小川 洋平

※現役で頑張る60代経営者様要注意!年金が知らぬ間にカットされるルールとは・・・

こんにちは(^^)

経営者の資産を最大化し、お金と時間のゆとりを創るファイナンシャルプランナーの小川です。

今日のお話は、知らないと大損な年金のルールのお話です。

これ、経営者さんは勿論ですし、60代の社員さんがいらっしゃる方も要注意です。

特に、職人さんが不足し60歳代後半の社員さんでもそこそこ高いお給料を支払っている建設業は要注意です。

以前倫理法人会様のモーニングセミナーにて年金の話をさせていただいたことがありますが、その際に参加されていた経営者様と後日個別でお話しした内容を対話形式でお伝え致します。

1.公的年金がカットされる怒りのルールとは

この間は朝早くからありがとうございました。

講話の中でお話しされていた「年金がカットされる」って話、もう少し詳しく教えて欲しいんです。

私ももうすぐ65歳になって年金受取る歳になるし、社員にも60代がいますので。

こちらこそ貴重な機会をいただきありがとうございました。

年金がカットされる仕組みというのは、「在職老齢年金」っていう制度のことを言います。

「在職老齢年金」か・・・

初めて聞きました。

なんだか上乗せでもらえそうな年金のような名前ですけど、年金がカットされるってどういうことですか?

そうですよね、名前だけ聞くとなんだか上乗せでもらえるのかなぁって思ってしまいますね。

在職老齢年金っていう制度は、毎月のお給料と、厚生年金の受給額を合算して、47万円を超えた金額の1/2が年金がカットされる仕組みのことを言います。

ちょっとわかり難い言葉が並んでますので説明しますね。

「基本月額」というのが、厚生年金の受給額の1か月あたりの金額になります。

例えば、厚生年金額が120万円の人の場合、12ヵ月で割り算すると10万円となります。


そして、総報酬月額というのが、1年間のお給料と賞与を足して12で割った数字です。

通勤手当なども総報酬月額に含まれます。

社長の場合だと役員報酬が毎月固定になっていますので、単純に役員報酬の月額と考えていただいて良いですよ。

それを足して、48万円を上回った分の半額が年金がカットされる・・・

ということですね。

うん・・・・。

複雑ですぐには理解できないけど、要は役員報酬を取り過ぎてると年金が減らされるってことですよね?

はい、そうなんです。

せっかく高い厚生年金保険料をこれまで払ってきて、やっと受け取れる時期になったというのに稼いでるとその分減らされちゃうっていう制度なんです。

厚生年金は収入が高い人ほどたくさん保険料を払ってるのに、受け取るときになっても減らされてしまうのって、個人的には納得いかないですね・・・。

2.役員報酬月額50万円だといくらカットされる・・・?

なるほど・・・

じゃあ、役員報酬が50万円の私はこのままだといくらカットるんだろう・・・?

役員報酬の月額が50万円ですから、その時点で48万円超えてるのでカットされるのは確実ですよね。

直近のねんきん定期便に書いてある見込み額をチェックしてみましょう。

ねんきん定期便を見ると、厚生年金は132万円くらいになってますね。

なるほど、厚生年金部分の月額が11万円程度となるので、役員報酬と合計すると61万円になりますね。

48万円を13万円上回っていることになりますので、その1/2の6.5万円が支給停止ということになりますね。

そんなにですか・・・

ホントに、人より保険料いっぱい払ってきたはずなのに(笑)

ですよね。

年額78万円がカットになってますから、5年間で約390万円ですから、社長の手取り額で言えば1年分タダ働きしてしまってるようなものですね・・・。

危うく1年タダ働きさせられそうだったのか(笑)

じゃあ、私の役員報酬を年金がカットされないくらいまで減らせばいいんですか・・・?

はい、そういうことなのですが、ただ減らすだけではなく、ここで年金をカットされずに、尚且つ社長の手取りを減らさないテクニックをご紹介しますね。

3.年金をカットされずに、社長に報酬を渡すスゴ技

まず、社長が仰ったように役員報酬を下げるというのは変らないのです。

しかし、仮に年金をカットされないようにと考えると、月額37万円まで減らさなければなりませんので、13万円も報酬を下げることになります。

そうすると、13万円×12ヵ月分で169万円会社の利益が増える計算になりますので、御社の場合は33.5%程度税金が引かれ、結果法人税という形で50万円以上減ってしまうのです。

ただし、社会保険料の削減効果もありますけどね。

なるほど・・・。

結局税金で引かれてしまうんだな・・・。

はい。

ですので、全額損金で、役員報酬を引下げした分を社長個人に移転する仕組みを創ればよいのです。

ひょっとして退職金ですか・・・?

