小川 洋平

クレカの保険、忘れてない??中身を知って上手に活用しよう

中小企業経営者の方はゴールドカード、プラチナカードといったステータスカードをお持ちの方も多いでしょう。そのクレジットカードに、海外旅行保険などの補償が“無料で”付いていることも多いものです。

でも、「実は、補償内容よくわかってない・・・」

って方も多いのでは??

はい、実際私も色んな補償があり過ぎてなかなかすべてを把握することはできていません(^^;)

しかし、知らないままだと「持ってるだけで保険が効くと思っていたら、実は条件が厳しくいざという時に補償されない・・・」ということや、「補償額は大きく見えても実際にはカバーできないことがある」…そんなケースも珍しくありません。

また、クレカで付帯されているのにムダに保険に入ってしまい、保険料をムダにしてしまうことも多いものです。

今回は私自身が使っているカードを例にしながら、クレジットカード付帯の保険の“意外と知らない”中身と注意点について解説していきたいと思います。

1.海外旅行に行った場合のリスク

海外旅行に行くとき、どんなリスクがあるでしょう?

日本とは違う“リスク”も多いものです。

例えば・・・

例1:空港のエスカレーターでスーツケースを落としてしまい、下にいた人に当たりケガを負わせてしまった・・・

→この場合、スーツケースを落としてしまった人の「過失」になりますので、ケガをさせてしまった被害者の治療費や慰謝料などを全額負担しなければなりません。訴訟大国アメリカにおいては治療費だけでなく驚くような慰謝料を請求される可能性もあります。

例2:滞在先で感染症にかかり、現地の病院で数日入院

→日本国内では公的医療保険が適用されますが、海外では適用されない場合もあり、高額になってしまうことがあります。

こういった“もしも”のために備えるのが「海外旅行保険」です。

カードの広告などでは「補償額最大5,000万円」「ケガ・病気・賠償もOK」といった心強い文言が並びますが、実際にその補償額が「どんなときに」「いくらまで」効くのかは、しっかり確認しておく必要があります。

たとえば「傷害死亡・後遺障害」は5,000万円でも、実際に多い病気治療や入院の補償はたった100万円程度というケースもあります。

2.カードの補償内容を比較してみる

では実際に、私が保有している以下のカードの補償内容を比較してみましょう。

マリオットボンヴォイ・アメックス・プレミアム

出典:www.americanexpress.com/content/dam/amex/jp/assets/pdfs/benefits/marriott-bonvoy-premium-regulations.pdf

セゾンビジネスプラチナ(ビジネスカード)

www.saisoncard.co.jp/pdf/futai_hoken/amex_ptbusiness.pdf

・セゾンプラチナ(個人カード)

www.saisoncard.co.jp/pdf/futai_hoken/amex_pt.pdf

楽天カード(通常カード)

www.rakuten-card.co.jp/info/news/20220201/overseainsurance

年会費の高いマリオットボンヴォイ・アメックスや、セゾンアメックスはケガや病気の補償、賠償責任保険についても高額な補償が付保されていますね。

3.補償額、足りてる?

幅広い補償を受けられる海外旅行保険ですが、実際にこの補償額で足りているのかを確認することも重要です。


たとえば、染症での入院や虫垂炎などで緊急手術を受けた場合、海外では1日数十万円の医療費がかかることも。損害保険会社の旅行保険のパンフレットを見ると、アメリカやヨーロッパでは1週間の入院で300〜500万円の請求が来たという事例もあり、実際には1,000万円近くになったという事例もあります。

さらに、病気治療の場合は日本の健康保険が効くケースでも一旦は全額立て替えになる場合が多く、「帰国してから精算する」までの資金も必要になります。

つまり、クレジットカードの保険だけでは補償が“足りない”ケースが多いということも多いのです。

こういった場合は、複数のカードの補償を合算する(※同じ補償内容なら合計して使える場合あり)こともできたり、不足分をカバーするために、民間の海外旅行保険を追加契約するなどで対策が必要になります。

4.クレカを持ってるだけで保険は効く?

「持ってるだけ」で保険は効くの?


実はここも注意ポイントです。

クレジットカード付帯の海外旅行保険には、

自動付帯:持っているだけで保険が効く

利用付帯:旅行費用をカードで支払った場合のみ効く

場合があります。

私が保有しているカードは全て「利用付帯」で、カードを複数持っていても、使っていなければ保険は“無効”です。

そして、利用付帯にもどんな場合なのか条件があります。

例えば、マリオットボンヴォイアメックスプレミアムでは、旅行会社のパッケージツアーの料金や、航空券や空港までのバス代、電車代などを支払った場合に対象となります。

一方で、楽天カードはツアー料金を決済した場合のみ適用となるようです。

このようにカードによって支払われる条件も異なります。

ですので、旅行に行く前にはお持ちのカード会社に付帯されている保険の内容、保険が適用される条件について確認しておきましょう。

5.意外と知らない、その他の保険も活用しよう


旅行保険以外にも「クレカ付帯保険」にはいろいろなお得な補償があります。

セゾンアメックス(プラチナ/ビジネス)には、ゴルフ中の事故やケガを補償する「ゴルフ保険」が付いています。

ちょっとホールインワン・アルバトロスの内容が心細い気はしますが、もし運悪く(良く?)該当しても10万円払ってもらえると思うと、宝くじに当たるよりも確率が低く、さほど頻繁に行かない私にとってはありがたいものです。

マリオットボンヴォイアメックスでは、カードで買った商品の破損や盗難が補償される「ショッピングプロテクション」や、携帯料金をカード払いにしていれば、スマホの修理代も補償対象になることがあります。

これらは公式サイトにきちんと載っているものの、意外と見落とされがちです。

「同じような保険に別で入っていた」「知らずに自己負担していた」というケースも多いため、カードの補償内容は定期的に確認しておくのがオススメです。

と今回は、私が保有するカードの保険内容を例にしながら、クレジットカードに付帯する保険についてご紹介しました。

経営者の方にとって、クレジットカードはただの決済ツールではなく、旅行に行った際やゴルフ、日常生活でもちょっとした損害をカバーしてくれる保険の機能もあります。

「高い年会費のカードは贅沢」と感じるかもしれませんが、補償内容と比べれば実は費用対効果が高いケースも多いのです。

ぜひ一度、ご自身が使っているカードの「付帯保険」を確認してみてください。気づかぬうちに損していた保険料や、無駄な出費を見直すヒントになるかもしれません。