部として使える場合。

例えば、エステサロンを経営されている方がMLMの商品の化粧品を使い、お客様が自宅でも同じものを使えるような場合ですね。

この場合には自分の事業の客単価アップのためにMLMの商品を活用することができますし、その商品を気に入ってくれたお客様に対し「商品をもっと安く買える」といった案内して代理店の案内をすればお客様の利益にもなりますよね。

また、スマートフォン等の使い方をよく知っていて、機械に疎い人によく教えてあげているというような人が格安SIMのMLMの代理店になればこれまでと同じようにスマホの使い方を教えてあげながらそれをきっかけに副収入を得ることもできます。

自分がやりたいことであること、そしてお客様のためになって自分の利益にもなるのであればやれば良いし、そうでないのならばやらない。

ただそれだけのお話です。

こんなトークにご用心

というのがMLMについて、ビジネスの原理原則に当て嵌めた考え方です。

しかし、そういった考え方はなかなか説明会では伝えられることはありません。

そして、お金のプロとして絶対に聞き捨てならないのが

「年金がどうなるかわからないでしょ~。自分で年金の足しになる収入を得ませんか?」

っていう勧誘のトークです。

これが結構使われていて、しかも年金の不安でMLMを始めるという方も聞いてみると一定数いらっしゃるのです。

その言葉を言ったらもう質疑応答では質問攻めです(笑)

公的年金がどうにかなってしまう可能性と、一企業が潰れる可能性どっちが高いか・・・。

MLMで頑張って権利収入を得ても、会社が倒産したらその権利収入も無くなるんですけどね・・・。

と、今回はMLMについてお伝えしてきました。

「お金を目的で始めると高確率で失敗する」 

「成功したいなら正しい動機を持ちしっかり戦略を立てる」

結論としてはこの2点です。

MLMは自分で事業を始めることですので、しっかり事業主として自覚を持って始めることが大事ですね。