保険とか使って

そういう方法もありますし、昔私も保険販売していた頃にこのお話で保険を提案させていただいたこともあるんですけどね、保険ではどう頑張っても1/2しか損金にできませんし、今は1/2損金にしたい場合には社長だけでなく従業員さん全員に養老保険という保険を掛けないと損金とは認めてくれないんですよ。

そして、保険は支払うときには1/2が損金になりますけど、結局節税効果が無いんですよ。

そうなんですね・・・。

じゃあ、どんな方法があるんですか?

「H基金」という企業年金制度を活用すると、最大で収入の20%まで(月額100万円が上限)を全額損金で掛金を出すことができるんです。

社長の場合、役員報酬を37万円まで減らすとしたら、月額7.4万円まで拠出できるということになりますね。

なんですか?H基金って??

小川さんが前に言ってた確定拠出年金とは違うの??

企業型DCも併用されても良いと思いますよ。

ですが、掛け金の金額が企業型DCは最大で5.5万円ですから、H基金の方が大きいのです。

積立の期間が短く、できるだけ掛け金をたくさん拠出したい場合はH基金の方が合ってますね。

企業型DC(選択制)と同様に、H基金も希望者だけ掛けることができ、自分のお給料の中から任意で金額を決めて掛け金を拠出することができます。

社員さんで社長と同じように年金が減ってしまいそうな人がいたらご自分のお給料の中から希望額のみを差し引くこともできるんですよ。

導入時~年間のランニングコストも掛かるのですが、社長の社会保険料の負担も減りますし、それだけでランニングコストの大部分を支払うことができますし、社長個人に掛かる税金のメリットも考えるとコスト以上に大きなメリットが出ると言えますね。

そんな制度があるんですね・・・。

それだけで7万円以上役員報酬を減らしても私のお金として残せるわけですね。

そうですね。

他には、出張旅費規程を作成して、社長が出張に行かれた際に日当として支払う仕組みを導入したり、社員さんのために企業型DCも導入されても良いでしょう。

企業型DCは掛け金の上限が2万7500円と半分になってしまいますが、併用もできますので。

結果的に後で課税はされてしまいますが、倒産防止共済も良いですね。

色々とやり方はあるもんですね。

知ってるか知らないかで大違いなんですね。

そうですね。

ちなみに、役員報酬を減らすことで個人の税金や社会保険料の削減効果はこのようになります。

4.税金、社会保険料のメリット

役員報酬月額37万円 =年収444万円         役員報酬月額50万円=年収600万円

※社会保険料(健康保険料+介護保険料)は都道府県によって異なり、実際の金額とは異なる場合があります。

※一定の条件の上での試算結果です。詳細な金額については所轄の税務署、顧問税理士等にご確認ください。

というように、個人の税金だけ見ても年間20万円以上、社会保険料も21万円以上の効果がありますから、本来社長の収入から引かれる税金と社会保険料だけでも41万円多く手元に残る計算になりますね。

社会保険料は大体同額を会社も負担してますので、H基金の年間のランニングコスト以上に節約効果があります。

カットされるはずだった年金が78万円増えて、役員報酬を下げることで社会保険料と税金で41万円手元に残るお金が増えて、役員報酬を減らされた分もH基金を使ったりしながらもらえるわけか・・・。

5年で500万円くらい私のところに残るお金が増やせるってことですね。

はい。

ただし、将来的に受け取れる厚生年金も少し減るんですが、70歳以降で受け取れる年金額が年間約4万円減ります。

というデメリットを差し引いても効果は大きいと言えますね。

退職金やH基金で受け取る際に掛かる税金もありますので、実際にはどの程度役員報酬を下げ、H基金や退職金などを具体的にいくらで設定するのがトータルで手元にお金が残るのか、詳細を試算してみましょう。

そうですね、せっかくだからお願いしますよ。

社員の分も年金がカットされちゃうのかお願いします。

せっかく給料払ってるのにカットされたら勿体ないから、違う方法で渡してあげたいよね。

・・・というように、老齢厚生年金を受け取りながら給料、役員報酬を受け取っている方は在職老齢年金の制度で厚生年金がカットされることがあります。

60代になっても高い報酬を受け取っておられる経営者さんは特に要注意ですし、社員さんも60代で働いておられる方はお給料の金額をチェックしてみた方が良いでしょう。

こういった年金の診断や、年金をいくら受け取れるのかも含め、無料で診断しております。

年金カットへの対策の提案、税金・社会保険料を適正化する提案も行いますので、気になる方はこちらよりお申込みください。